2013年01月30日

38巻まできた栄花物語

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右目から左目へと二度の白内障の手術を終えて、1週間前に退院した先生にお会いしました。お日様がまぶしかったり、遠くが見えなかったりと、まだまだご不便はあるものの、心配していたよりもずっとお元気でした。

初めてお会いした24年前からこれっぽっちも変わらずに尊敬をしている先生です。

先生、段差がありますよ。
先生、そこ狭くなってますからね。

などと、時には手を差し出しながら、並んだり、後になったり、先になったりしながら歩きます。

お会いするたびに、いろいろなことを教えていただいて、感動もすれば、心も潤います。先生にお会いした後は、知の喜びに満たされて、心の川が清流になるようです。

数学者なのに、先生は栄花物語をもう3年も読み続けています。もちろん原文です。あまりに複雑な人間関係を読み解くために書き進めた系図がすでに7頁。神田の古本屋でふと出会った分厚い2冊の古書がそのきっかけでした

栄花物語は全40巻。
先生は毎日寝る前に30分から1時間、それを読みます。
そうしたら、もう38巻も読んでしまいました。

二度の入院の時も、16頁のコピーを病院に持っていき片目で読んだそうです。何しろ退屈なものですから、いっきに読んだと言います。そして、わかったそうです。「少しずつ読むよりもいっきに読む方が効率がいい。いろいろ思い出す必要もないから。」と。

けれども先生は、この習慣を一度だけお休みしたことがあります。
それは、ある日ある時、偶然に、中学時代の日記を見つけた時でした。インクが擦れかけているのを見た時に、消えてしまう前にパソコンに移さなければと、せっせとキーボードを叩き始めたそうです。「そりゃ君、時間がかかって大変だったんだよ。」と、私の大好きな穏やかな笑顔でおっしゃいます。

どうして数学者の先生が、平安時代の古典などを読み続けているのでしょう。

「数学をやっていると頭が止まらなくなるんだよ。そんな時に頭の動きを止めるには、碁を打つことがひとつ、そして数学とはおよそ関係のない本を読むことがひとつ。碁について言えば、前に自分で打った碁を並べてみたり、まるでちがったものを並べてみたりすると、数学の思索が止まる。栄花物語を読むこともそう。まさか読みながら数学を考えるわけにいかないから、おのずと考えるのが止まるんだ。」

ここまでだって十分にエキサイティングで、十分な示唆がありますが、まだまだ話は展開します。グローバルとは? 真の国際人とは? リベラル・アーツとは?

私だけの中に留めておくにはもったいなくて、
先生の許可をいただいて、また次回も続けます。

まるで学生時代に戻ったかのように知的ときめきに心躍らす時は、誰が何と言おうと文句なく、私の幸せ時間です。

By 池澤ショーエンバウム直美


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1月30日(水):メインディッシュは朝摘み水菜と、大好きなパン包み布
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 23:04| Comment(0) | 友人

2013年01月28日

垣根のない心地よさ〜「それはおしゃれなコンサート」

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昨日、調布のグリーンホールで素敵なコンサートがありました。
その名も「それはおしゃれなコンサート」。
1994年以来、もう19回目になります。今年は実力派青年3名からなる「ESCOLTA(エスコルタ)」のステージでした。大ホールの席はほぼ満員です。

拍手もあります、笑い声もあります、手拍子もあります。
もし普通のコンサートと違うところがあるとしたら、時折聞こえる唸るような声とか、ひっきりなしに体を揺する観客とか、客席にくっつけるようにおかれた移動ベッドなどでしょうか。けれども、そんなことはちっとも特別なことではありません。誰も気にも留めやしません。それが、ごくごく当たり前に会場の空気になっているのですから。

それが長年続いている「それはおしゃれなコンサート」です。主催は「社会福祉法人 調布を耕す会」です。障碍のある人たちが地域社会で個性豊かに生き生きと暮らすための場やしくみを創るために働いています。

「さまざまな文化活動、例えば演劇や展覧会、あるいは音楽会に、たまにはちょっとおしゃれに出かけたりして、暮らしにうるおいをもちたい。だけど、料金が高かったり、会場が遠かったり、敷居が高かったりでなかなか機会がない。そんな人、意外と多いのではないでしょうか。

