2011年07月19日

競わず張り合わず、心地よく

 しばらくはこのバナーを置かせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
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 昨日朝一番に飛び込んできた携帯メールは6時52分。内容はと言えば、
「ナオミさん、おはようございます。素晴らしかった!興奮、感動、サッカーで世界一!」

 私はそ知らぬ顔で、「録画しておいてあげたわよ。見る?」
 いつもなら朝の散歩もかねて駅までJAPAN TIMESを買いに行く夫も、昨日ばかりはソワソワと一言、「見る!」。

「結果知りたい?」
「知りたくない。教えないで。」

 というわけで、お昼からのパーティーに備えてガアガアと掃除機をかけまわり、ゴシゴシと床をふきまわり、重い花瓶を落とさないように運んでは花を生ける私の汗水たらしての苦労など、まるで目に入らぬかのように、(ええ、確実に目に入ってはいませんね。掃除機の音も聞こえてはいませんね。)寝起きのままの甚平姿で長い足をソファの上に投げ打って、夢中になってテレビの画面に見入る人。時々聞こえてくる、「Oh My God!」という溜息や、「Great!」「Good Job!」などという叫び声。

 邪魔にならないように合間を見計らって、そっと聞いてみました。
「正直に教えて。あなたはどっちのチームを応援してるの?」
 その答たるや間髪も入れずに、
「もちろんNADESHIKOに決まってるじゃないか!!!」

 私は時間を気にしながらひたすらパーティーの準備です。機械音痴に加えて、スポーツ音痴の私には、いったい決着が付くまでにどれだけの時間がかかるのかもわかりません。もしもこのままお客様が来てしまったらと、甚平姿で毛むくじゃらの足を投げ出しているパーティーの主役であるべき人を横目で見ながら、気が気ではありません。

 幸い、大きな拍手と供に、なにやらメガネを外して目頭を拭いている人は、席を立って自分の部屋に戻って、お客を迎えるべく身支度を始めてくれました。

 お誕生日祝いに家族全員が大集合するというのに、ソワソワするでもなく、神経質にウロウロするでもなく、私が掃き残した床のホコリを指でつまむでもなく、いつものように悠然としているマイペースの人との共同生活にも、もう大分慣れました。あせったりイライラすることをやめて、そんな泰然自若さに慣れてしまえば、それはそれで心地良いもの。「ナオミ、ここ、もう少しきれいにしたら」などとも言わずに、だいたいのことは大雑把に、「部屋がきれいになったね。花もきれいだね。今日はきっといいパーティーになるね。」と言ってくれる人の大らかさ。

 この人と暮すようになってから、なんと言ったらいいのでしょうか、とても楽になりました。大らかさも、それなのにいざと言う時に見せる信じられないほどの集中力も、「自分でコントロールできないことは忘れることさ」という潔さも、知識も、思考力も、論理性も、私がどう頑張ったって真似のできないもの。

 競うことも張り合うことも、全てを放棄してしまえることがこんなに心地良いものだとは、これもまた、年を重ねて教えられた知恵の恵みかもしれません。

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7月19日(火)予定: 奇跡のパーティーの行方 
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 15:51| Comment(0) | パートナーシップ

2011年06月05日

ライバルになんてなれやしません。

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 今日は特別な日。

 1年ぶりに再会した友と、新しく加わった仲間を交えて、グローバルキッチンの最後の会を無事に楽しく終えることができました。夜にはまた別の仲間たちが集まって、同じテーブルを囲み、同じ料理、と言えば聞こえはいいのですけれど、要するに残り物(笑)を食べながらのプロジェクト会議。同じ星を見ながら過ごす時間は、課題は山積みながらも心豊かに流れて行きます。

 そして今日は、私たちの結婚記念日です。
 それなのに私はひとり、いるべき人がいません。

 「Thank you for understanding and letting me do this.
I will call you when I arrive.」
 (理解をしてくれてありがとう。我が儘を許してくれてありがとう。着いたら電話をする。)

 と言うメールがワシントンから届いたのは、日本時間の5月20日の深夜でした。その人はその晩、マドリッドに飛び発ち、あろうことか、2週間80時間のスペイン語学校に入学してしまったのです。そして、自分よりもはるかに若い人たちと机を並べて、毎日スペイン語を勉強する学生になってしまいました。

