2012年11月06日

ニューフェースの誕生〜アメリカ最高裁判所日記(1)

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この秋、一番寒くなった11月5日の月曜日、とても貴重な経験をしました。初めて足を踏み入れた場所で、あまりにたくさんの新しいことを見て、聞いて、感じて、どこからどう書いたらよいのか、頭の中がまだぐるぐるしています。加えて、あれやこれやと忙しくなってしまって、そのぐるぐるを上手に整理する余裕がありませんけれど、欲張らずに、少しずつでも綴っていけたらと思います。

ということでまずは第一部。

7時半、冷たい空気に身をすくめながらメトロの駅へと急ぎました。降り立ったのはブルーラインの「Capitol South」です。その名の通り国会議事堂(キャピトル)の南から、右に国会図書館を、左に国会議事堂を見ながら歩きます。

ほどなくして、ギリシャのパルテノン神殿を彷彿とさせる「Supreme Court(最高裁判所)」に着きました。目下改修中ですが、それでも法の殿堂としての重厚な存在感が、澄みきった寒気を通して伝わってきます。

すでに口頭弁論を傍聴する人たちの列ができています。この国の最高裁では、10月から4月の間の、隔週の月、火、水曜日に、午前10時に1回、11時に1回の「Oral Argument」と呼ばれる「口頭弁論」が行われるのです。年間1万件を越す申し立ての中から選ばれて、おそらくは5月か6月には判決を下されるだろうという案件です。

私たちは、一般の入り口ではなく、「Supureme Court Bar Member」用の入り口から入ります。それでも厳しい検問があり、空港のように荷物とからだをチェックされます。

「Bar」と言うのは一般にはあまり聞きなれない言葉かもしれませんが、弁護士会のようなものでしょうか。ワシントンにはワシントンバー、ニューヨーク州にはニューヨーク州バー、そして最高裁判所には最高裁バーがあります。ですから、「Supureme Court Bar Member」とは、最高裁判所に認められ、最高裁法廷に立つことができる弁護士ということになります。もちろんそれらの資格は複数の兼任が可能です。

11月5日午前10時10分、満員の法廷で、夫が、居並ぶ9名のジャッジ(判事)の前で、朗々と述べました。

「Mr. Chief Justice and may it please the Court, I move the admission of Jessica xxxxxx of the Bar of the State of Gerogia. I am satisfied she possesses the reasoning qualifications.」
(ジョージア州バーの弁護士であるジェシカxxxxxは、最高裁バーメンバーとしての必要な資格を備えています。)

それに対してChief Judgeのジョン・ロバーツ長官が、よく響き渡る声で応じました。

「Emotion is granted, and applicant is admitted.」
(動議は認められました。申請人は承認されました。)

夫がアプリカント(申請人)の資格を証明し、それに対して答がなされるという、あらかじめ決めらていた法的プロセスに則ってのフォーマルな儀式でした。

こうして、黒いスーツに真珠のネックレスが良く似合う一人の若く美しく将来ある女性が、昨日、新たな「Supureme Court Bar Member」(最高裁バーメンバー)として誕生しました。ジョージアからこの日のためにやってきた車椅子の母親と、それを押す父親、彼女のそばに寄り添うご主人、、、、ジェシカが何と輝かしく、それを取り巻く家族たちの何と誇らしげなことだったでしょうか。

お祝いの食事の席で、父親が目を潤ませて夫に言いました。
「あなたが娘のキャリアを助けてくれました。」

私がジェシカに聞きました。
「いつ頃から弁護士になろうと思ったの?」

ジェシカが誇らしげに答えました。
「7才の時に、父に最高裁の見学に連れていってもらった時からです。」

「Sponsor」と呼ばれる役目は、辞書によれば保証人、引受人、推薦人、、、。
かつての教え子が、たくさんの「最高裁バーメンバー」の中から自分をスポンサーに選んでくれたことを、夫もどんなにか嬉しく思っていたことでしょう。

私には、みんながきらきら輝いているように見えました。
そして、まるで新しい人生を歩きはじめる若いカップルの「お仲人さん」をしたかのような気持ちになりました。

法廷の様子、セレモニーに続く口頭弁論、9人の判事たちのこと、とりわけトーマス判事のお人柄、最高裁判所という建物の美しさについては、またお話しさせていただけたらと思います。

ちなみに、法廷へはカメラも電話もバッグも持ち込むことができません。私は小さなノートとペンを1本、ハンカチとメガネだけを持って入りました。

By 池澤ショーエンバウム直美


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11月7日(水):一度はやってみたいインスタントローストターキー
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 21:45| Comment(0) | アメリカライフ

2012年11月05日

夕日の中の輪 そしてフォールバックへと

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誰しもそうでしょうが、数ある友人たちの中にも特別な友人たちというのがいるものです。70億以上もの人たちが住んでいるこの地球の上で、出会えたこと自体が奇跡です。その思いは家族への思いにも似て、たとえ会えない時間が続いても、揺らぐことなくその身の無事を祈り、その日々の幸せを願います。

昨夜食事を共にしたのも、そんな特別な人たちでした。とりわけ今年はそれぞれに様々なアクシデントが起きただけに、こうして一人も欠けずに6人が揃ったことは大きな喜びでした。

夕食のテーブルに移る前のドリンクタイムで、夕焼けがあまりきれいだったものですから、ついセンチメンタルになって、「ここにこうしてみんな一緒にいるということが、どんなにありがたいことでしょう!一緒に夕焼けを見て、一緒に歩いて行けると言うのがどんなに嬉しいことでしょう!」と呟いてしまったら、みんなが一瞬しゅんとして、次にマークが突然こんなことを言いました。

「Let’s hold hands!」

そして私たち、いい年をした6人が、素直にも両隣の友の手を握り、夕日の中で大きな輪を作ったのです。こんな青臭いこと、長年の付き合いの中でも初めてだっただけに、気恥ずかしくもちょっと感動してしまいました。たぶんみんな同じ思いだったことでしょう。