 とりわけ障碍のある人たちにとっては、まっだまだそのような文化活動の『場』に、気軽に出かけて行ける土壌はできていないのが現実です。

 そこで今年も、すばらしいゲストを迎え、『音楽会』という手法を取り入れ、だれもが参加できる『場』を身近な地域に企画しました。障碍のある人も、ない人も、ちょっぴりおしゃれなコンサートで、ゆたかな歌声からひろがる新しい世界を、どうぞごゆっくりお楽しみください。」 (「それはおしゃれなコンサート」パンフレットより)

日本にいさえれば、できるだけその「場」に気軽に出かけるようにしています。障碍があろうがなかろうが、それはたまたまのことであって、何も垣根で分け隔てをするものではない、そんな「場」がとても居心地が良いのです。

唸り声をあげようが、からだを揺すろうが、チューブをつけてベッドに横たわろうが、あるいはたまたまそのどれにも当てはまらなくたって、みん同じに美しい音楽を聞いて、みんな同じに楽しんでいるのですから。

カーテンコールでは、場合によっては「障碍」というくくりの中に入ってしまう人たちが舞台に登り、「エスコルタ」の三人に誇らしげに花束を渡しました。何も特別のことでない、ごく普通の風景として。

初心声を上げた時に産院に飛んで行った子も今ではもう20代後半。
昨日は花柄のスカートでおめかしをして、とびっきりの笑顔で花束を持って舞台に上がりました。そして、わが子を遠くで見守る親友夫妻もまた、ヒマワリのように明るいとびっきりの笑顔で輝いていました。

いいコンサートでした。
帰りの寒さなんて一瞬のうちに吹き飛ばすような暖かい「場」でした。

雪に埋まっていた小さな椿の苗が、最初の蕾を開きかけています。
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By 池澤ショーエンバウム直美


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1月28日(月):今や我が家のお茶係り〜まわるまわるよ 時代はまわる
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 23:47| Comment(0) | 本、映画、コンサートなど

2013年01月27日

Short Short Spain 25

グラナダのカテドラル
ステンドグラスとゴールドに彩られて
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By 池澤ショーエンンバウム直美
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 22:16| Comment(0) | 日記

オノ・ヨーコさんの「仕事力」

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明るくおだやかな日差しに満ちた、1月最後の日曜日です。
ちょっとあわただしい日が続いていて、昨夜も遅かったものですから、今日はゆっくりと目覚めたら、まだ郵便受けに新聞を取りに行く前に友からの着信がありました。

「読みました?今朝の『仕事力』。今朝の紙面の中でとても印象に残りましたよ。最終回なのが残念。」

ジョン・レノン&オノ・ヨーコ夫妻が東京滞在中に、よくホテルからタクシーで乗り付けてはモーニングコーヒーを飲んでいた、という築地の店をご贔屓にしている友ですから、「仕事力『心の光を消さないで』〜オノ・ヨーコが語る仕事」は日曜朝の楽しみだったのでしょう。

「仕事力」には、これまでにもいろいろな方々からのメッセージが掲載されてきましたし、すでに、白、青、紅、金と表紙の色を変えて書籍としても出版されています。さまざまな分野で活躍する方々の自らの経験や人生をふまえての言葉は、これから社会に出る人も、目下仕事の渦中にある人も、リタイアを考えている人も、すでにリタイアをした人も、その人なりに心を打たれる言葉に出会うことでしょう。

時として、それは、「人生力」と置き換えてもいいほどに、生きていくことへのたくさんの示唆を与えてくれます。

初回から最終回の今日まで、もう一度読み返してみれば、不思議なことに、前回とは心に残る箇所が少しばかり違っていたりするのもまた面白いところです。

*「一人で見る夢はただの夢」だけれど、「みんなで見る夢は現実になる」。私もそうやって仕事を実現してきました。(1月6日)

*境遇には恵まれていなくても、大変な環境に置かれていても、それをクリエーティブに変えていくのは「誇り」と言う力です。人間は、誇りを持たなかったら駄目になる、惨めになる。(1月13日)

