2012年11月28日

タラゴナとの出逢い

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こちらに来てから初めての雨となりました。
そういえば小学生、それとも中学生でしたでしょうか、社会科で習いました。
「地中海性気候とは、冬は温暖で雨が多く、夏は高温で乾燥する気候のこと。」と。

と言ったって、雨慣れしている私たちにとっては、「えっ、これでも雨が多いの?」と言いたいぐらいのものです。かつて住んでいたギリシャなどは、年間300日は晴れていると言われるほどのお天気でしたから、冬にたまたま雨でも降ろうものなら、「ああ、雨ですねえ。」などと、長らく赴任中の日本の御仁が遠い目をしてうっとりと言ったものでした。

雨だから美しい土地と、雨ですら美しい土地があります。
タラゴナは雨ですら美しい町でした。

そこは、紀元前3世紀にローマ人によって築かれた町。
今ではひっそりとした小さな町ですが、当時はイベリア半島で最大の都市として栄えていたといいます。その面影が町の至る所に残っています。

紀元前に築かれた城壁も、その後のローマ時代の長官の屋敷も、アンフィシアターと呼ばれる円形競技場も。。。。。とりわけ仰々しく歴史を押し付けるわけでもなく、観光客の喧騒があるわけでもなく、本当にさりげなく町のたたずまいに溶け込んでいるのです。そして、それがまた、そぼ降る雨によく似合っていたのです。ごく平凡なタラゴナの駅に小さな失望と共に下り立った時には予想もしなかったことでした。

地中海を背景にしたアンフィシアターは、何と孤高の気高さを見せていたことでしょう。人っ子一人いないその円形の競技場が、ローマ時代にはゲームとしての戦いの場所であったことを思えば、その寂寞とした美しさがとりわけ胸に染み入ります。戦士と猛獣、そして戦士同士の戦いが、どちらかが血にまみれて命尽きるまで続けられたのです。後にキリスト教の司祭も処刑されたと言うその場所は、いくら耳を澄ませても聞こえてくるのは地中海の波音と、棕櫚の葉をそよがす風の音、そしてバルセロナとバレンシアを結ぶ電車が線路の上を走る音、そして雨音でした。

「タラゴナ」は紀元前のローマ人たちにならって、「タラコ」とも呼ばれます。ついくすりと笑いそうになりますが、こんな町があることはスペインに来るまででは知りませんでした。夫の後をくっついて出かけただけでしたのに、土地の精霊に見初められてしまったかのように、私たちはこの町を後にする前から、次に再び訪れる時のことを話し始めました。アンフィシアターを見下ろす高台に建つ「インペリアル・タラコ・ホテル」の下見までして。

こうした思いもかけぬ出会いがまた、旅の醍醐味のひとつです。

ホテルから駅までのだらだら坂を下る途中、傘の向こうの西の空が橙色に色づき始めました。明日は雨も止んで良い日になりそうです。タラゴナはまた別の美しさを見せるのでしょう。
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タラゴナまたはタラコへは、バルセロナから電車で1時間から1時間半。途中で止まる駅の数によって時間も値段も違います。ここの大聖堂についても書きたいのですが、またの機会とさせていただきます。

By 池澤ショーエンバウム直美

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11月27日(火):芸術ディスプレー@バルセロナの市場


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2012年11月27日

マドリッドからバルセロナへのAVE体験

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マドリッドのアトーチャ駅を出発する新幹線に乗るためには、前もって切符を買っておくほうが安全ですし、余裕を持って駅に着くこともだいじです。なぜなら、切符の購入には番号札を取って順番を待たねばなりませんし、いざ乗車するには、まるで飛行機に搭乗するかのように、行列して荷物のX線検査を受けねばならないからです。

午前10時半、私たちが乗ったバルセロナ行きの「AVE」と呼ばれる新幹線は、専用の線路を時速300キロで走ります。全席が指定席です。と言ってもガラガラでしたが(笑)。