「次はいつ、どこで会える?」と名残りを残しながらも解散したのが夜中の12時。テーブルを片付けて、たくさんのお皿やグラスを洗い終わったのが1時。それからまたワインを飲みながら夫と余韻に耽っていたらあっという間に2時です。

「あらあら大変、こんな時間!」と慌てて立ち上がったら、「さ、時計の針を1時間戻して。今ちょうど1時になったところだから。」とまるで謎のような言葉が、、、、

アメリカは、11月4日の深夜2時にサマータイム、正確に言えばDST (Daylight Saving Time)が終わりました。毎年3月第二日曜日の午前2時に時計の針が1時間進められ、11月の第二日曜日の同じ時刻に今度は1時間戻されるのです。ということは、今年の3月11日には午前2時から3時までの時間は存在しなかったことになりますし、今日(11月4日)は午前1時から2時までの1時間が2回も繰り返されました。

サマータイムに馴染みのない私たちにとってはなんとも不思議な出来事ですが、失念していると、約束に遅れたり、早すぎたり、飛行機に乗り遅れたりと大変なことになります。

2年前の3月、私はシアトルの友人の家に泊まっていました。「お休みなさい。」と部屋に戻ろうとすると、家主のジムがこう言いました。

「ナオミ、寝ている間にサマータイムに変わるからね。明日の朝起きたら時計の針を動かすんだよ。」

「えっ、進めるの?戻すの?」と聞いて教えてもらったのは、こんな便利な言葉でした。

「Spring Forward、Fall Back! スプリングには『春』と『バネ』という二つの意味がある。バネは跳ねるだろう?だから時間が春には跳ねて、1時間先にに進むのさ。フォールにも『秋』と『落ちる』という意味がある。だから時間が秋には後ろに落ちるのさ。」

そんなことを教えてもらったはずなのに、今年の「Fall Back」のことをすっかり忘れていたのでした。夫はたぶん、私が忘れていることを知っていて、その瞬間まで間を持たせていたのに違いありません。いずれにしても、なんだか1時間得した気分です(笑)。

By 池澤ショーエンバウム直美


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11月5日(月):ナプキンリングマジック
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 08:51| Comment(0) | 友人

2012年11月04日

ゆるゆると学ぶ贅沢

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東京にいなければできないことがあるように
ここにいなければできないことがあるならば
そのひとつは、スミソニアンでの学びでしょうか。

スミソニアンの講座やワークショップ、コンサートなどのイベントを紹介するパンフレットの今月号は、さまざまな分野から83種類が掲載されています。会員であろうがなかろうが、多少の参加費の違いがあるだけで、誰でも受講したり、参加することができます。ナショナルギャラリーを始めとするスミソニアン群の美術館、博物館が全て入館無料なのと同じように、これはたとえ有料とは言え実に素晴らしいシステムだと思います。

まず第一に、スミソニアンというブランドに対する信頼感を裏切ることのない上質のものが提供されています。第二に、ほとんどが単発のものですから、その時々の興味のおもむくまま、その時々のスケジュールに合わせてかなり自由に選ぶことができます。そしてこれまでの経験で言えば、まずギリギリでも受け入れてもらえます。

やっと一息ついて二人で出かけたのは、1日夜の「The Giants of Barcelona」、ピカソ、ミロ、ダリ、ガウディ―という4代巨匠の作品とその背景についてのものでした。開講ギリギリに飛び込んだら1階も2階もほぼ満席。なんとか離れ離れの所に空席をひとつずつ見つけたとはいうものの、こんなにたくさんの人たちが来ているとは予想外でした。ほとんど実用の場には役立たないものですし、今アメリカでスペインがとりわけ話題になっているわけでもないのですから。

その大半は私たちと同じようなシニア層です。そして夫婦と見られるカップルがそこここに見られます。同じ興味を持っているカップルもいれば、パートナーの興味に合わせようとするカップルもいるのでしょう。

さて一夜明けて昨日の午前中は、「Holiday Decorating〜Smithonian-Style」でした。タイトルが示すように、これからやってくる感謝祭やクリスマスなどの季節に向けて、花や枝や葉を使って家の内外を飾るための実践講座です。第一部はスミソニアンが手掛けてきた様々な装飾をスライドで学び、第二部では二人の先生が実技のデモをしてくれます。

不思議なもので、興味がある上に、必要に迫っているとあらば、身を乗り出すようにして真剣に見、一生懸命聞きます。写真を撮り、メモを取り、勇気を出して質問だってします。バルセロナの時よりは先生の言っている言葉もずっとよく理解できます。

ポインセチアとサボテンを組み合わせたり、クリスマスに菊を使ったりは考えてもみなかったことでしたし、コンテナー(容器)の選び方や、フラワーチューブやワイヤーを使っての基本の技術などもとてもアメリカ的で面白く、広がった世界の中でランランとスキップをして帰りたいほどでした(笑)。こちらの講座はたった一組の若いカップルを除いては見渡す限り女性ばかりでした。
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時間が許せばまだまだ学びたい講座がたくさんあります。たとえば、、、、、

*オスマントルコの職人たち
*モロッコの危険な美女たち〜Lalla Essaydiの芸術
*スミソニアンの温室
*瞑想〜仏教と科学との遭遇
*ヘミングウェイとカクテルを
*ダンスで見るアメリカの歴史
*ロートレックとモンマルトル
*ワシントンの昨日
*1930年代のニューヨーク

来年1月26日の土曜日には、午前10時から午後4時までの一日講座「KYOTO」が開講されます。第一部は「天皇の力の中心としての京都」 第二部は「文化の都、芸術の都」、ランチをはさんで第三部は「将軍の時代の京都」 そして第四部は「新旧の交わり〜21世紀の京都」です。受講料は90ドルから130ドル。これにもまた、たくさんのシニアの人たちが集まるのでしょうか。