*私は30歳前後でした。すでに平穏な人生ではなく、自分の仕事の展望にもプライベートにも確かな見通しはありませんでした。現在のあなたと似ていますか?ただ一つ問いただしたのは、「自分らしいか」ということでした。どんな時でも自分らしくいることが私には一番大事でした。(1月20日)

*私の夫ジョン・レノンは、息子のショーンを育てたいと主夫になりました。英国の保守的な環境で成長したジョンには、葛藤のある決断だったはずです。でも、自分にできる新しい役割を見つけ出したことは、とてもクリエーティブな生き方だった。(1月27日)

数年前のあるパーティーで、ヨーコさんにお会いしたことがあります。宇宙飛行士を思わせるような銀色の服をまとって、大きなサングラスをちょっとずらしたように顔にのせるヨーコさんは、もう70を越えたというのに、圧倒的な存在感で周囲の空気を「ヨーコ色」に染めていました。近づけば発散されるパワーが伝わってくるかのようでした。言葉を交わした夫が、帰り道で敬意をこめて言いました。「あんなに小柄なのに、あんなに強くて、あんなにクリエイティブでいられるなんて、、、、なんていう偉大な生き方、なんていう魅力的な人なのだろう!!」

ヨーコさんも来月でもう80歳。
そんな言葉がこれほど似合わない方も珍しいのではないでしょうか。

By 池澤ショーエンバウム直美


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1月27日(日):娘の食卓〜まわりまわるよ 時代はまわる

posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 12:53| Comment(2) | 本、映画、コンサートなど

2013年01月26日

Short short Spain 24

アルハンブラ宮殿の
画家とモデル
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By 池澤ショーエンバウム直美
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 10:45| Comment(0) | スペインライフ

2013年01月24日

浅草の神社で出会った麦藁蛇

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ごぞんじ、仲見世を抜けたところにあるのがいつも賑わいを見せる浅草寺。観音様をまつる都内最古のお寺です。そしてそのすぐ右隣に建つのが浅草富士浅間神社です。実は、こんな所に小さな神社があるなん、恥ずかしながらついこの間まで知りませんでした。

友に連れられ行ってみれば、周囲はお隣りの人ごみとは比べようもなくひっそりとしています。それが浅草富士浅間神社です。

「表には出ていないけれど、頼めば麦藁蛇(むぎわらじゃ)を出してくれるらしいよ。」

たしかに表に面した台の上にあるのはいわゆるお守りやお札だけで、「麦藁蛇」らしきものは見当たりません。「あのお、、、」とおずおずと切り出せば、巫女さんが人数分の袋を奥から出してきてくれました。

麦藁蛇、1000円です。ぽっこり膨らんだ袋の中に入っていたのは、縦16センチ、横10センチほどの実に素朴なお守りでした。Tの字を逆さにした縦軸に、編んだ藁が蔦のようにからまっています。これが麦藁蛇なのでしょう。そう言われればなるほど、くねくねと登っていく蛇に見えないわけでもありません。

袋の中には「いわれ」の説明も入っています。面白いのでそのままご紹介してみます。

「江戸時代の草紙『江戸塵拾』において『寛永の頃、駒込の喜八という者が、ふと是を作って富士浅間神社の祭礼の位置で売った所、多くの人が珍しげに買って帰り家の中に飾った。その年の七月に疫病が流行ったが、是を飾った家の人は一切病気にならず、その後誰もが祭礼の際に是を求めた。』とあり、そうしたことから江戸中の浅間神社が麦藁蛇を御守として頒布するようになったと伝えられています。

 当浅草富士浅間神社に於いても昭和初期頃までは境内において植木市の風物として頒布されていましたが、いつの間にかその形を見ることはなくなりました。」

さて、この次が面白い所。

「そもそも蛇という生き物は古来日本において水神である龍の使い(仮の姿)であると考えられ、水による疫病や水害などの災難から守ってくれると信仰されています。また別の意味では厄除けや雷除け、火防せの蛇として信仰もあります。

 水は人間の生活に決して欠かせない命の源であり、蛇をモチーフにした麦藁蛇を水道の蛇口や水回りに祀ることにより、水による災難から守られ、日々の生活を無事安泰に過ごせるとされています。」