 しかもこの、海事法を専門の一つとする国際法の学者は、前日まで例のメキシコ湾原油流出事故の日本側の弁護士をしていたのです。三井物産とイギリスの大手石油会社BPとの間で和解の目処が立つやいなや、携帯電話も持たず、コンピューターも持たず、ふらりとマドリッドで学生になってしまいました。

 この年で? いったい何のために? それが残りの人生に何の役に立つというの?
という陳腐な言葉が喉元まで出ながらも、私には止めることなどできません。その人にとっては、何の役にも立たない知的好奇心を満足させることこそが、きわめて個人的な、至上の喜びであることを、もう十分に知っているからです。

「I understand and let you do this.」
(わかりました。どうぞお好きなように。)

 と言うほかはありません。そんな自分勝手なところに惚れたのは、ほかならぬこの私なのですから。たとえ、結婚記念日にひとりであろうとも、それをなじることはできません。

 この春、ワシントンで知り合った、若く有能な女性が言いました。夫婦共に活躍するジャーナリストでありながら、ご主人の海外赴任に際して退職の道を選んだ人です。

「ナオミさん、夫婦はライバルにならない方がいいの。夫婦で競ってはだめ。私は夫のために現場を退いたけれど、これはこれで貴重な経験。後になったらきっとこの価値がわかり、感謝をするようになる。」

 逆立ちしたってかなわない相手。競うことなど、はなから考えたこともない私にも、彼女の言葉は深く心に刻み付けられました。

 PCを持たなくとも、学校やホテルのPCから毎日メールが届きます。

「This is a good experience to broaden my life.」
(これは僕の人生の巾を広げる素晴らしい経験だ。)

 などと言う言葉を聞くたびに、「こりゃもう好きなことをさせておくしかない。」と、半ばあきらめながも、自分には決してできないことをサラリとやってしまう人の我が儘を、やっぱりすごいと思うのです。ライバルになんて、なりたくてもなれやしません。

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6月6日(月)予定:カヌーに乗って運ばれたクマラ
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 23:59| Comment(2) | パートナーシップ

2011年04月23日

アメリカ社会のパートナー文化

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 先週プエルト・リコから帰って来るや、なんだかんだと忙しい日々が続いています。パートナー文化が定着しているここ、アメリカでは、当然のことのようにカップルでの参加が求められる場合が多く、招く側に立った時も、招かれる側に立った時も、疲れているから、めんどうだからと言ってひっこんでいるわけにはいきません。きちんとした場に出れば出るほど、身も心も引き締まると同時に、知識の浅さや、マナーの至らなさ、語学力の貧しさなどに赤面をします。

 それでもここ数年、そうしたいわゆる「社交」(この言葉はどうも好きにはなれませんが)の場を経て、少しずつ度胸がついてきました。どういう場にはどういうものを着て、どういうことをどういう具合に話せばよいかについても、何となくわかってきました。

 そう思えばこれもまた良い機会。パートナーをサポートするための仕事のうちと割り切って、たくさんの恥をかきながら、学び、成長させてもらうにこしたことはありません。

 ただこれが重なると、時としてとても疲れます。今の私がまさにそうです。たとえば、、、、、

 食べることもコミュニケーションです。立席のパーティーならまだ誤魔化しがきいても、フォーマルな着席の場となると、見苦しくお皿に食べかけのものを残すわけにはいきません。特に、招いたホステスが料理人の場合にはなおさらです。

 こうした機会がたまたま一日のうちに昼と夜に続いたとしたらどうなるでしょう。どんなにおいしい食事でも空腹でなければ食べるのは辛いものですし、とりわけ今のこの時期にそうした食べ方をすることはひどく気が引けるものです。

 そうした機会が重なってとうとう胃がストライキを起こし始めました。朝起きるとすでに車酔いのような感じです。それが昼日中ずっと続き、食欲が全くありません。食べることを考えるとますます酔いが激しくなります。困ったものですけれど、今夜もまた、これから出かけなければなりません。

