2012年09月30日

たいしたものです、「孫力」

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東京に戻ってすぐのことでした。
都心の店で窓に向かって坐っていると、後ろにタタタタと誰かの気配。
そして一声、「グランマ!」

まさかと思って振り向いた先にいたのは、やっぱり、、、、
そう言えば、前日に私の予定を娘に告げていましたっけ。

「はい、これ」と渡されたのは、大きな封筒に入った何か。
「おうちであけてね」と言われ、約束通り帰ってからそっと開けてみたら
小さな少年が一生懸命描いたヒマワリの絵でした。

段ボールを繰りぬいて作った額縁には赤とオレンジのフェルトが貼られ、クレヨンで縁取りされています。額縁の中の絵は、黒い紙の上に大きなヒマワリの花が3本。どうやら絵具を使って型押しをしたようです。ヒマワリの花には緑のクレヨンで茎と葉が描かれて、茎の先端はちゃんと地面に届いています。

私にとっては、著名な画家のヒマワリよりもずっと心の奥に届きます。
眺める度に暖かな気持ちが溢れてきて、眺める度に、「この子を守りたい」という強さが湧いてきます。それはいつの間にか、特定の「この子」への思いからもっと大きく膨らんで、次世代、いえ次々世代の不特定多数の「この子たち」を守らねば、という使命感にも似た願いに繋がっていきます。

裏側の、ボール紙の上に黒い紙が貼られた上には、手でちぎったらしい黄色い紙が貼られ、茶色いクレヨンでこんな2行が書かれています。
 
       グランマだいすき
       Grandpa I love you.

もちろんまだ字が書けるわけではありませんから、これは口で言った言葉を娘が文字にしたのでしょう。けれども、その下に深緑色のクレヨンで書かれている名前は、左右が逆になっているところはあるものの、たしかに小さな画家のアブストラクトな自筆です。

以来、だいじに本物の額縁に入れて飾りたいのに、入れてしまえば裏側が見えなくなってしまう、というジレンマから抜け出せずにいます(笑)。

アメリカのグランパにすぐさま写真を撮って送ったら、こんな返事が返ってきました。

「写真を大きく印刷して書斎に飾ったよ。顔を上げればいつでも見える。」

そういえば、昨年創刊された「孫の力」という隔月発行の雑誌も、今月で第8号になるとか。各号の特集がふるっています。たとえば、こんな具合。

第一号:大丈夫 孫がいる
第二号:一緒に暮らそう!
第三号:孫を幸せにするお金の使い方大研究
第四号:祖父母と孫をつなぐ乗り物大特集
第五号:大切な教育の話
第六号:夏休み、孫と何します?
第七号:孫となかよくなる読み聞かせ術
第八号:孫といっしょに習いごと

いまだ読んだことはありませんが、そのうち定期購読を始めたりしそう(笑)。
コンセプトは、「孫となかよく暮らすためのしあわせ情報マガジン」であり、「孫はあなたの未来です。孫は目の前で遊び、笑い、呼吸する、『今を生きる未来』そのものです。」

「孫と孫世代の子供たちを愛し、同時に日本や家族や自身の未来を慈しんで希望を抱くこと。それは大きな試練の只中にある日本で今、おそらく必要とされていることのひとつだと本誌は考えます。」

いやはや、たいしたものです、「孫力」。

By 池澤ショーエンバウム直美

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9月29日(土):メープルサーモンは秋鮭?それともトラウトサーモン?

posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 00:48| Comment(0) | グランマ

2012年05月20日

4才の君へ

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今日
この美しい5月の日に
4才になった君へ
お誕生日 おめでとう

君のママが グランマに言ったよ

「悪意のない心に 真剣に向かいあう
 純粋な心に 真剣に向かいあう

 時間もとられ
 からだも使い
 心も使う

 それなのに
 ちっとも疲れない
 逆に たくさんの元気と優しさを もらっている

 どんな大人も
 みんな子どもだったなんて
 不思議だね」

グランマは見たよ
今朝 パパが 君の頭をぐしゃぐしゃにしながら
「よかったねえ、4才になったねえ。」って
ぴかぴかの笑顔で 君に語りかけているのを
そして君が 誇らしげに 胸をはっていたのを

グランマも今日は
とても幸せだった
一緒に歩いた 朝の草原は 
新しい光が揺れていたね

グランマは不器用で
君に何にも作ってあげられないから
その分 一生懸命 君にお話をした

ガチョウのことも
蝶々のことも
蜂さんのことも
野原にいっぱい咲いてるお花のことも

そして 君の質問に
一生懸命 答えようとした

どうしてアリさんを 踏んではいけないの?
タンポポのフワフワは どこまで飛んでいくの?
クモさんは どうやって おうちを作るの?