テストや受験のために徹夜をしてまで学ばなければならない時代もあって
仕事のため、生活のために、歯を食いしばってでも学ばなければいけない時代もあって
今ようやく、好きなものを好きな形でゆるゆると学ぶことができる、、、、
年月を経た者だけに与えられる最高の贅沢かもしれないと、ありがたく思っています。

By 池澤ショーエンバウム直美


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11月3日(金):昔懐かし日本の少女
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 06:42| Comment(0) | エイジング

2012年11月02日

新しい?古い?大人気の「Dry Bar(ドライバー)」

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一昨日のパブリックスピーキングの話の中でも、4つの知恵のうちの一つが「Non Verbal」、つまり言葉ではないものについてでした。非言語コミュニケーション、あるいはもっとわかりやすく視覚(ビジュアル)コミュニケーションと言えるかもしれません。確かに、同じ内容を持ち、同じ話し方ができても、身ぎれいにしている人と、そうではない人では受け止められ方も違うでしょう。

ちょっとホットで面白い話があります。

女性たちの間で、先週ジョージタウンにできたばかりの美容室「Drybar(ドライバー)」が大人気です。そんな噂を聞いていたら、折しも日曜日のワシントンポストのファッションページに詳しく掲載されました。この町には技術もあるエレガントな美容室がたくさんあるというのに、いったいどうしたことでしょう。

実はこのお店、カットもパーマもヘアダイもしません。するのはただシャンプーとブローだけ。40ドルで45分、そこが忙しい女性たちにはまりました。

記事によれば、ジョージタウン店のターゲットはこんな女性たちだそうです。

*きれいにセットされた髪でクライアントやボスにプレゼンをしたい、K通りのロビイストたちと弁護士、キャピトルヒル(国会議事堂周辺)の政府関係者たち

*チャリティーイベントのスポンサーを探す広告代理店のエグゼクティブたち

*素敵な男性と夢のようなデートを楽しみたいハイテク女性たち

*最悪の1週間を過ごして意気消沈している女性たち

働く女性が多いこの町で、お昼休みにもできる「40ドル45分」は大きな魅力でしょう。それを実現させたのはなんとそんな女性たちの声だった言うのですから驚きです。「他の州にはあってどうしてワシントンにはないの?」とばかりに、「ドライバー」の37歳の創業者のウェブ氏のもとに、山のようなメールやツイッター、フェイスブックを通しての嘆願書が寄せられたのです。

かくして開店となった「ドライバー」は、平日は朝の7時から夜の10時まで、土日は朝9時から夕方7時まで、フル回転をしています。

「50ドルではちょっと、と二の足を踏んでも40ドルなら行っちゃうのよね。心理的トリックだわ。」(42歳、セールスマネージャー)

「私にとってはインスタントリフト、手っ取り早い元気回復剤よ。」(24歳、政府職員)

「私のアレクサンドリアの美容院はシャンプーブローだけで70ドルから80ドル。私、今、『ドライバー』の月75ドルのメンバーになろうかと思っているんです。そうすれば月にブローを2回と10分のヘッドマッサージを1回できる上に、商品を10%引きで買えるんですもの。」(26歳、コンサルタント)

慌てたのは老舗のサロンたちです。「ドライバー」からほんの数ブロック離れたサロンでは全てのお客様宛にこんなメールを出しました。

「アーリーバードスペシャル(早朝スペシャル)を始めました。火曜日から金曜日まで朝の8時から9時半までは40ドルでエクスプレスブローをいたします。」

かたや、第1号店のロサンゼルスから6つの州に25の「ドライバー」を展開するウェブ氏は悠然とこう語ります。

「何も新しいことをしたわけではないの。古い伝統に戻っただけなんです。ほら昔の女性たちはみんな美容院に行って髪を洗ってセットしていたでしょう?」

この時代の先端を行く、いえオールドファッションの「ドライバー」では、シャンペン、ミモザ、白ワイン、スパークリングウォーター、ソーダ、コーヒー、クッキー、プレッツェルが、鏡の前に座る女性たちにフリーサービスで提供されます。

すでに「Blo Blow Dry Bar」「Halo Blow Dry Bar」などの競合相手も出現し始めたようですが、このビジネス、たしかに今の女性たちのニーズにぴったり。これからますますの展開を見せることでしょう。

以上、ワシントンポスト紙の記事と、友人の話を参考にさせていただきました。

By 池澤ショーエンバウム直美



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11月1日(木):オニオンリングの前では、、、、
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 03:50| Comment(2) | アメリカライフ

2012年11月01日

南へ南へガタゴトと

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ハリケーン サンディが通り過ぎ、青空と優しい日差し、そして爽やかな空気が戻ってきました。けれどもサンディは寒気をも連れてきたようで、今日はかなりの冷え込みです。道行く人たちも一様にセーターやジャケットを羽織り始めました。

メトロもアムトラックも走り出しました。この私の部屋からは、アムトラックの線路が見えます。左側はフロリダ、右側に行けばニューヨーク、その先はボストンです。時折、電車が走るガタゴトという音が、うるさくはない程度に耳に届きます。3日ぶりにその音を聞いたのは、昨夜の9時頃だったでしょうか。いくつものコンテナーを載せて、サンディに長らく足止めをくらった後に、ようやく南へと走れるようになった貨物列車でした。そのガタゴトと走る姿がやけに健気に見えました。

今日もまた、貨物列車は朝からガタゴトと走っています。たまっていた分を一気に取り戻すかのように、いつもよりも頻繁に通り過ぎるような気さえします。とにかく長い長い列車です。一度きちんと数えてみたいと思っていましたので、これを機にコンテナーの数を数えてみることにしました。1,2,3,4、、、、、、と、まあ続くこと、続くこと。なんと今通った列車は44もの大きなコンテナーを積んで、フロリダ方向に走って行きました。アムトラックの線路の上には、もちろん二階建ての客車も走ります。