出発して間もなくすると、制服を着たにこやかな女性が、音楽と映画を楽しむためのイヤホンを配ってくれます。次に暖かいおしぼりとメニューが渡され、選択した飲み物が運ばれ、軽食を載せたトレイが目の前のテーブルに置かれます。

たとえば飲み物ならば、ビールが2種類、白ワインが3種類、赤ワインが3種類、ブランディーやウィスキーなどの酒類が10種類、ソフトドリンクが14種類という品揃えです。
軽食トレイの上には、サンドイッチとカップケーキ、そしてコーヒーまたは紅茶が
載っています。

荷物検査と言い、乗車後のサービスと言い、一瞬、飛行機に乗ってしまったのかしら、と錯覚を起こすぐらいです。

時速300キロの列車は、灌木しか生えていないような荒野をひたすら走ります。時折、視界が広がり地平線が見える時もあれば、線路の両側に断層を見せながら、こんもりと盛り上がった切通しの間を走り抜ける時もあります。期待していたオリーブの林もなければ、オレンジやレモンの果樹園もなく、山羊や羊の姿もありません。スペインというのが実は大変大きな国であるのを実感する時です。

列車は11時45分、初めての駅「サラゴザ」に止まりました。そしてまた超特急で走り始めます。ようやく村らしきものが見え、ぶどう畑やオリーブ畑が見え始めたのはマドリッドを発って2時間もたった頃でしょうか。

次に止まったのは午後1時15分、終点のバルセロナでした。
駅に下り立ったとたん、ふっと吸い込んだ空気に海の香りがしました。
ヒートテックのインナーを着てきたことを後悔するぐらいの暖かさです。
こうして、長い歴史と独自の文化に彩られた地中海の町での、私たちの暮らしが始まりました。

荷を解いたホテルの部屋のバルコニーは、まるでパーティーができそうなぐらいの広さです。プラタナスの並木が美しい旧市街の目抜き通り、ランブラス通りに面して、斜め向かいには、ゆがんだ曲線が織りなす不思議な建物、世界遺産にも登録されたガウディ―のカサ・ミラが見えます。もともとは、実業家の依頼により建設された高級アパートでしたが、今では入場料を取って見学者を招き入れている数多くのガウディ―作品のひとつです。
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午後6時、町の気温を示す表示板は「18℃」。
バルコニーでビールを飲めるぐらいの季節になんとか間に合いました。
海は見えませんが、ランブラス通りのずっと先に地中海があることがわかっています。
それだけでも気持ちが軽やかになるのですから不思議なものです。

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By 池澤ショーエンバウム直美


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11月27日(火):ウサギも山羊もトリッパも
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 14:25| Comment(0) | スペインライフ

2012年11月26日

大道芸人たちの町

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昼日中になれば町がまた賑わい始めます、ランチタイムの2時を過ぎる頃には、広場や大通りを、たくさんの人たちが実に楽しそうに歩きます。この「実に楽しそうに」というのは、かつて暮らしていたギリシャでも、この数年しばしば足を運んできたイタリアでもそうでした。マドリッドは内陸にありますからこんな言い方は妥当でないかもしれませんが、大雑把にくくれば、この「実に楽しそうに」というのが「地中海型マインド」のひとつではないかとも思えます。

「実に楽しそうに」歩く人たちの間には、たくさんの大道芸人たちもいます。一人だったり二人組だったりと形はいろいろですけれど、それぞれに趣向をこらした彼らの芸には度肝を抜かれることがしばしばです。

からだ中を金色に塗って微塵たりとも動かぬ像は、その芸に敬意を表した誰かが硬貨やお札を置いた時にだけ、目の動きで感謝を表します。

どうしてこんな姿勢を保っていられるのかと思うぐらいに不自然に傾いたままの人もいます。その隣では、フラメンコダンサーが美しく止まっています。あまりの見事さにお皿の中にお金を入れれば、その音を合図にくるりと180度向きを変えて、また不動の姿勢に戻りました。