グランマは ずっと君と一緒にいたいけれど
グランマは ずっと君と一緒に 5月の草原を歩いていたいけれど
君もグランマも ずんずん年を取って行くから
それができない

だから 君が大人になる前に
だから グランマが元気なうちに
もっともっと たくさんのことを 
君に話さなければならない

グランマが長い間旅をしてきた
いろいろな国の話
これからもたくさんたくさん 旅をしなければならない
いろいろな国の話

本当にだいじなことと
そうではないこと

そんなことを
いっぱい いっぱい

お誕生日 おめでとう!

By 池澤ショーエンバウム直美



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5月20日(日): こんなケーキってあり?
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 22:29| Comment(0) | グランマ

2012年01月15日

あふれる優しさを〜「グランマからの手紙」感謝会

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 おはようございます! 久しぶりの5時起きです。
 起きてみたら、外はまだ真っ暗。
 本当は昨日中に済ませたかったことを、まずかたづけました。

 共同生活も初めのうちは、なかなかペースがつかめません。ついつい二人であっちに行ったり、こっちに行ったりしているうちに時間がどんどんと過ぎていきます。昨日の昼間も、大切な家族や友人たちとの嬉しい集いがありました。静かになった夕方、「さあ、落ち着いて机に向かおうか」と思った矢先に、「ナオミーっ! 電気ストーブが壊れた。」の一声で、今度は買い物に(笑)。

 帰ってくればすでに夕食時。ひとりならば「お昼ご飯をたくさん食べてお腹がいっぱいだから、夜は何にもいらない。」で済ませられても、家族がいればそういうわけにもいきません。台所で働いて、ワインを飲みながらあれこれ語り合えば、またしても時間はどんどん流れます。そして気づけば二人とも、とっぷりと疲れていました。ひとりならば「疲れているなんて気のせい、気のせい」とばかりに、カツを入れて仕事部屋に戻ることもできますが、共同生活ではなかなかそうもいきません。

 と言うのが、長くなりましたが、冒頭の5時起きの理由です(笑)。

 昨日、「グランマからの手紙」の「出版感謝会」を主催させていただきました。「記念会」ではありません、「感謝会」です。

 この本の「あとがき」にも経緯を書きましたが、この本は私ひとりの力でできあがったものではありません。プロジェクトメンバーの支えと、家族への愛がなければ、思いはどんなに深くとも、とうてい形にはならなかったものです。ですから、「私たちが発起人になりますし準備もしますから、たくさん皆様をおよびして、1月に都内のホテルで『記念会』をやりましょう!」という嬉しいお申し出をお受けするのではなく、私がお世話になった皆様をお招きして、小さな内輪の「感謝会」をやりたかったのです

 場所は、私の大好きなフレンチレストラン、成城の「アシエット」を選びました。シェフの稚田さんが、3階を貸切にしてくださいました。ここに、仕事で海外にいる長女と、やはり仕事の都合で来られなかったもうひとりのグランパを除く15人が集いました。

 「あとがき」は以前にこのブログで全文を紹介しましたので、今日は触れません。その代わりに、出版社のホームページからちょっと拝借します。

「長年の知己である池澤ショーエンバウム直美さんの『グランマからの手紙』が完成した。
営業が見本を持って 書店をまわったところ、この本はどこの売り場に置けばいいだろうと、
何人もの店員に言われたという。

旅行案内書でも、絵本でもない。料理のレシピ本でもない。単なる家庭書でもない。
書かれている内容は奥が 深いので、やはりエッセイ本かということになったようだ。
書店員の言う通り、この本にはユートピアを求める著者の思いが込められている。

『グランマからの手紙』で祖母が孫へ語っているのは、一人の人間が命の大切さを世界中の人々に訴えている言葉なのだ。この本をつくるのにあたっては、プロジェクトチームをつくって著者を支えていく形をとった。構成をどうするか助言する。各国の料理を紹介するため、実際に池澤宅で料理をつくり、写真に撮っていく。それぞれの章にあった挿し絵を描く。これらのことを6人のメンバーで行なっている。もちろん著者である池澤さんの考えを大事にしながら。(以下略)」