 そしてどうなったかと言いますと、

「この度、この失われかけた風習・文化を保守し後世に継承していくことを目的として、麦藁蛇を浅草富士浅間神社の御守として再現する運びとなりました。」

 巳年の今年に私たちの目の前に現れたのは、そんな大きなお役目を担う小さな蛇さんだったわけです。

それにしても面白いもので、「あなたってまるで蛇のような人ね。」などと言われて喜ぶ人はまずいないと思います。英語でも「snake」と言えば陰険な人、冷酷な人を暗示します。それなのに、出るところに出ればこうして御守としてあがめられるのですから。

同じことは、蛇が仕える水神様、「龍」についてだって言えるでしょう。

昨年9月にワシントンの小さなミュージアム「Textile Museum」で開催されていたのは、様々国や地域の織物に織り込まれた龍の姿をテーマにした特別展でした。ある所では力のシンボルとして崇められているかと思えば、ある所では悪をもたらす忌むべき魔の使いとして退治され、、、、、

蛇社会も龍社会も、なんだか私たち人間社会によく似た気がしないでもありませんね(笑)。

 http://blog.platies.co.jp/article/58445352.html 
(「小さな、でも素敵な『Textile Museum』 2012/9/23)

By 池澤ショーエンバウム直美


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1月23日(水):スパイスワンダーランドへの旅〜シナモン、オレガノ、ベイリーフ
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 12:50| Comment(0) | 日本ライフ

2013年01月23日

Short Short Spain 23

教会の正面玄関
ほどこしを待つ黒衣の女たち

そのすぐそば
われ関せずと歩く白衣のアヒルたち (バルセロナ)
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By 池澤ショーエンバウム直美
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 23:10| Comment(0) | スペインライフ

2013年01月22日

シャボン玉 ルルルルルルル その2

ふわふわと飛ぶシャボン玉の向こう、満開の桜の下でシーソーに興ずる白い帽子の少年たち。その笑い声が遠い記憶を呼び起こします。

おばあさんがひとりで店番をしている煙草屋さんがあって、路面電車が走り、勝鬨橋を夕日が照らし、子供たちがおませな会話をしています。

「いよいよ来年、東京オリンピックだって。楽しみだなあ」

ダッコちゃんを腕につけて遊ぶ少女たちに、お母さんの声が届きます。

「ごはんよ〜。シャボン玉ホリデーが始まるわよ〜。」

舞台は一転して、日曜日6時半の「シャボン玉ホリデー」になります。1800名ものシンガーがカバーをしたと言うスタンダードの名曲「スターダスト」のイントロが流れます。60年代のあの時代を知る者は、それだけで「元いた場所」に戻ります。

テレビではアメリカのドラマが全盛でした。ララミー牧場、ローハイド、拳銃無宿、ペリー・メイスン、サンセット77、パパは何でも知っている、うちのママは世界一、、、、それらのシーンが大画面に次々と映し出されます。

ドラマばかりではありません。当時のヒットソングのほとんど全てが、アメリカンポップスに日本語の歌詞をあてたものでした。虎姫たちがメドレーで歌い、踊ります。

悲しき雨音
ルイジアナママ
ヘイポーラ
バケーション
ロコモーション
レモンのキッス
砂に消えた涙
月影のナポリ、、、、、、、、、、

そして時は次の時代へと移ります。ザ・ピーナッツに扮した二人が、アメリカンポップスではなく、オリジナルの和製ポップスを歌います。

恋のバカンス
ふりむかないで
ローマの雨
モスラ
若い季節
ウナセラディ東京
情熱の花
恋のフーガ、、、、、、、

あの時代へのセンチメンタルジャーニーは、今自分が置かれている「現在」を完全に忘れさせます。だからでしょうか、この昭和歌謡レヴュー「シャボン玉だよ!牛乳石鹸!!」にはリピーターが多いと聞きます。今回の4人組も、おひとりにいたってはなんと4回目。かくいう私も、「あの人をお連れしたい」「この人も喜びそう」などと、次から次へと同じ世代の友人たちの顔が浮かびます。夫にも見せたくて早速予約をしました。