どこからどう見てもからだと首が離れている人もいますし、大きな顔の下に小さなからだが続く、まるで不思議の国のアリスに出て来るような赤ん坊もいます。持っているコインを全部投げ入れたら、「キキキッ〜!」と人の声とも思えぬ奇妙きてれつな赤ちゃん言葉でお礼を言われた上に、投げキッスをされました。

絞首台のように生首が並んだ箱もあります。いったい彼らのからだはどこに隠れているというのでしょう。

インド人の修行僧のような若い男性の二人組は、一人が支える1本の棒の上でもう一人が座禅を組むというありえない姿です。まるで作り物の人形かと思えば、手のひらにお金を置いたとたんに、もう一方の手が動きます。

これら全てがリモコン操作の人形でも、機械仕掛けの人形でもなく、生身の人間たちなのです。

かと思えば、オペレッタが始まる前の劇場の入り口には、よく通る声でオペラの曲を歌い続ける初老の男性が立っていました。足元には帽子が置かれています。人々は眉をひそめるわけでも、さりとて拍手を送るわけでもなく、ごく自然の情景としてそれを受け容れています。お金を入れる人もいれば、素通りする人もいます。こうした「あっけらかんさ」もまた地中海的です。
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今や4人にひとりが失業とまで言われるほど経済的に逼迫したスペインですが、地中海的「実に楽しそうに」と「あっけらかんさ」がある限り、何とか乗り切っていけるのではないか、そんな気もします。

昨日、時速300キロの特急列車AVEで、マドリッドからバルセロナに移りました。
今日、ゴシック地区に出かけたら、カテドラル前で、大きな羽を前に天使になる途中の女性を見かけました。銀色の顔に、銀色のかつらを載せて鏡を見ているところです。できあがったが最後、彼女もまたピタリとも動かぬ天使像になるのでしょう。
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By池澤ショーエンバウム直美


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11月24日(土):オリーブ、オリーブ、またオリーブ
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 03:46| Comment(0) | スペインライフ

2012年11月24日

言葉はわからなくても〜サルスエラ国立劇場のオペレッタ

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昨日23日は、「サルスエラ」と呼ばれるスペイン風オペレッタ「El Juramento」の初日でした。スペイン語はまるでわかりません。それでも、視覚と想像力で補いながら歌を聞くのもまた一興。それに、王立劇場と並んでマドリッドを代表すると言われる「サルスエラ国立劇場」は、私たちのホテルから歩いて行けます。

昼間のうちにチケットを買って、8時の開演間近に再び足を運べば、すでに外も内も華やかな賑わいを見せています。ミラノのスカラ座のような大きさも、圧倒的な重厚さもありませんけれど、案内されて席につけば、背筋がピンと伸びて、開幕前のあの緊張感がやってきます。

舞台に向かって右側と左側のボックス席には、タキシードを着た男性が、肩を出したドレスの女性をエスコートする姿も見られれば、家族連れの姿もあります。子供たちまでが大人の場で舞台を見るというのも、ミラノやウィーンでよく見られた光景です。
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フォーマルな装いの女性たちはやはり黒が多く、肩や腕や胸元を上品に露出させています。かと思えば、ジーンズにブーツの若者たちもいますし、ごくふつうの服装の人たちもいます。そんな自由さがまた、この町の魅力なのでしょう。

オペレッタ「El Juramento」は3幕、時間にして約3時間。歌もせりふもスペイン語ですが、歌の部分にだけスペイン語の字幕が出ます。と言ったって、耳で聞くのもわからなければ、字幕だって理解できません。でも、どうやらマリアという一人の美しい女性を巡る男たちの物語だということぐらいはわかりますし、その衣装や、工夫された演出、オーケストラの奏でる音楽と、歌手たちの朗々たる歌声だけでも心は躍ります。時に、まるでカルメンでも出てきそうな、いかにもスペインらしいメロディーが流れたりもします。