 昨日の「感謝会」には、もちろん「6人のメンバー」が全員揃いました。挿絵の鈴木松子さん、カメラマンの吉川弦太さん、企画の磯崎和子さんと吉川裕子さん、そして「さんこう社」社長の野島善孝さん、そしてもちろん私です。

 加えて、装丁をしてくださったデザイナーの高田素子さん、本文レイアウトをしてくださった松田志津子さん、写真に使ったたくさんのお皿やクロスをお贈りくださり、私が姉のように頼っている石川愛さん。そしてこの家族があるからこそこの本が書けた、という私の家族たち〜この手紙の宛先でもある孫息子ザウと、ザウママ、ザウパパ、キッコさんにヨシミちゃん、と、滑り込みセーフで間に合ったグランパです。

 暖かな、賑やかな、幸せな、そしておいしい時間でした。

 お花をいただきました。百合の花束には数えてみたら大きな蕾が30もついていました。蕾がひとつ、またひとつと開くように、あふれる優しさが、「グランマからの手紙」を通して広がっていくようにと、みんなで願っています。

 どうぞよろしくお願いいたします。
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1月 9日(月):オリーブの木のロマン
1月10日(火):オリーブ物語その2
1月11日(水):時には蕎麦でなくSOBAはいかが?
1月13日(金):お豆たっぷり お野菜たっぷり オリーブオイルたっぷり@地中海ダイエット
1月15日(日):メインはスープ、なら付け合せは?@地中海ダイエット
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2011年12月23日

「グランマ」以外の何者でもなかった至福の2時間半

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 ついこの間まで美しい黄色の絨毯を歩道に敷き詰めていた私の町の銀杏並木は、今ではもうほとんどその葉を落としてしまいました。それなのに、早朝に訪れた都心の町は、いまだ見事な絨毯で私たちを迎えてくれました。

 一面に敷かれた「金色の小さき鳥」の上をサクサクと歩いて進めば、小さな少年の保育園の、クリスマス発表会の会場があるはずです。少年はたびたび立ち止まっては、金色の鳥を小さな手に集めます。そしてそれを私たちに渡してくれます。

 はるか昔の光景がよみがえります。娘が彼ぐらいに幼かった頃、銀杏の葉がたくさん載った小さな両の掌を私の目の前にさしだしました。

「ママ、はい。イチョウの薬。」
「?」
「だってママ、イチョウが痛いって言ってたでしょう?」

 時はいつのまにか流れゆき、銀杏を踏みしめて歩いた先の体育館の舞台の上で歌い踊るのは、そんな娘の息子です。同じクラスの子供たちと、手をたたき、足をトントンとならし、声張り上げて歌います。

 幸せなら 手をたたこう♪
 幸せなら 手をたたこう♪
 幸せなら 態度でしめそうよ♪
 ほら みんなで 手をたたこう♪

 幸せなら 足ならそう♪
 幸せなら 足ならそう♪
 幸せなら 態度でしめそうよ♪
 ほら みんなで 足ならそう♪

 みんなまだ、「幸せ」が何かもよくは知らないはずなのに、目をキラキラ光らせながら、一生懸命に態度で示します。

 3歳児のクラスの劇は「小人と靴屋」でした。一昨年の発表会では、舞台の上でただ棒のように突っ立っていたり、泣き出したり、親の姿を不安げに探してばかりいた子供たちが、今ではいっぱしに誇らしげに歌を歌い、劇らしきものをやるのです。

 靴屋のおじいさんもおばあさんも、小人たちも、靴を買いに来たお客様も、みんなが最後に手をつないで歌います。

 誰かが喜ぶことをする♪
 なんて嬉しいことだろう♪

 その意味なんてまだわかるはずもない小さな子供たちが、まるでわかっているかのように大きな声で歌うのです。でも、もしかしたら、誰かを喜ばせることも、誰かに喜ばされることも、どちらも何だかとても嬉しくなることだということを、理屈ではなくわかっているのかもしれません。夜の間に小人たちが作った靴を、朝になったらおじいさんとおばあさんがあんなに喜んでいたのですから。そうでなくては、どうしてあんなに瞳を輝かすことができましょう。