虎姫一座の魅力は、そのパフォーマンスもさることながら、浅草という場所柄がかもしだす何とも言えない庶民的な距離感です。舞台が終わると9名全員が廊下でお客様を見送って、話しかけたり答えたりのフロアーコミュニケーションが始まります。

乗りのいい仲間が「さあ、みんな並んで並んで」と号令をかけたら、照れくさいながらもこんな写真になりました。
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すぐには現代に戻れなくて、みんなでブラブラ歩き回っていたら、空が茜色に染まり始めました。東京はまだまだ美しく、浅草はまだまだ面白い町です。
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昨年、ワシントン〜成田の機内で見た映画「ALWAYS 三丁目の夕日‘64」もまた、オリンピックの時代の東京でした。売れない作家を夫に持ち、苦労が絶えない貧乏暮しの妻が、最後にこんなことを言います。

「幸せって何? お金? 出世?
 ちがう、好きな人と一緒にいることだと思う。」

夕日が美しかったあの時代には、そんな言葉がやけにしっくりときます。

By 池澤ショーエンバウム直美


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1月22日(火):スペインのローズマリーチーズから始まるハーブの世界
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 22:39| Comment(0) | 本、映画、コンサートなど

2013年01月21日

シャボン玉 ルルルルルルル その1

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シャボン玉 ルルルルルルル
シャボン玉 ラララララララ
ロマ〜ンチックな夢ね
まる〜いすてきな夢ね
リズムに乗って 運んでくるのね
ホリデー ホリデー シャーボン玉
シャボン玉 ホリデー

この文字を読みながら、もしもついついメロディーをつけて歌ってしまうなら、ぜひお勧めしたいものがあります。ええ、もちろん私も「歌ってしまう派」ですから、もうとことん共感して、次から次へと出て来る歌を知らず知らずのうちに全部一緒に口ずさんでいました。

ほら、よく言うではありませんか、「まるで走馬灯のように」と。
本当にまるで走馬灯のように、いろいろな思い出がまわりまわりました。
それにしても、あの頃聞いた歌がまだこんなにも心の奥にしまわれていただなんて、、、、、

幕開けは舞台の上に舞う本物のシャボン玉。
幕切れも舞台の上に舞う本物のシャボン玉。

「虎姫一座」の昭和歌謡レヴュー「シャボン玉だよ!牛乳石鹸!」は、浅草六区の小さな劇場で見られます。あの時代など知るはずもない9名の若者たちが、あの時代に私たちを連れていき、あの時代に私たちをとっぷりと浸らせてくれます。歌も踊りもなかなか優れたエンターテインメントです。

ステージの大きな画面では、要所要所で小倉久寛さんが昭和の歴史を語り、実際の映像が流れます。そんな演出もよくできていて、歌って踊ってのレヴューを見に来たつもりが、いつの間にかしっかり勉強までさせられています。

NHKと日本テレビが開局したのが1953年。
1955年にはラジオ東京テレビが
1959年にはフジテレビと日本教育テレビが開局しました。

歴史をたどる中で、NHKと民放の違いも教えてくれたかと思えば、舞台は一転してなつかしいコマーシャルソングの再現になります。「カステラ一番 電話は二番 三時のおやつは文明堂」では白クマさんたちが足をあげます。

虎姫たちが歌い踊ります。

「伊東に行くならハトヤ、、、、」
「僕の名前はヤンボー、、、、」
「チョコレート、チョコレート、チョコレートは、、、」
「ドライブウェイに春がくりゃ、、、」 etc.etc.

時は進み、皇太子様のご成婚パレードの映像が大きな画面に映し出されれば、安保闘争も、東京オリンピックも、大阪万博も映ります。昭和の歴史とテレビ文化が重なります。それぞれの人たちの、それぞれの思い出が重なります。そしてふと思います。

「いろいろあったけれど、結局はいい時代を生きてきたのかなあ。」

(次回に続きます。)

By 池澤ショーエンバウム直美


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1月21日(月):魔除けのオレンジポマンダー
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 23:10| Comment(2) | 本、映画、コンサートなど

2013年01月20日

Short Short Spain 22

歴史博物館のテキスタイルコーナー
色も模様も大好きです。(バルセロナ)
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By 池澤ショーエンバウム直美
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 23:42| Comment(0) | 日記