ニューヨークへ行くにも、フロリダに行くにもつい飛行機に乗ってしまいますけれど、もしもアムトラックで行くならば、手元にある2年前の古いタイムテーブルによると、、、、

たとえば朝7時のエクスプレスに乗れば、途中フィラデルフィアを経由して、9時45分にはニューヨークです。その間に止まる駅は5つです。

たとえば午後3時発のシルバースターに乗れば、一夜を車内で眠って、翌日の夕刻6時5分にマイアミに着きます。その間に止まる駅は35です。午後7時半のシルバーミーティアなら、途中25の駅に停車して、シルバースターとほぼ同じ時刻の6時55分にマイアミです。

点から点へと空高く一っ飛びではなくて、ガタゴトと時間をかけて南へ南へと近づいていく線の移動はどんなに心躍ることでしょう。根っからの南人間である私にとっては、南へ向かう電車に乗って、リッチモンドを過ぎ、サベナを過ぎて、ジャクソンビルを過ぎ、オーランドからタンパへ、そしてマイアミへと続く南への旅は「近いいつか」に叶えてみたい夢のひとつです。

ニューヨークからフロリダへ、と言ってすぐに浮かぶのは、もう40年以上も前の映画「真夜中のカーボーイ(The midnight cowboy)」です。ふとしたことから知り合った二人の男が、不思議な友情のもと、最後には病気の友の最後の夢を叶えるために、寒さと貧苦のニューヨークから太陽に溢れているはずのフロリダへと、南へ南へ長いバスの旅をするという、何とも切ない映画でした。

ジムとキャシーが、今日フロリダの家へ移りました。交互にハンドルを握りながら車を走らせるそうです。

「ナオミ、一緒に行く? 席はあるよ。」

と、冗談で言うジムに答えました。

「ありがとう。でも私は電車で行くわ。」

10月31日、ハロウィンの夜です。
初めてアメリカで過ごすハロウィンに期待をしていたのですが、Trick-or-treatの子供たちの姿も見られぬ静かな一日でした。パレードもありませんし、パーティーもありません。「Happy Halloween!」の挨拶も聞こえません。

ただ一度、ハリケーンの前日の日曜日、小さなお猿さんの手をひく血に染まったコックさに出会いました。「写真を撮ってもいい?」と聞いたら、「いいよ!」と元気に答えて、お兄ちゃんのコックさんが弟のお猿さんの喉に包丁を当て、「こらこら!」と若いお母さんに叱られました。

同じ日、帰りのエレベーターで一緒になったのは、二人の母親と、白雪姫とピーターパン、骸骨と海賊の4人の子供たちでした。手に手に小さなキャンディーの袋を持っていたところをみれば、誰かを訪ねてきたところなのでしょう。それともまだまだ誰かを訪ねる途中だったのでしょうか。

ハロウィンに限って言えば、ここワシントンより東京の方が圧倒的にFestive(お祭り気分)です。

By 池澤ショーエンバウム直美

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10月31日(水):「Menomale」=ま、いいかのピザタイム
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 08:04| Comment(0) | アメリカライフ

2012年10月31日

良きパブリックスピーカーになるためには

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昨日のワシントンポスト紙の「仕事特集」ページの冒頭は、就職面接ばかりでなく、その後の仕事そのものにも必要とされる「パブリックスピーキング」のスキルについての記事でした。

「パブリックスピーキング」とは、人前で、そして多くの場合は公的な場で複数の人たちを相手に話をすることです。どんなに中味があっても、それを効果的に表現するスキルがなくては的確に伝わらないというのは、欧米ではごく当たり前の考え方。

「パブリックスピーキング」の基本は中等教育の中で教えられますし、それを訓練する専門の人たちもいます。夫もカレッジで学んだと言いますし、たしか娘のカナダの高校でもそうした授業があったと思います。私が長年働いていた東京のリベラル・アーツの大学でも、「パブリックスピーキング」のスキルは体系的、実践的に教えられていました。

その源流は古代ギリシャにまで遡ります。あの時代、あの国には、「orator(オラター)」と呼ばれる専門的なパブリックスピーカーがいました。彼らはみな「sophists(ソフィスト)」とよばれる師のもとで、「パブリックスピーキング」についての訓練を受けた人たちでした。おおかたは裕福な家の出で、人前で話すスキルを学んでからは、町の集会で理路整然と、しかも相手の共感を勝ち取るような方法で政治的な演説をしました。

さて本題に移りましょう。くだんの記事ですが、人前で話すことの多いハイレベルのエグゼクティブの多くが、自分には「パブリックスピーキング」のスキルがあると勘違いをしているとの耳の痛い指摘に始まり、4つの知恵を手短かに読む者に与えています。かいつまんでご紹介します。

Vary your tone: 声のトーンに強弱や、高低、緩急と言った変化をつけること。

Speech patterns: 話し方の癖に気づくこと。歌うように話したり、センテンスの最後が消え入るようだったり、疑問形や質問で問いかける文が多すぎたりはしていませんか?

Inflection: キーワードは何か。それを聞き手の心に刻み込むこと。そのためにはその言葉が出て来るたびに、声を大きくしたり、高さを変えたり、スピードを緩めたり、と言ったアクセントをつけること。

Nonverbal: 身振り手振りを効果的に使うこと。演台をこぶしで叩いたり、聴衆に向かってからだを傾けたり、姿勢を変えたり、笑顔になったり。最良の自己点検は、あなたのスピーチの録画を音を消して見ることです。

なにも今さら、と言った節がないわけでもありませんが、パブリックスピーキング文化圏の人にこうして箇条書きで諭されると、フムフムと改めて納得してしまいます。

最後の結論がまた面白いのです。

「The key is to remember every enagement may be the first time (and only time) your audience is hearing your message. 」
(大事なのは、相手があなたのメッセージを初めて、そしてその時だけ聞く人たちであることを忘れないこと。)