 この保育園では、季節ごとにいろいろな行事が行われています。春にはお雛祭りの発表会、夏には自分たちが育てた野菜を使って川辺でのバーベキュー、秋には運動会、そして冬にはクリスマス。一年中を日本で過ごすことのできないパートタイムグランマにとって、今日はとても貴重な至福の時でした。なんたって、9時半から12時までの2時間半、全く持って「グランマ」以外の何者でもなかったのですから

 パートタイムグランマの心にはホンワカ暖かな灯がともり、
 頑張った子どもたちは、サンタさんからプレゼントをもらいました。
 
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12月19日(月):ポットラックパーティーの楽しみ
12月20日(火):何でもありがポットラックの楽しさ
12月21日(水):シフォンケーキも苺大福も
12月22日(木):ペルージャvs御殿場 朝ごはん対決
12月24日(土):クリスマスにはぜひこのクッキーを!〜ギリシャのクラビエデス

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2011年12月16日

『グランマからの手紙』こぼれ話

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 いつもの成田空港の駐車場に、いつものように予約の電話をしたら、「あれれ、今回は随分短いんですねえ。」と言われたぐらいの不在でしたのに、帰ってみたら、季節がすっかり変わっていました。窓から見える庭一面に桜の落ち葉が広がっています。今年は紅葉しないのかとばかり思っていた玄関のモミジも、健気にもきちんと色付きました。あんなに眩しく黄金色の葉をまとっていた並木の銀杏も、もうほとんどその葉を落としていました。時の移ろいを知るのは、いつだってこんなことからです。

「グランマからの手紙」が産声をあげて2日目になりましたが、私自身の日常生活はちっとも変りません。それでも、このブログを見てくださる方の数が突然2倍以上になったり、私の小さな本を読んでくださって、「号泣しました」などと書いてくださっている若いママのブログを偶然見つけたりすると、何だかとても不思議な気持ちになります。

 今、アマゾンのサイトを見たら、「3,482% 12月16日付け本の売上ランキングで282位にランクインしました。」とか、「本 の ヒット商品 〜 売上ランキングで、過去24時間で最も売上が伸びた商品 42位」などと、何だかよく訳のわからないことが出てきました。

 わからないながらも、たぶんこれは、どなたかが読もうと思ってくださったのかと思うと、ありがたさで一杯になります。
 
 この本を書いた背景については、昨日詳しくお伝えいたしましたので、今日はちょっとだけこぼれ話を。

 当初は挿絵が入る予定はなかったのです。ところが、だいぶ原稿も進んだ頃に、相棒の和子さんが、興奮まじりにこんなことを言ってきました。

「ねえねえナオちゃん(和子さんは私のことをこう呼びます。)、これ見て、これ誰が描いたんだろう? 松子さんから借りたカレーの本の中にはさまっていたんだけれど、ねえ、すごくいいと思わない? ほんわかと優しくて心が癒される。『グランマ』の本にぴったりだと思うよ。」

 確かに、料理本にはさまっていた一枚のカボチャの絵は、何とも味わいのある絵でした。私はすぐに松子さんに聞きました。

「ねえねえ、松子ねえさん(私は松子さんのことをこう呼びます)、あのカボチャは誰が描いたの?」

 すると、松子さんが当たり前のようにこう答えました。

「私よ。」

 それが始まりでした。私は、大学で経済学を教えると同時に、日本語教授法の先生でもある超多忙な松子ねえさんに、新しい24色の水彩色鉛筆を押し付け、「グランマからの手紙」のチームに引き入れてしまったのです。以来、真面目な松子ねえさんは、時には原稿よりも先に、きちんきちんと、優しさに溢れる素晴らしい絵を描いてくれました。おかげで、私の文章が息づき始めました。

 書く側から言えば、これは読み聞かせができるように、「声に出して読む日本語」を念頭におきました。自分が書いた原稿を、立ったままでぐるぐると歩きながら、何度も何度も声に出して読んでは、手を加えていきました。時には、読みながら自分で泣いてしまうこともありました。

 今日、第三者のようにして再び読んでみて、あることに気づきました。この本には悪い人がひとりも出てきません。たとえ現実離れしていようと、人の悪口もないし、批判も非難もありません。耳にも目にも心地良いのは、言葉のリズムばかりでなく、そんなこともあるのかもしれません。