舞台は白と黒だけの単純な装置ですし、衣装もまた全て白と黒だけです。けれども、3箇所だけ、鮮やかな赤が登場する場面がありました。最初の赤は、幕が上がる前に、透けた幕の向こうで一本道を歩いてくる少女の赤いカーディガンです。手から離れてしまった凧を追う少女の服装は、この作品の時代には全くそぐわぬ現代の姿です。

二番目は、戦場から傷痍の男たちが持ち帰った大きな赤い旗でした。
そして最後は、幕が閉じて、次にまた幕が上がり、登場人物全員が並ぶ間にいつの間にか立っていた、あの赤いカーディガンの少女です。少女の手には今度はしっかりと凧糸が握られていました。見事な演出です。

1858年、この作品が書かれた時代には、短いスカートの赤いカーディガンの少女は登場しなかったことでしょう。

ちなみに、「La Zarzuela」は、「誓い」という意味だそうです。
三角関係も落ち着いて、最後には恋人同士が愛を誓いあうからなのでしょうか。
言葉は皆目わからなくとも、そんな風に想像力を働かせながらの、十分に楽しい3時間でした。

By池澤ショーエンバウム直美


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11月23日(金):突然現れたキャンディーの国

posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 23:09| Comment(0) | スペインライフ

2012年11月23日

マドリッドの長い夜

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今は金曜日の朝7時半。ホテルの部屋の大きな窓から見下ろす広場はまだ真っ暗です。時折、人がよぎり、車が走り、ほとんど乗客も乗っていないようなガラガラバスが広場をまわります。

同じ暗さでも、7時間前の真夜中には、道は人であふれていました。ずらりと並ぶレストランやバルからも賑やかな声があふれ出します。ここでは、時間の流れ方が全く違います。そして、いくら新入りとは言え、私たちもそれに合わせなければこの町と一緒に暮らしていけません。

「11時ね、そろそろ食事に出ましょうか。」

これは一昨日の夜、長年マドリッドに住む旧友の家で、おしゃべりに花を咲かせた後で、彼女が言った言葉です。

昨夜もそうでした。ヘミングウェイもよく顔を出したという「セントラル」のウィンドウに見つけた「Ben Sidran Quartet」ライブの案内に惹かれて、開始時間の9時ちょっと前に行ってみれば、すでにして店内は満席です。ウェイティングの列に加わって何とか隅っこに座ることのできた私たちはラッキーでした。ピアノ、サックス、ベースとパーカッションで熟成された大人のジャズを奏でる、このアメリカのカルテットはなかなかのものでしたから。

いつまでも残る余韻の中で、私たちが賑わう広場を下って行ったのはやはり11時でした。セビリアの西、ポルトガルとの境で獲れるという白エビ料理が人気のレストランに入れば、あちこちのテーブルで、人々が長い夜を楽しんでいます。平日だろうが休日だろうが関係なしに、夜は長いのでしょうか。

卓越した技巧で私たちをうならせたピアニストが、昨夜のライブで言いました。
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We don’t walk through time.
Time walks through us.
Expect all the gifts that time brings.

僕たちが時間の中を歩いて行くんじゃない。
時間が僕たちの中を歩いて行くんだ。
時間がもたらしてくれる贈り物を楽しもうじゃないか。

8時、ようやくうっすらと外が明るくなり始めました。

By池澤ショーエンバウム直美


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11月23日(金):突然現れたキャンディーの国
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 16:53| Comment(0) | スペインライフ

2012年11月22日

マドリッドの秋〜また来ればいいのだから

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一夜明けて、まず足を向けたのはプラド美術館です。美術館というのはけっこう疲れるもので、お馴染みの絵の前にたたずんだりしながら、一つの部屋から次の部屋へといくつもの部屋を回るうちに、時間はどんどんと流れ、流れる時間に比例して足腰も目もくたびれていきます。

スペイン王室のコレクションを中心に、およそ200年前に開館したというこの美術館の所蔵点数は今では3万点を超えると言います。とうてい全部の部屋を訪れることはできず、「また来ればいいのだから」という言い訳と共にそこを後にしたのは、かれこれ4時間もたった頃でしょうか。