続けて、今、最後の佳境を迎えている大統領選での候補者たちのスピーチを暗示しながらこう締めくくっています。これもまたなかなかの「パブリックスピーキング」スキルです。ただし無声ですが(笑)。

「The effective communicators give their stump speeches like they’re saying their points for the first time every time. 」
(有能な伝達者というものは、遊説の場でも、大事なことを、毎回まるで初めてのように語る。)

ニューヨークで多大な被害をもたらした大型ハリケーン「サンディ」は、ここワシントンでは昨夜(29日)午後9時頃にピークを迎えました。うなり声をあげて風が吹き、雨が大きな音を立てて窓ガラスを叩きます。暗い空に何度も稲妻が走り、数回ほど瞬間的な停電が起きたものの、幸い大事に至ることはありませんでした。一夜明けた今日、空はどんよりと曇ってはいますが、雨も風もありません。犬たちが濡れた地面で遊び始めました。夫はいつものように朝のジョギングに行きました。けれども、まだ電車(メトロ)は走っていません。町の機能の復旧までにはまだもう少しかかるでしょう。

今朝のワシントンポスト紙の本紙では、全20頁のうち第一面を含む9ページがサンディについてのものでした。
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オーランドでの遊説ラリーを取りやめてホワイトハウスに戻ったオバマ大統領の写真も掲載されています。
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By 池澤ショーエンバウム直美


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10月30日(月):女二人の隠れ家ダイニングバー体験
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 02:36| Comment(0) | コミュニケーション

2012年10月29日

ありがたくも嬉しいハプニング

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思い返せばあれからもう1年と1か月前、とあるご縁から、フィラデルフィアで開催された陶芸展のオープニングをお手伝いさせていただくことになりました。「Five by Eight:New Art from Japan」と題して幕を開けた日本の新進作家8名によるこの陶芸展は、53日にわたる期間中も大きな話題を集め、作品の一部は、現在、フィラデルフィア美術館に所蔵されています。

前田正剛さんにお会いしたのは、開催前夜、関係者を招いてのプレビュー&レセプションの場でした。あの夜も、今日のワシントンのように絶え間なく雨が降っていました。会場には8人の作品が飾られ、日本からやってきた作家たちは袴姿の正装でお客様を迎えました。

プレビューとは言え、作品を予約購入することができます。ニューヨークから買い付けを目ざして飛んできた美術蒐集家の方などもいらして、会場はなごやかながらも活気あふれるものとなりました。

私たちは、素晴らしい作品群の中でもひときわ心惹かれた、金色の地に真紅の椿が描かれた横長の皿を予約しました。それが、前田正剛さんの作品「掛分黒釉描椿紋長皿」でした。
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作品は展示が終わった後に木箱に戻され、丁寧に梱包されて、11月に無事ワシントンの家に届けられました。

「お料理をのせてくださいね。どんどん使ってくださいね。」などと作者に言われながらも、粗忽者のわが身を考えるとその勇気も出ずに、以来、椿紋長皿は観賞用としてテーブルの上に置かれ、使うのではなく見ることによって私たちの生活に彩りを添えています。
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その後も、作家の方々とは折に触れお会いする機会があります。昨日ご案内した前田さんの作陶展にも、出発前日におうかがいすることができました。前田さんがロクロを回す実演で通訳をしたご縁もあり、お会いすれば懐かしくて、ますます充実した作品群に素人ながらも心躍らせ、ちっとも変わらぬ彼の笑顔と謙虚なお人柄に、かの地の思い出がふわりとよみがえります。
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東京でのご縁がフィラデルフィアへと繋がり、フィラデルフィアでのご縁がまたこうして東京へ、、、、、人生という旅の中の、ありがたくも嬉しいハプニングです。
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まだまだ暴風雨の域には達していないものの、風と雨が少しずつ強くなってきました。空港も閉鎖、メトロも運休となり、大型ハリケーン サンディが目下東海岸を北上しています。

By 池澤ショーエンバウム直美

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10月28日(日):さすがアメリカ栄養弾丸
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 23:58| Comment(0) | 友人

2012年10月28日

Autumn in DC

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だいじな用事があって
ダウンタウンまで車を走らせたら
どこもかしこもやっぱり秋でした。

ポトマック川沿いの道も
国会議事堂とワシントン記念塔を結ぶモールも
ホワイトハウスもタイダルベイスンも。

カトリック大学から続く道を歩けば
気の早い葉っぱたちが
時折ひらひらと頭の上に舞い落ちます。

ランチに寄ったのは
秋色住宅街の中の一角
ピザが有名なカジュアルレストラン。

外になさいます、それとも中で?
とたずねられて私たちが選んだのは
外に一番近い中 窓に向かったカウンター。

外テーブルではおとなの女性がひとり
秋の柔らかな光の中で
一心に編み棒を動かしています。

ビールが運ばれても手を休めずに
ピザが運ばれても
もう少し、もう少し、きりのいいところまで、と。
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ジャズピアノを習っていた頃に
ひきたい曲がいくつかあって
そのひとつが「Autumn in New York」でした。

最初の4行だけは今でも口に出てきます。

Autumn in New York
Why does it seem so inviting
Autumn in New York
It spells the thrill of first-nighting

ニューヨークの秋はどうしてこんなに心をときめかすのだろう
まるで初日の舞台を迎える時のように
と、大都会の秋を歌った曲。

この町もまた
Autumn in DCと歌いたくなるほどに
今、美しい秋です。

追記(10月29日 8時45分)
★明日30日の火曜日まで、日本橋三越本店本館6階アートスクエアで、陶芸家 前田正剛さんの作陶展が開かれています。前田さんの優しさが、花々ばかりではなく、今回は兎にも、虫たちにも表れています。
前田さんについてはこちらをどうぞ。前田さんとのご縁についてはまたあらためて書かせていただきますが、取り急ぎお知らせを。
http://blog.platies.co.jp/article/48245320.html