 明日はちょっと早めのクリスマスパーティー。20名近い女たちが、手に手に食べ物を一品ずつ持ってやってくるポットラックパーティーです。深夜のキッチンで、今しがた、ギリシャのクリスマスクッキー「クラビエデス」が焼き上がりました。
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12月11日(日):路地坂下の人気レストラン「LA TAVERNA」
12月12日(月):???のギリシャレストラン@ペルージャ
12月14日(水):素敵なスープブレイク@スポレート
12月15日(木):まさかのカニカマ@ローマ空港
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 23:59| Comment(0) | グランマ

2011年12月15日

本日発売になりました!〜「グランマからの手紙」

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 指折り数えてみれば、いえいえ指では数えきれないので、今ちょっと混乱しながら筆算してみたら、なんと35時間、横になっては寝ていないではありませんか!もちろん飛行機の中でウトウトはしていましたけれど、あれは縦寝ですから(笑)。タクシー→電車→電車→電車→飛行機→車というのは案の定、長旅でした。

 昨日、ペルージャを発つ前に、ちょっとお話しさせていただいた本のことを、今日はきちんとご報告します。「グランマからの手紙」という名の本です。

 この本への私の思いは「あとがき」に書きました。なぜ書こうと思ったのか、そしてそれはどんな本なのか、、、、何を伝えたかったのか、、、、長くなりますが、まず「あとがき」からお読みいただければと思います。
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 2011年3月11日午後2時46分、ニュージーランドから帰ってきたばかりの私は、6時にお迎えするはずの4名のお客様のために、台所の調理台をいっぱいにしている最中でした。ひよこ豆のペーストを作り、ニュージーランドで覚えたばかりのサツマイモのサラダを作り、スープのためのカボチャを茹でて、お肉をソースに漬け込もうとしていました。

 一瞬眩暈が起こったのかと思ったからだの揺れが、すぐに立っていられないほどの大きな揺れに変わりました。あわててガスの火を止め、階段を駆け下り、私の部屋の大きな机の下に身を隠しました。揺れが繰り返されるたびに、目の前で音を立てて、本や書類が崩れ落ちました。

 その後、連綿と続く悲劇の報道の中に身をさらしながら、心の奥の一番柔らかな部分がじわじわと変わり始めました。私たち人間の力をはるかに越える自然の脅威は、いくらひよこ豆のペーストを作ろうが、サツマイモのサラダを作ろうが、あたりまえのように食卓を囲み、あたりまえのように一緒に食べるという日常行為すらも、特別なことに変えてしまったのです。私たちはもう、今日と同じように明日があることを、信じることができなくなってしまいました。

 本の雨を机の下でよけながら、私の頭はある考えでいっぱいになりました。「もしもこのまま私の人生が終わってしまったとしたら、どんなに無念なことだろう。」と。そして、まだまだ言い尽くしていないメッセージがたくさんあることに気づき、愕然としたのです。

 それがこの本を書かせるきっかけとなりました。そして偶然にも、レイチェル・カーソンが『センス・オブ・ワンダー』の中で甥っ子のロジャーにたくさんのメッセージを書き残したように、私自身の目の前にもこの地球の未来を託したい孫息子がいたのです。

 この数年、私は世界の様々な国を旅してきました。そして、どこへ行こうと、美しいものや優しいものに出会う度に、遠くから小さな少年に語りかけている自分がいることに気付きました。『グランマからの手紙』は、そうした思いを、ザウという小さな少年に向けての手紙という形で書きました。けれども、ザウとは私の孫息子だけではありません。この本を手にとって読んでくださる方すべてが「私のザウ」なのです。

 私には苦手なものがたくさんあります。中でも一番苦手なのは、思い込みと偏見です。男だからこうしなければいけない、女だからこうしてはいけない、日本人はこうで、アメリカ人はこう。そうした考え方に出会うたびに、私は息苦しくて仕方がなくなります。たくさんのザウたちと、彼らを育むお父さん、お母さんたちには、そうした思い込みや偏見から自由になってほしいのです。

 そんなメッセージを伝えたくて、この本の中では二つの試みをしました。まずひとつは、挨拶と動物の鳴き声をその国の言葉で載せたことです。私たち日本人の耳にはあたりまえのような「コケコッコー」という鶏の鳴き声も、国によって「ココリコ ココリコ」だったり、「ウッウルルー」だったり、「クックアドゥールドゥ」になったりします。鶏が同じように鳴いても、いったん刷りこまれた言葉が、私たちの中に定着してしまうのです。時には、思い込みを取り払って、耳を自由にしてあげれば、もしかしたら「コケコッコー」ではない鶏が鳴くかもしれません。