私の役割2〜成長し変化するもの

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よく晴れた朝です。大雪の日からそろそろ1週間がたとうというのに、まだまだ雪の残りが至る所に見られます。ご近所の方たちと一緒に、日陰の道に貼りついてしまった固い雪に水をかけたり、シャベルでコツコツとたたいたりしながら、「さあ、あとはお日様にまかせましょうか。」と暖かい部屋に戻ったとたんに電話が鳴りました。

「ずっと言いたかったんですけれど、我慢していたことがあるんです。」

という切り出しに思わず身構えます。電話の主は私より一回り以上年下の友です。

「決まりました!これまでもいろいろご心配をおかけしましたので、正式な結果が出るまでは黙っていようと思っていたんです。」

たしかにこの1〜2年、悩む友の聞き役になって、一緒に喜んだりがっかりしたりしながら、力になれる方にお繋ぎしたりもしてきました。けれども今のご時世、いかに能力や実績があろうと、就職や転職はなまやさしいことではありません。おまけに友の場合には全く別の領域へのキャリアチェンジを希望していました。そんな経緯があるだけに、新しい世界への扉が開いたことを知らせる電話は本当に嬉しいものでした。しかも、その扉の先にあるのは、これまでの苦労のご褒美とも思える素晴らしい世界なのです。

芦ノ湖を見下ろす静寂な銀世界にしばらくこもっていました。本来ならばそろそろ書きあがっていなければならない原稿が大幅に遅れているのです。しかも、これは今という時代に書かれるからこそ価値があるもの。まだ40代半ばの著者の行動力と、未来への思い、蓄積された経験を、進路に迷う若い人たちに、今、伝えなければなりません。夫に説明する時に口をついて出た言葉が、私の役割をそのまま表しているようです。

「My role is to encourage her, inspire her and help her write what she wants to say.」
(私の役割は、彼女を励まし、気づきを与え、言いたいことを書けるようにすること。)

人の役割はそれぞれです。ひとりの人に求められるのも、家庭人として、仕事人として、また、さまざまな繋がりを持ちながら今を生きている者としてなど、いろいろな役割です。しかも、それらは年月とともに変わっていきます。20代の頃の役割と、40代、60代では全く違います。私たちが時と共に成長し、変化をしていくように、「役割」というものも変化をします。

私自身の今の役割を考える時、そのひとつは人と人との間の触媒になることですし、もうひとつは、「さあ、今度はあなたの番よ。大丈夫、大丈夫、ほら。」と、その肩をポンと押しながら未来へのバトンを渡すことかな、と思います。失敗を繰り返しながら学んできた先達としての知恵や経験、人との繋がりの恵みを、何らかの形で次世代の人たちに使ってもらえれば、こんなに嬉しいことはありません。なぜならそれは、20代でも、30代でも、40代でもできなかった「役割」なのですから。

時に自分の子供のように若い人たちの足をひっぱり、彼らの進路をふさぐことにやっきになっている大人を見かけることがあります。自身の成長と共に、その「役割」も成長を止めてしまったのでしょうか。残念なことです。
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By 池澤ショーエンバウム直美


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1月19日(土):箱根湯本の酒屋さんで
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 12:52| Comment(0) | エイジング

2013年01月17日

Short Short Short Spain 21

モンセラット
標高725メートルで出会ったFUJI FILM
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By 池澤ショーエンバウム直美
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 22:17| Comment(0) | スペインライフ

2013年01月16日

ホイットニー・ヒューストンの「Dignity」

小学生の時、国語の授業で宿題が出ました。
「自分の好きな詩を書いてくること」

何を書いていいかわからなくて、母に聞きました。
「ねえ、おかあさん、おかあさんの好きな詩ってなに?」

母が恥ずかしそうにつぶやきました。
「山のあなたの空遠く さいわい住むと人のいう、、、、、、、、、、」

結局、私は宿題に何を書いて出したのか、かんじんなことは覚えていないのに、そんなことばかりが記憶に残っています。

カナダの高校に留学していた娘に宿題が出ました。
「あなたの好きな詩を書きなさい。」

娘は、私になど何ひとつも聞きもせず、ホイットニー・ヒューストンの「The Greatest Love of All」を書きました。枠におさまるのではなく、枠から飛び出ることを教えるリベラルな教育の中では、そんな選択も可能だったのでしょう。