★アメリカ東海岸に大型ハリケーン・サンディーが向かっています。こちらは日曜日の夜7時45分、まだ雨も風もなく静かですが、先ほどのニュースではワシントンダレス空港と、ナショナルレーガン空港が閉鎖されました。ジョージワシントン大学も明日は休講となりました。またたった今、メトロも運休となりました。台風の前の不気味な静けさです。


By 池澤ショーエンバウム直美

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10月27日(土):ワシントン最初の夜は手抜き日本食
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 23:47| Comment(2) | アメリカライフ

2012年10月27日

37時間の10月26日

10月26日になってから早33時間半がたちます。目下夜の8時半です。
先月ここを発った時には、まだまだ明るくて、夕日と一緒にスイミングをしていましたのに、さすがに日が短くなって外はもう真っ暗です。お夕飯の支度も整ってあとは食べるだけ。急用で大学に出かけた夫を待っています。

5時間目に、寝過ごしたら大変とたくさん並べた目覚まし時計に起こされて、寝不足のまま起き上ったら外はまだうす暗く、急いで最後の支度を終えて車のエンジンをかけたのは6時間半目。

8時間半目、随分早く空港に着いてしまったものですから、搭乗待ちの時間がたっぷり。ラウンジで過ごすよりも、外の空気の中で過ごしたくて、本をたくさん買い込んで展望デッキに行きました。だって、秋の空があまりにきれいで、空気がとても心地よかったのですもの。この時期の、晴れた日にだけ与えられるベネフィットです。
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10時間半目にワシントン行きのいつもの便に乗り込んで、映画を3本楽しんでいたら、
24時間目にダレス空港に着きました。

この道を逆方向に走ったのはついこの間のような気がしますけれど、ハイウェイの両側は赤や黄色の美しい秋色に変わっていました。ここは途中の料金所。
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25時間半目に家に着いて、ふーっと大きく息をして、窓の外を見たらやはり秋に彩られていました。
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荷ほどきをして、いつもの場所にいつものようにしまいこんで、スーツケースを見えない所に隠してしまえば、いつも私のアメリカの日常が始まります。まずすることは、東京の鍵とワシントンの鍵を取り替えて、お財布の中の円をドルに、スイカをSMARTRIPに換えること。そうすれば、さあ、もうどこにだって出かけられます。
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まずは休憩、27時間目。
いつもの場所でいつものように新聞を広げて、いつものように開けたのはブルームーン。
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30時間目、スーパーに買い物に行って、今晩の食材を買いました。いつだってスーパーは心沸き立つ特別空間。この時期特有の野菜や果物や花々を一つ一つ見ているだけで楽しい時間が流れます。

そして、今や33時間半目。
ご飯も炊きあがって、お料理もできあがり、ビル・エヴァンスが流れてくるキッチンにPCを持ち込んで、34時間目に始まるディナータイムを待つばかり。

日付が変わるまでにまだまだ3時間半も残っています。
こんな美しい季節に戻って来られて、何と幸せなことでしょう。

ところでちょっと嬉しいお知らせです。
27日から始まった読書週間を前に、37時間ある10月26日の毎日新聞朝刊で、「グランマからの手紙」が紹介されました。
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2週間の読書週間の間、八重洲ブックセンターでも棚陳列をしてくださるそうです。早速写真が届きました。
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10月25日(水):米粉のクッキーは誰のため?
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 09:59| Comment(0) | アメリカライフ

2012年10月24日

いい時間だったねえ〜ハロウィンのフラワーアレンジメント

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ハロウィンまでちょうど1週間となりました。いつの間にやらすっかり定着したこの行事。私が住む町でもあちこちでカボチャや魔女の飾り付けが見られ、毎年イベントが開かれます。私たちの国の、良くも悪くも面白いのはこんなところ。ハロウィンだろうが、クリスマスだろうが、その大元の宗教的意味合いから離れた「お祭り」を、みんなで楽しんでしまえるのですから。

午前中、「Happy Halloween!!」というフラワーアレンジメントの講座に行ってきました。先生は仲良しの友人ですし、共にテーブルを囲む人たちも知った仲。おしゃべりもはずめば、笑い声も絶えません。

先生のお話によれば、ハロウィンとはそもそも紀元前5〜6世紀のアイルランドの習慣に始まっているとのこと。古代ケルト歴では10月31日が1年の終わりの日、つまり大晦日だったそうです。この日には死者の悪霊が地上に戻ってきて、生きている人たちに悪戯をしたり悪運をもたらすと信じられていました。

その後、カトリック教会が11月11日を全ての聖人と殉教者を記念する万聖節(All Saints’ Day)として以来、その前夜祭がハロウィンとなったそう。

「All Saints’ Day」と言って思い出すのは、一昨年のミラノ暮らしです。ハロウィンの前日のブログにこんなことを書いていました。

「ところで、こちらは11月1日が『All Saints’ Day』と呼ばれる大きな祝日です。日本語では、『諸聖人の日』とか、『万聖節』などと称されるようですが、要するに全ての聖人と殉教者を記念する日です。どうも、毎日がそれぞれの聖人に捧げられているぐらいに、この国には聖人が数え切れないぐらいいるようなのです。それらをまとめて一度にお祝いしてしまおうというのもなかなか合理的(笑)。今年は土日月とロングウィークエンドにつながって、とりわけ人々がソワソワとしています。友人のネリーナも、クラウディオも、朝早く湖畔の家へと出かけました。

 そういえば確か、神無月(10月)の由来も、日本全国津々浦々の神様方が、出雲大社に大集合するからではなかったでしょうか。所変われど、どこか似ているような気がします。」

そんな由来はさておいて、不器用な私にとっても、何かを作るというのはやはり楽しいものです。できあがった作品を大きなバッグに入れての帰り道、友とのランチテーブルでこんな会話が弾みます。