「具合が悪い」と言えば周りの方に気を使わせることになりますし、「食べてきたばかりで」などと言えば「何て計画性のない!」とあきれられるでしょうし、「これこれのお昼の会食があって」などと本当のことを言えば、自分の一日の予定を事細かに他人に語る人のように、とても野暮です。結局は胃薬の力を借りながら、ほどよく上手に切り抜けなければなりません。これもまた知恵とスキルのひとつです。

 ところでこのパートナー文化、面白いのは別段、夫婦でなくてもかまわないということ。結婚をしてなくたってパートナーはパートナー、誰も何とも言いません。しかも昨年と違う人と一緒だからと言って、これまた誰も何とも言いません(笑)。ここらへんがアメリカ社会の実に大らかなところです。

 帰りがけに市場を通ったら、農家の方が春らしい花束をたくさん並べていました。今夜はこれを抱えて出かけます。ついでに言えば、招かれた場合に手ぶらというのもまた無粋。花かワインかチョコレートボックス、というのがこちらの定番アイテムです。

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4月20日(水):プエルト・リコの市場フォトツアー
4月21日(水):まさかの天ぷら 青バナナ
4月22日(金):メキシコからタイへ〜石臼トントンの思い出
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 06:30| Comment(5) | パートナーシップ

2011年02月10日

パートナーの条件

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 昨日、一昨日と2日間にわたって、カイロから中野眞由美さんの言葉をお伝えしました。ここでいったん、臨時ニュースで切り替わった画面を戻すことにいたしましょう。

 春を待つ2月にはたくさんの嬉しい記念日と、お祝いをしたいたくさんのお誕生日があります。2月8日の「出会い記念日」もその1つ。記念日は、日常生活からはなれてちょっと特別なことをするには、いいExcuseとなります。お気に入りのレストランに食事に行ったり、ずっと我慢をしていた何かを買ったり。でも、記念日のもっと良いことは、過去を振り返って優しい気持ちになれることです。記念日はたくさん作ってしまうに越したことはありません。

 今年の「出会い記念日」はマウイ島にいるはずでした。それが、いまだに解決を見せぬメキシコ湾原油流失事故のせいで、国際法を専門とする相方の仕事がたてこんでしまい、予定を返上せざるを得なくなってしまったのです。

 長年ひどい花粉症に悩まされている水泳仲間の先生は、今年はとりわけひどく飛びそうだという花粉を回避して、医者の勧めでマウイ島に転地療養に行くことになりました。けれども、私たちは幸いなことに花粉症とは縁がありません。それなのに、なぜマウイ?

 なぜならば、昔むかしは鳥少年、将来は鳥類学者になるのが夢だった相棒が、マウイでバードウォッチングをしたい、と言いだしたからなのです。内心あきれながらも、そしてそのためにあきらめなければならないたくさんのことを数えながらも、残る人生の長さを思えば、いつもの「ま、いいか」モードになって、私は私でマウイでの日々を、そして「出会い記念日at Maui」をけっこう楽しみにしていたのです。

 けれども、駄目になれば駄目になったで、それもまた「ま、いいか」。与えられた東京での日々を有難く思えるようになりました。ここらへんが私の大雑把で能天気なところです。

 けれども、どこにいようと記念日は記念日。過去を振り返りながら、パートナーというものについて考える日となりました。そして折も折、そんな時に大好きな小島貴子さんのブログで、面白い言葉に出会いました。

「世の中で長く活躍していて、周囲に素敵なサポーターが集まっている人の共通性がありますなぁ〜。」と、ユーモラスなキャッチで、実に的確にその共通性を語っています。

「人を区別、差別せずに常にフェアー。
 面白いこと、知らないことが大好き。
 大人の顔と子供の顔がちゃんとある。
 とても正義感があって、正直。
 とても常識的であって、スマート。
 シャイだけど、感情表現を惜しまない。
 WIN WINでなくても、ちゃんと自分が引き受ける。
 潔いけど、諦めの悪さがある。だからやり遂げる。