プラドの周りも、そこからつながるレディーロ公園もまた、先日過ごした日光のように、柔らかな晩秋の光を浴びて、美しい紅葉のなごりを見せていました。けれども、木の種類が違えば、織りなす色合いも違います。ワシントンの紅葉とも、日光の紅葉ともまたちがう、黄色味の多いマドリッドの秋でした。

もう随分昔のこと、私たちは歩き始めるようになったギリシャ生まれの娘を連れて、ギリシャ人たちとの団体旅行で、ここスペインにやってきました。カタコトのギリシャ語を話す小さな子は、賑やかな彼らの中でたちまち人気者となりました。大勢でぞろぞろと歩く時にはいつも「ギネストラベル」の旗を持って、ガイドのお兄さんと一緒に先導役になりました。集合時間になれば、大きな声で「ギネ〜ス!」と叫ぶのも、小さなガイドさんの役目でした。

アテネからバルセロナへ、そしてセルヴィア、グラナダ、コルドバを回って最後にやってきたのがこのマドリッドの町、そしてプラド美術館でした。ほかのみんなが大急ぎで見てまわる間、私は美術館の前で、離乳食のような瓶から小さな口にスプーンを運び続けていました。食の細い娘に何とか食べさせようと一生懸命だったのです。そんな光景が、娘のキャッキャッという笑い声と一緒に、今、一枚の絵のように浮かび上がります。

「いつかまた来ればいいのだから」とスプーンを持って、プラドの入り口の向こう側の世界を憧れと共に思い描く、若い母親でした。好きな物を好きなだけ見ることができる今よりも、それは幸せな時代だったかもしれません。

By池澤ショーエンバウム直美


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11月22日(木):初日からシエスタ(お昼寝)文化

posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 16:35| Comment(0) | スペインライフ

2012年11月21日

巡り巡る季節の中でフランクフルト空港より

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「昼夜の温度差、程よい湿度と陽光が色を磨く」というのは、日本を発つ前々日の天声人語の言葉です。紅葉は山海の恵みにも似て、はしり、さかり、なごりの各段を踏むと言いますが、私たちが先週末に訪れた日光の山は、そんな三段跳びにたとえれば、「なごり」でしたでしょう。

それでも晩秋の冷気の中で、木々に、大地に散りばめられた色は十分に美しく、何があろうと、まるで何もなかったかのように巡り巡る季節の前では、風の一吹きにも揺らぐ私たちの心がやけに寄る辺なく思えます。

早朝に発ってフランクフルトに来ました。日本時間からマイナス14時間のアメリカ東海岸時間へ、そこからまた日本時間へ、そして今度はマイナス8時間のヨーロッパ時間へと、短い間の移動の連続は、私の体内時間を混乱させたまま、上手に眠れない夜が続きます。もともとの天然ボケに年がら年中の時差ボケが加わって、何だかフワフワと漂っているようです。

けれども、たぶんそのうち、マイナス+マイナス=大きなマイナス ではなくて、マイナス×マイナス=+ に転じる日だって来るかもしれません(笑)。

フランクフルト空港の、人影もまばらな薄暗いA1ターミナルで、マドリッド行きの飛行機を待っています。待ち時間は約3時間。それだって良い方です。スペインの首都に行くにも、ギリシャの首都に行くにも、日本からは直行便がありません。どこかの空港で乗り換えなければならないのですが、その分、目的地に到着するまでの無駄な時間が多くなります。ギリシャに飛ぶのに、ミラノ空港で7時間待たされたこともありました。

しばらくはスペインです。
再び日本に戻る頃には、紅葉のなごりも過ぎて、季節はすっかり冬になっていることでしょう。

By 池澤ショーエンバウム直美


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11月19日(月):うっすらピンクのサーモンムース
11月20日(火):簡単?めんどう?サーモンムース


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