「せいぜいもっても1週間から10日でしょう? それを思うと贅沢なお金の使い方かなとも思うけれど、作っている過程が楽しいんですものね。」

「本当にそう、私、2時間の間、気が付けば全くほかのことは考えてなかった。」

「私もそう。気にかかっていることなんて全部忘れてた(笑)。」

「いい時間だったねえ。」

「ほんと、いい時間だった。楽しかった。」

たしかに、こんな物が、こんなになるんです。
楽しくないわけがありません。
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ところで今年のハロウィンはアメリカで迎えます。こんなにしょっちゅう往復しているのに、思えばハロウィンに居合わせるのは初めてです。アメリカのハロウィンっていったいどんななのでしょう。その模様については来週ご報告いたしますね。

By 池澤ショーエンバウム直美


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10月24日(水):世界に一枚しかないお皿
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 23:49| Comment(0) | 日記

2012年10月22日

世界中の子供たちが 一度に笑ったら

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理不尽なことを避けてばかりもいられまいと覚悟をつけたら、不思議なことに急に風向きが変わり始めたような気がします。何とかの法則とやらにはあまり頼らない身ですが、ふと関西に嫁いでいった若いネイリストのお嬢さんの言葉を思い出しました。

「引き寄せの法則ってあるじゃないですか。私、結婚したい、したいと思っていたんですよ。そしたら出会っちゃって、結婚することになって。。。。」

その真偽はともかくとして、覚悟をつけたことで、心のバリアがなくなって、風通しがよくなったからなのかもしれません。良いニュースが次々と飛び込んできます。昨夜は、たまたま開けたシチリアの白ワインがめっぽう美味しかったこともあって、秋空の半月を愛でながらちょっとばかり感動の涙にむせんでいました。

今は立派な社会人になった教え子の結婚の知らせ。
「来年2月に式を挙げます。出席していただけますか?」
あの突っ張っていた男の子が結婚?と思えばなんだかうるうる。

スペインに行ったまま、長い間行方がわからなかった友からの電話。
「スペインで定年を迎えたの。ちょっとだけ日本に帰ってきたけれどまたすぐに戻ります。」
折しも私たちは11月の半ばからの3週間をスペインで過ごすことになっています。
すぐにマドリッドでの逢瀬が決まって、あまりの偶然になんだかうるうる。

「アドバイスをいただいた企画、通りました!」
とは、若い人たちのグループから。
彼らが大志をいだき、どんなに頑張っていたかを知っているだけに、嬉しくてうるうる。

そして、きわめつけは娘が送ってきてくれたYou Tubeです。
そこに映っていたのは、「お祭のステージ、センターで張り切ってました!」という言葉と共に、小さな少年が一生懸命に踊る姿でした。緑のポンポンを両手に持ち、リズムを取って足踏みをし、片手を突出し、両手をあげて、飛び上がって、、、、、周りの友達との輪と和の中で、誇らしげに堂々と。いつの間にやらこんなになって、と思ったらやっぱりうるうる。

以来、You Tubeから流れてきた歌がいまだにグルグルとまわり続けています。
その詞にもまたうるうる。

世界中の子供たちが 一度に笑ったら
空も笑うだろう ラララ 海も笑うだろう

世界中の子供たちが 一度に泣いたら
空も泣くだろう ラララ 海も泣くだろう

広げよう ボクらの夢を
届けよう ボクらの声を
咲かせよう ボクらの花を
世界に虹をかけよう


オリーブが実を結びました。

By 池澤ショーエンバウム直美


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10月22日(月):失敗は成功のもと?〜カボチャのファルシー

posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 23:13| Comment(0) | 日記

2012年10月21日

Going home, going home

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行きの鞄の中は日本語の本がたくさん。
帰りの鞄の中は英語の本がたくさん。
時として絵や写真の美しさに惹かれて、読めもしない言葉の本が混じりこむこともあります。

人も出会いなら、本も出会いです。
「ああ、あの時どうして買っておかなかったのだろう。」と後になって悔やむことも、「ああ、あの時どうしてもっと話を聞いておかなかったのだろう。」と悔やむことも似ています。

先回のアメリカでも、随分と良い出会いがありました。
場所は本屋さんとは限りません。友人の家だったり、ミュージアムショップだったり、大学の売店だったり、ごく普通のスーベニアショップだったり、レストランやカフェだったりもします。そうそう、小さな田舎町の、見落としてしまいそうな入り口の、薄暗く埃臭い古本屋でまさかの出会いをしたこともあります。

これは、9月のメイン州、アーカディア国立公園のインフォメーションオフィスで出会った本、「Going Home」。著者は自然を愛するMarianne Berkesさん。長年教師をしていた方です。著者の紹介文にはこんなことが書かれています。

「She hopes to open kids’ eyes to the magic found in our natural world.」
(彼女が望むのは、私たちの自然界のマジックに子供たちの目を開かせることだ。)

これまで何度も書いてきた、レイチェル・カーソンの「センス・オブ・ワンダー」に共通するものがあります。

「Going Home」と題するこの本は、「The Mystery of Animal Migration」という副題が示すように、海亀、蝶、マナティー、ハチドリ、鮭、雁、鯨、カリブー、あじさし、ペンギンの10の動物を取り上げて、その「migration(渡り)」の神秘を、心地よいリフレインに始まるたった8行の短い言葉で、子供たちに伝えます。それを声に出して読んでみれば、そのフワフワとした優しい揺らぎは、まるで詩のように、私たち大人の心をも癒すばかりか、時には人生についての思わぬ含蓄を感じさせたりもします。

今日は、最初のページをご紹介させていただきます。
どうぞ声に出して読んでみてください。
私の勝手な和訳は適当に流して、皆さんの言葉でどうぞ。

Going home, going home,
We feel the urge to go.
It’s time for us to travel on,
It’s something we just know.
Many of us look for food,
Others find a mate.
And then the weather starts to change,
There is no time to wait.