 そんな人とお付き合いをしていると、自分の猫背がすっとするような気持ちになるから不思議。」

 貴子さんは、これらの要素を備えた人を「ひとたらし(女たらし&男たらし的な表現で全方位的)」と呼んでいます。

「出会い記念日」の勢いに乗って恥ずかしながら言ってしまえば、相方はもしかして「ひとたらし」かも(笑)。なんたって突然鳥少年に戻ってしまうのですから。そのくせ、私が「◇◇少女」に戻る時には、きちんとそれに付き合ってくれ、私が途方もない夢を語る時には、「BRAVO!」とやたらおだてて励ましてくれるのですから。

 ハーバード大学のファウスト学長がこんなことを言っています。ファウストさんは、370年あまりに及ぶハーバード大学の歴史の中で、初めて学長に選ばれた女性です。

「女性にとって重要なのはいいパートナーを見つけること。私も、いくつかの失敗を経て、料理もしてくれる、自分にとって理想の相手にめぐり合った。あなたの能力を信じ、目標を支えてくれる人を見つけるべきで、自分のことばかり優先する男性はダメ。女性を付属品としか見てない男に振り回されてはいけません。」

 この言葉、「女性」を「男性」に置き換えたって、「友人」に置き換えたって十分に通じるものです。けだし名言!
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2月11日(金)予定:とっさのお客料理〜スティファド(ギリシャのビーフシチュー)
2月10日(木):夜だってちょっと一息
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 23:59| Comment(0) | パートナーシップ

2010年12月03日

共同生活はシーソー遊び

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 オフィスがあってちゃんと出かける場所がある夫と、どこにもない私。
 やることがたくさんあって忙しい夫と、実はそうでもない私。
 何度目かの滞在で町をよく知っている夫と、知らない私。
 イタリア語ができる夫と、できない私。
 次から次へと新しい計画を考える元気いっぱいの夫と、帯状疱疹あがりの私。

 その他にも、たくさんの「あるvsない」「できるvsできない」があって、ここでの私はだいぶ気弱です。あんなにしつこく残っていた痛みだって消えて、そろそろ1人で遠くの町まで探検に繰り出したっていいのに、寒いからとか、雨だからとか、果ては「今日中にこれを片付けなければならないから」とか、何だかんだの理由をつけては出不精になっています。そのくせ退屈したりしているのですから、まるで私らしくありません。独立独歩のはずがとんだ依存症です。

 昨日、仕事から帰ってきた夫が、「ナオミ、痛み止めもってきてない?」

 初めて聞くそんな言葉とつらそうな様子に、いったいどうしたのかとたずねれば、背中の筋肉が痛いとのこと。もっと詳しく聞いてみれば、痛みの場所は左後ろのウエストあたり。一緒に生活するうちに次第に似てくる夫婦がいるとは聞きますけれど、まさかアレではないでしょう、と思いながらも、数週間前の我が身におきたできごとをなぞり始める私。あの時は、私もただの筋肉痛かと思っていたのです。

 ここらへんから私はムクムクと元気になり、それまでのダラッとした様から、テキパキと采配をふるうまでに大変化。

 「休んでいてね、ほら、ソファーで楽にしててね。
  急いで薬屋さんまで行ってくるから。アスピリンよりはイブプロフェインがいいわね。
  胃にも優しいっていうでしょ?」

 と、脱兎のごとく飛び出したのでした。買ってきた薬をすぐに飲ませて、ひとまず安静にさせて、今度はもうすっかり暗くなってしまった町へと再び買い物に走りました。外で食べる予定だった夕飯をキャンセルし、暖かくて消化が良いものを求めて、何と電車に飛び乗ってしまったのです。行き先は2つ先の中央駅。そこまで行けば、アジアの食材を売っているお店があって、
ウドンでも、お豆腐でも手に入ることがわかっていたからです。

 かくして、昨夜の夕飯は、煮込みウドンと、青梗菜のあんかけ豆腐、オクラのトマト煮、白菜と大根の即席漬けと言う、「おふくろの味」となりました。「おいしい、おいしい」と食べる夫の姿を見ながら、気分はたしかに「おふくろ」(笑)。そして気づけば、けっこうシャンとして、いつもの私に戻っているのですからおかしなものです。