 もう一つは、それぞれの国の、子どもでもできる簡単な料理を紹介したことです。それは、「料理は女性の仕事」「料理は女のたしなみ」のような思い込みに対する私の反抗であり、男の子だって女の子だって同じ、やってみたいことには何でも同じように挑戦してほしい、という私の願いでした。もし、「男の子だから料理なんてしなくてもいい」「女の子だから料理ぐらいできなくては」などと考えるお父さんやお母さんがいたら、その壁を飛び越えてほしかったのです。

 震災がもたらした「早くしなければ」という焦りの中で、すぐに浮かんだのは「さんこう社」の野島社長の顔でした。野島さんとのお付き合いは、私が長年仕事をしていた大学で知り合って以来、早20年近くが経ちます。その生真面目すぎるほどのお人柄と、職人のような仕事ぶりはよく存じ上げていました。けれども、「池澤さん、そろそろ本を書きませんか。」というお誘いに、「もう少し待ってくださいね。まずは他で実績を作りますから。」などと生意気な口をきいていたのです。

 けれども、もう悠長に時を待っている場合ではなくなりました。まごまごしていたら、時間はどんどん過ぎて行き、思いは風化して行きますし、ザウはどんどんと大きくなってしまいます。第一、明日は何が起きるかわかりません。私自身の良い所も悪い所もひっくるめて知っている野島さんに委ねることこそ、最短にして最良の判断であるように思いました。話をする際に、私はこんなお願いをしました。

 「ご存知のように、私はいつも良いチームに恵まれて仕事をしてきました。この本も個人プレーではなく、思いを共有する仲間たちとのチームプレーで作りたいのです。」
 
 そんな我が儘を快く受け容れてくださった野島さんは、以来定期的に行われる「グランマプロジェクト会議」にも欠かさず出席をし、出版社の社長というよりは、私たちチームの一員となってこの企画を進めてくださいました。

 書けない時には、「池澤さん、焦らないでいいですよ。書きたい時に書いてください。急がずにいい本を作りましょう。」という言葉がどんなに励みになったかしれません。ここであらためて御礼を申し上げると共に、私のたいせつな仲間たちをご紹介させていただきます。

 鈴木松子さんは、心がふんわりとする挿絵を描いてくださいました。そして、私の日本語の癖を直してくださいました。本当は経済学の先生です。

 吉川裕子さんは、若手代表として、抜きん出た企画力とセンスで、構成と編集にあたってくださいました。

 磯崎和子さんは、私の積年の片腕かつグランマ仲間として、今回も様々な面で助けてくださいました。

 吉川弦太さんは、「いつか料理本を出す時にはこの人と!」と私が思い続けてきたプロのカメラマンです。生来の優しさがにじみ出るような素晴らしい写真を撮ってくださいました。

 各国・地域の面積と人口は、「今がわかる 時代がわかる 世界地図2011」(成美堂出版)を参考にさせていただきました。

 2011年10月31日、世界の人口は70億人に達しました。けれども、この地球に住むのは70億の人たちだけではありません。陸上に650万種、海中には220万種の生物が住んでいるのです。そしてその9割近くは、私たちにとっていまだに未知な存在です。

 私たちは、たまたま人間として生命を授かっただけ。その「たまたま」に感謝をし、他の870万種の生物たちのためにも、この地球を守っていかなければなりません。

 ザウと一緒に成長しながら、グランマの旅はまだまだ続きます。
 いつの日か『グランマからの手紙その2』が出版できる日が来ることを願いつつ、
どうか皆様も、Bon Voyage!
2011年11月 東京
池澤ショーエンバウム直美
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 ありがたいことに、順調な滑り出しのようです。もしお手にとっていただければとても嬉しいです。書店にない場合はご注文いただければすぐに届くはずですし、アマゾンでも今日から受付を開始しました。もちろん出版社に直接ご連絡なさってもすぐに送ってくださいます。

 グランマからの手紙
 池澤ショーエンバウム直美 
 (株)さんこう社  電話0422-52-1133  E-mail: sanko@za2.so-net.ne.jp

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12月11日(日):路地坂下の人気レストラン「LA TAVERNA」
12月12日(月):???のギリシャレストラン@ペルージャ
12月14日(水):素敵なスープブレイク@スポレート
12月16日(金)予定:まさかのカニカマ@ローマ空港/span>
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 23:53| Comment(2) | グランマ

2011年08月02日

まんまと仕組まれた「東京湾ミニクルーズ」

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のっけから質問です。これ、どこだと思います?
ハワイ? グアム? はたまたカリブ海?