あとから聞いてその偶然に驚きました。なぜならこの歌、いえこの詩は私にとっても特別なものだったからです。苦しい時、悲しい時には、いつも心の中で唱えていました。それを娘に語ったことなどただの一度もなかったはずでした。

I decided long ago
Never to walk in anyone’s shadow
If I fail, if I succeed,
At least I will live as I believe
No matter what they take from me
They can’t take away my dignity

ここにもまた「dignity」という言葉が出てきます。

「失敗しようが成功しようが、私は自分が信じた道を行く。
 ほかの何を奪われようとも、誰も私の『dignity』 を奪うことはできない。」

この「dignity」という言葉、いったい何と訳したらいいでしょう。
誇りでしょうか、尊厳でしょうか、自分が自分であるための揺るぎなき根拠でしょうか。

ところで、昨年2月に48歳の若さで急逝したホイットニー・ヒューストンですが、その半年後に公開された映画「Sparkle」がアメリカで大ヒットを記録しました。ホイットニーが演じるのは、スターを目指す3人娘の母親であり、元歌手であった女性の役です。母との葛藤の中で挫折しながら、輝く将来を信じて歩き続ける娘たちはみごとに美しく、ホイットニーもまた、諦めと寂しさを身にまといながらも、「dignity」を持ち続ける中年女性をみごとに演じています。教会での彼女のゴスペルは圧巻です。日本で公開になりましたらぜひご覧ください。
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By 池澤ショーエンバウム直美


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1月16日(水):これなら許せる?100%オリーブオイルのポテトチップス
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 23:54| Comment(0) | その他メッセージ

Short Short Spain 20

これもまた
ひとめぼれした
ペンダント
ひとつひとつに
友を思いて
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By 池澤ショーエンバウム直美
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 10:37| Comment(0) | スペインライフ

2013年01月15日

「Dignity」についての第一章〜昨日に続いて

大学時代の親友とぶらぶら歩きのおしゃべりは、いっくら歩いても途切れることはありません。

「定年を延長をする選択肢もあったのだけれど、、、、、」

と言う彼女は、昨年3月に長年携わってきた仕事を辞めて、多忙だった年月にはできなかったことをゆっくりと楽しんでいます。それでも時に迷いも出るようで、先日会った時には珍しく気弱な様子で言いました。

「今でも毎日出勤してお給料をもらっている昔の同僚のことを考えると、はたして自分の選択が正しかったのかどうかわらかなくなる時がある。」

年季のはいった友情に裏付けられた私は、こんな問いを投げかけます。

「ねえ、それって代われるものなら代わりたいってこと?」

すかさず彼女が答えます。

「違う! 代わりたくない! 今の私でいい!」

そして、照れくさそうに続けます。
「なあんだ、結局そういうことだったんだ。ああ、すっきりした(笑)。」

よく似たことは私にもありました。あまりに馬鹿げたことに悩まされて、つい愚痴をこぼしてしまったら、まっすぐに私の目を見て夫が言いました。

「じゃ君は、もし神様がその人と交換してくれると言ったなら、そうしてもらいたいってこと?」

考える間もなく答えていました。

「No, never!  代わりたくない! 今の私でいい!」

映画「雨に唄えば」の冒頭で、ジーン・ケリー扮するダンがインタビュアーの質問に答えて言った言葉、「Dignity」というのは、友がすかさず叫んだ「違う!」であり、私が考える間もなく口にした「No, never!」ではないかと思うのです。


P.S. 横浜でお仕事の打ち合わせがありましたので、終わった後、ずっと気になっていた弘明寺の観音様を拝観してきました。縞模様のようにノミで彫った跡が見られる平安時代の重要文化財です。誰もいない内陣で、ふっくらとしたお顔の観音様と向き合っていると、心の埃がふうっと払われていく気がします。「静謐」という言葉が良く似合う時間でした。
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By 池澤ショーエンバウム直美


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1月15日(火):ドライブインにもオリーブがたくさん!@スペイン


posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 23:10| Comment(0) | その他メッセージ