 共同生活はギッタンバッタンのシーソーゲーム。向こうが上がればこっちが下がる、こっちが上がれば向こうが下がる、、、、

 そんな上がり下がりもなかなか楽しいですけれど、やっぱりシーソーの一番の醍醐味は、同じ高さでつり合って将来を語る時でしょうか。

 朝早く、夫は薬を持って仕事に出かけました。今の所は帯状疱疹の兆しはありません。
私は、突然目覚めた保護本能に勢いを得て、午前中に今日のノルマの仕事を手際よく片付けて、湧いてくるアイディアをどんどんと書き留めました。

そしてこれから、1人で町歩きに出かけます。地図を読むのが下手なので、紙に文字で道順を書きました。目的地はナヴィリオ運河です。どうしても水が見たくなりました。

(行ってきました。寒くて途中で毛糸の手袋を買ってしまいましたけれど、3時間近く歩きまわりました。やっぱり行ってよかった、、、、、)
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12月2日(木):香りウットリ ポルチーニ茸のリゾット
12月3日(金)予告:グローバルキッチンのお助け部隊

posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 02:24| Comment(0) | パートナーシップ

2010年11月08日

今、アオスタで、この人と

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 お昼ちょっと過ぎに、アオスタという北イタリアの小さな町に着きました。周り中が山、しかも雪を抱いた高い山に囲まれています。しかも、ただの山ではありません。山音痴の私でさえ名前ぐらいは知っている山々です。モンブラン、マッターホルン、モンテ・ローザ、、、、、スイスもフランスもトンネルで繋がってすぐそこです。ここで3日間を過ごします。

 なかなか回復に向かわない帯状疱疹やら、インターネットトラブルやら、鍵の行方不明事件やら、停電やらでかなり閉塞状況に陥っていたミラノから抜け出しました。今週末も小雨模様となったミラノを後にして高速に乗ったのが朝の10時。これでは、せっかくアオスタまで行って、部屋のバルコニーから雪の山々を見渡せるホテルに着いても、何一つ見えないのではないかと心配になるぐらいに、走っても走っても霧に包まれています。

 かなり絶望的になって来たところでうまい具合に雨が止み、少しずつ視界が広がってきました。目に映るのはそびえ立った山々と、小山の上に立つ13世紀〜14世紀の城砦。麓の山々は黄色く染まり、草原では牛や羊がのんびりと草を食むという、まさに牧歌的な風景。

 「はて、ここはどこだったかしら?」と、アルプスの少女ハイジがいつ出てきてもおかしくないような、勾配の大きな屋根の、山小屋風の家々が山の斜面に建ち並んでいます。もう少しすれば、この山の麓の町も雪で覆われるのでしょう。

 最後まで誰にも会わなかった町の博物館で、古代ローマの遺物の中を歩き、古い古い昔の町の模型の前で、しばらく座っていながら、思いました。

 私はなぜアオスタではなく、日本で生まれ、
 私はなぜ古代ではなく、今の時代に生きているのだろう。

 ホテルに戻れば、私たちだけのために暖炉に薪がくべられて、暖かいお茶とケーキの準備ができています。静寂の中、ただパチパチと木々が燃える音。ぬくぬくと温められていきながら、思いました。

 私はなぜ今、ここにいて、
 私はなぜ今、この人と一緒にいるのだろう。

 46億年前に誕生したこの惑星の上で、今、
 大きな大きな地球の上の、北イタリアの小さな町で、
 69億人もの人が住んでいると言うのに、この人と、、、、、、

 これが単なる偶然ではなく、何とは知らぬ大きなモノの意志だとしたら、
 これが私の使命。

 それにしても、インターネットがごく普通に繋がるというだけで、どうしてこんなに安心するのでしょうか。このバルコニーからの夜景と、天蓋付きのベッドと、猫足のお風呂と同じぐらいに嬉しいなんて、ずいぶん情けなくなったものです。

 明日、天気がよければ、アルプスのフランス側へ車で登ってみようかと思います。
 痛みはまだまだ消えませんが、今日は少しばかり楽になりましたから。
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11月8日(月)予告:トリュフ最新事情
11月9日(火)予告:女3人のミラノポットラック
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 06:18| Comment(0) | パートナーシップ

2010年11月04日

ジュリエットの胸、触れますか?