おうちに帰ろう おうちに帰ろう、
そうしなくちゃならないんだ。
旅立つ時が来た、
それがぼくらの知っていることさ。
食べ物を探すためだったり、
仲間を探すためだったり。
天気が変わり始めたよ、
もう待ってなんかいられない、帰らなきゃ。

こんな具合に、それぞれの動物の言葉で語られていきます。
「日本に帰ったらブログで紹介させていただいてもよろしいでしょうか?」の問いかけに、「Certainly!」と二つ返事で答えてくれたオフィスの方に感謝して、不定期ではありますけれど続けさせていただきます。

金木犀が香り、光が揺れる美しい日曜日です。
早起きして仕事を片付け、掃除と洗濯も終えました。
さ、これから光の中へ出かけます。
皆様もどうぞ素敵な日曜日を!

By 池澤ショーエンバウム直美


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10月20日(土):スープの出前はいかが?
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 13:52| Comment(0) | 本、映画、コンサートなど

2012年10月20日

都心の秋

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都会の真ん中で、秋をたくさん見つけました。
芝公園から増上寺の境内を抜けて、東京タワーを仰ぎ見ながら坂道を上ります。
高く澄んだ空にフフ、和らいだ光にフフ。
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並んで歩くのは、漢字四文字の名前の中に「秋」を持つ友。
そして、この美しい季節の今日、誕生日を迎える友。

「わたし、今の季節が一番好き。
 風も光も空気も花も、何もかもが好き。
 別に特別なことなんかなくたって、歩いているだけで幸せ。」

「あっ、40年前と同じこと言ってる!」

と、私はフフと優しく笑います。

共に書を読み、青臭い議論をし、時に書を捨て街なかへと冒険に出た友です。
いつも一緒にいた4人組のうち、ひとりは早々と空の上に旅立ってしまいましたけれど、残る3人は、いまだに青臭い議論をします。そして誰からともなく「フフ」と優しく笑います。

「フフ」の分だけ、みんな大人になりました。

今日も気持ちの良い秋晴れです。
みなさま、どうぞ良い一日を!

By 池澤ショーエンバウム直美


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10月19日(金):ウッディ―と一緒のレストラン「ザ・ダイヤモンドホースシュー」
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 08:29| Comment(0) | 友人

2012年10月19日

今しかできないこと 今だからできること 

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みんながここにいなければできないし
誰かが怪我をしていたり
誰かが病気でもできやしない。

もしもそれら全てが叶えられたとしたって
○才と ▽才と □才と ◇才と、etc. etc.
そんな組み合わせは 
今しかありえない一期一会のようなもの。

「いつか」という便利な言葉で先送りしてしまったら
「いつか」なんて来ないかもしれないと
口には出さなくたって
みんな たぶんわかっているから
幸運な偶然に「ありがとう」と呟きながら
今しかできないことのために
一生懸命 時間を作る。

かたや「今だからできること」というのもあって
これは「今しかできないこと」とは
似ているようでいて 実は全く違う。
どう違うかといえば、
点と線。

長い道のりを歩いてきて
そこそこに知恵もついてきて
ようやく担えるようになった役割が
「今だからできること」

たとえば
次世代の人たちのキャリアを手助けすること。
彼らにバトンを渡し
彼らが表舞台に立つための黒子になること
あるいは 彼らが夢を叶えるために
ちょっとだけ後ろから背中を押してあげること。

昨日もそんな時間があって
二台のパソコンをフル回転
もう大丈夫、彼女はきっといい本を書けるはず。
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今しかできないこと と
今だからできること で
なんだかけっこう忙しい。

By 池澤ショーエンバウム直美

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10月17日(水):葡萄の葉でまいても キャベツでまいても
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 07:41| Comment(0) | 日記

2012年10月16日

和を以て尊しとなす〜セイタカアワダチソウとススキ

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いつもと違う道を通って帰ってみたら
バス通り沿いにあった家が取り壊されたあとの空き地を
セイタカワダチ草が覆っていました。
ところどころでススキが頭を伸ばしています。
小さな秋の野原でした。

ここに建っていた家がなくなったのは
そんな前ではなかったような気がしますのに。

この、見様によっては美しい花については、これまでにも書いたことがありますが、要するに、日本では駆除すべき外来植物であり、アメリカではノスタルジーもあいまって、中西部のシンボルフラワーともされる「Golden Rod(ゴールデンロッド)です。

以前、碩学の読者からこんなコメントをいただいて、いたく感じ入ったことがあります。

「五木寛之さんが書いておられます。

『線路わきに青い草が群生しているのが見えた。秋風にゆれる背の高い草のあいだに、ススキが5、6本、かたまって白い穂をもたげている……そのススキの周囲におい茂っている草を見て、一瞬、おや、と思った。ススキより頭ひとつ低く、さも仲がよさそうに寄りそっている草たちは、なんとセイタカアワダチソウではないか』

 その昔、セイタカワダチソウが日本に上陸して、ありとあらゆる空き地を占拠する勢い、ススキは全滅してしまうのではないかと危惧されたわけです。高さも2mとかあったわけですね。なのに、おや、と思ったわけです。

 『セイタカアワダチソウの一族は、かつての猛々しい姿をやつして、なで肩でススキとしおらしく共生している。植物も、文化も、このようにして根付くものなのだろうか。馴化、という生物学で習った言葉を、ふと思い出す』

 和を以て尊しとなす」

たしかに、今日見た空き地でも、セイタカアワダチソウとススキは、平和に共生しているように見えました。

限られた日本時間が刻々と過ぎる中、公私ともども忙しい日々が続いています。
だからこそ、今の自分の役割がより明確になってきたような気もします。

1日は24時間、1週間は7日。
ならば、捨てる物は捨て、あきらめるものはあきらめて
本当に大切なものだけを残しましょうか。
良き思いのためにだけ時間を使いましょうか。
そんな取捨選択は、同時に、心地良い自由でもあります。

By 池澤ショーエンバウム直美

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10月15日(月):高尾山の麓で食べた天狗焼き

posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 07:44| Comment(0) | 暮らしの知恵