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 ミラノは4日ぶりに太陽が顔をのぞかせて、寒さも和らぎ、美しい秋の水曜日となりました。
 毎度毎度の帯状疱疹話で恐縮ですが、、、、、

 忘れもせぬ10月25日、月曜日の発症の日、ガルダ湖という大きな湖に面したRiva Del Gardaという旅先の町の、雨に濡れて駆け込んだ小さなクリニックで、ドクター・アイコが言いました。

「そのうち赤い色が紫色に変わるからね。それまでの我慢だよ。」

 そばで私よりも真剣にうなづいていた夫(笑)。以来いったい何日たったでしょうか。
週も変わり、月まで変わったと言うのに、私の症状はちっとも変わりません。それが今朝、、、、、

 鏡に映る右の背中の 「発症第一号」 が、明らかに他とは違う色合いになっているのです。「来た、紫が来た!」 とばかりに、夫に報告すると、何と言ったと思います?

「スゴイ(ここは日本語で)! Perfect! Great! Teriffic!」

 いえ、決してからかっているのではなく、きちんと真面目に、まっすぐに。
 「いやあ、それほどでも」 などと照れながらも、言われたこちらは、まるで良い成績を取って先生に褒められているような気分。この時ばかりは、痛みもどこかに吹き飛んだようでした。

 こういうのって、共同生活をしていく上でやっぱりいいですよね。中には、いそうじゃないですか。

「遅いねえ、まだ直らないの? どこか悪いところでもあるんじゃないの?」 とか、
「つくづく運が悪いねえ。 ふつうだったらもう直ってるところだよ。」 とか、
「君のおかげで予定が随分狂っちゃったよ。」 とか、、、、、

 何の気なしに発している、そんなネガティブ言葉。知り合いにもいます、います。
 会うなり 「大丈夫ゥ?何か随分疲れてるみたいだけど。」 これなんかも、言われるたびにドドッと疲れます。私なら、別れ際にさりげなく言います。「じゃ元気でね。疲れがたまらないようにね。」

 ところでもう一つ、共同生活に案外必要なものは 「恥らい度数」 がなるべく近いことだと思うのです。何が良い、悪いというのではありませんけれど、人にはそれぞれ恥ずかしいことがあります。

 たとえば、発祥の地ならぬ発症の地ガルダ湖から東に30キロ、中世の古都ヴェローナ。
ここにロミオとジュリエットが恋を語ったというバルコニーを持つ 「ジュリエットの家」 があります。小さな中庭にはブロンズのジュリエット像が立っていて、人が行列をなしています。

 次から次へと、ふくらんだジュリエットの胸にわが手を当てては、にっこりと微笑んで写真を撮ってもらう人、また人!。男女が両側から胸を片方ずつ触ってパチリ!などと言うのも日常茶飯事な光景。どうやら、ジュリエットの胸を触ると恋が叶ったり、願い事が叶ったりすると信じられているようなのです。

 ちょっと考えれば随分矛盾しています。ジュリエットと言えば叶わなかった悲劇の恋のヒロイン、どうしてそれがこんな風に変わってしまうのでしょう(笑)。

 私は、行列に並んで順番を待ち、ジュリエットの胸をさわりながらニコリと微笑んで、写真を撮ってもらうことはできません。そういう乗りが何だか気恥ずかしいのです。夫もそうですし、一緒に居たマークもジュディーも同じです。私たちは、記念写真を撮る人たちでごった返す 「ジュリエットの庭」 に居ることすらも何だか気恥ずかしくて、早々に退散をしたのでした。もちろんそんな気恥ずかしさ、誰も一言も口にはしませんでしたが。

 ここで4人の中の1人が、「待って、どうしてもジュリエットと一緒に写真を撮る!」 とでも言い張れば、私たちはとても居心地の悪い思いをしたに違いありません。

 「ローマの休日」 で人気に火がついたサンタ・マリア・イン・コスメディン教会の 「真実の口」 なんかも弱いですね。別に手が抜けなくなるのを恐れているわけではありませんけれど、やっぱり長蛇の列の中に身を置いて、誰もが必ずやりたがることをするのが気恥ずかしいのです。

 行く先々で、「はい、ポーズ」 とばかりに記念写真をたくさん撮られるのも気恥ずかしくて困ります。ましてやVサインはできません。今回の4人旅行にしたって、夫もマークも一切カメラというものを持たない人、ジュディーは時々景色をパシャリ。私はブログ用にパシャリ、パシャリ。全員集合の写真も、自分自身の写真もほとんどありません。

 まあ、心地よい共同生活、旅仲間の条件は人それぞれ。
 それでもやっぱり、ネガティブ言葉をなるべく使わないことだとか、恥らいの感覚が似ていることなどは、けっこう大切な要素ではないでしょうか。

 紫色になったというのに、まだキリキリ、シクシクです。
 今夜はスカラ座でバレー 「オネーギン」。
 朝から我慢していた痛み止め、勢いつけて飲んじゃいます。

PS.一目惚れして以来ずっと惚れ続けている、無敵の貴子さんにも弱みがあったことを発見。
鳩ですか、鳩ですか、鳩なんですか。懐から鳩を出すマジシャン修行でもしましょうかしら(笑)。弱みのある貴子さんてますます可愛くてチャーミングです!(http://fellowshipxxx.blog35.fc2.com/blog-entry-186.html
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11月3日(水):貴族の食卓〜クラウディオとジュリアの場合
11月4日(木)予告:トピナムブル この不思議なモノ
11月5日(金)予告:ヴェローナのオペラ付きレストラン
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 00:40| Comment(0) | パートナーシップ

2010年06月28日

同じ方向を見つめて

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 今日もまた何と言う蒸し暑さ!昔、南洋のポナペという島に父と呼ぶ人がいました。父がよく言っていたものです。「熱帯夜なんておかしな言葉だね。熱帯の夜はこんなにさわやかで気持ちがいいのに。」、、、、、、とにかくこの湿気にはまいります。しかも今日は晴れていたかと思えば雨が降り出し、また上がり、日傘が雨傘になって、また日傘に戻りました。

 あの日のことを思い出します。
 翌日にはイタリアを発つという最後の日に、私たちは目一杯のものを詰め込みました。見落としていた所をなるべく網羅しようと、東西南北を車で走り回りました。そして、翌朝便利なように、ローマ空港のホテルに一泊することにしたのです。

 海岸線に下りて、ローマを目指して一路西へと走っていた時に、信じられないことが起こりました。雨とは無縁のはずの地中海性気候の夏に、突然、雷鳴が轟き始め、強風と豪雨に襲われたのです。車を走らせることもできないほどに視界がさえぎられ、それまで静かな海で海水浴を楽しんでいた人たちが、いっせいに海から逃げ出し始めました。海岸線に沿って立ち並ぶ夏の間だけの仮設のカフェやバーは、半裸の避難客で溢れかえりました。海には大きな白波が立ち、車の外に出ようものなら風で吹き飛ばされそうです。

 そんな状況が30分ほど続いた後、風は止み、雨は止み、またあの眩しい太陽と青空が戻ってきました。南イタリアで出会った初めての雨でした。

 それでも、いったん荒れた海はなかなか静まることもありません。泳ぐことをあきらめた人たちが帰り支度を始めます。そんな中で、浜に戻り、まるで何もなかったかのように悠然と本を読み始めた男と女の二人組。そして波が静まるのを待つようにじっと砂浜に腰を下ろす別の二人組。

 どちらの二人も同じ方向を見つめています。こんな風景に出会うたびに、何だかとても心動かされます。見詰め合う二人もいいけれど、並んで同じ方向を見ているカップルはもっと素敵です。とりわけあんな嵐の後には、、、、、、、

 さあ、いよいよ明日は中央区のシニアカレッジです。
 70名のシニアの方々を前に講演をします。テーマは「はじめようアンチエイジング〜生活にオリーブオイルを」。皆様に同じ方向を見ていただけるよう頑張らなければ!
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グローバルキッチンお品書き
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28日(月):TOFU Quick & Easy 〜TOFUディップのスティックサラダ
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 23:56| Comment(0) | パートナーシップ