いえいえ、ここは東京のど真ん中。
たいしたものです。東京という町も、なかなかやるじゃありませんか。

実はまんまと一杯食わされました(たぶん)。日曜日の朝に娘から飛び込んできたこんなメールがそもそもの発端です。宛先は当然ながら、自称&通称「バアバズ」です。

「おはようございます。雨の軽井沢にいます。寒かったのか、○○がお熱です。明日までに下がるようにも思えません。明日の都合はいかがでしょうか。」

娘はかなりハードなワーキングマザーです。朝早くから息子を保育園に連れて行き、大集中して修羅場を乗り切り、それでも時には深夜の帰宅になります。うまい具合に夫婦で連携プレーを取ってはいますが、父親の方も忙しい仕事。当然ながら両親だけでは無理です。ですからわが孫息子は産休明けから、園のお迎えは3人のシッターさんに交互にお願いしています。幸い素晴らしい方々に恵まれて、パパ&ママ&シッターさんの見事なチームワークでここまで来ることができました。

元気一杯、好奇心一杯の孫息子は3歳と2ヶ月。それでも時々、こうしてSOSコールがかかります。子どもというのは、全くなぜか突然熱を出すものなのです。わが身の子育て時代を振り返ってもそうでした。

娘のSOSメールにすぐさま反応したのは、さすが「バアバズ」の相棒さん。
「朝一でいける準備をしておきます!」

負けてはならじと、私も手を挙げます。
何たってこの季節労働者、日本にいる時にしか役に立つことができません。たとえ何があろうが万難を排して飛んで行かねばなりません。

「グランマも待機可能ですから安心していてください。明日は一件、お仕事がらみのランチがありますが、変更可能です。」

そして届いたのが案の定、相棒さんからのこんなメール。そうだと思ってました。そして、そうなればいいな、と思ってましたよ。

「明日はバアバズで出動しちゃいませんか?8時前には着く予定で頑張ります。夜まで頑張っちゃいましょう!」

実はこの後、とんだどんでん返しがありました。当の本人がまさかの平熱に戻ってしまったのです。けれども、「お熱があるから、あちたは保育園にいかない。」と言い張って、結局は、、、、、

相棒さんいわく、「○○&バアバズのチャンスを○○がプレゼントしてくれたのかな?明日は何をしようかネットで検索中。午前中は安静にしていて、何でもないようだったら3人で遊びに出ましょう。」

いいでしょう、このセンス。わが相棒さん最高です!

ということで、私はどうしてもやらねばならないはずだった仕事を全部投げ打って、昨日の朝は、ギュウギュウすし詰め状態の電車に飛び乗ったのでした。でも、もしかしてお昼寝をする間にちょっとぐらいは仕事ができるかも、などという、せこい考えを捨てきれず、結局キャリーバッグにPCと書類をたっぷり詰め込んで。

どうなりましたかって?
孫息子は絶好調。食欲もあるし元気だし、熱も全くありません。昼寝をさせようと思ったら、逆に私が寝かしつけられてしまいました。仕事どころじゃありません(笑)。

結局、相棒さんがネットで調べてきてくれたプランのひとつ、水上バスでプチクルーズをすることにしました。これ、とても素敵です。かなりお勧めです。子どもばかりか大人も十分に楽しめます。
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いくつかの路線がありますけれど、私たちが乗ったのは芝浦アイランドからお台場までの最短コース。それでも東京湾を涼風を受けて進む30分は、単に「移動」というよりはれっきとした「船旅」です。お値段だって、千円札を出せば二人分でもお釣りがきます。3歳児は無料です。犬も乗れます。

すっかり気分爽快な旅気分になった三歳ボーイとバアバズは、お台場の海浜公園のプルメリアが香る中、南国気分でアイスクリームなどを食べ、砂浜を歩き、帰りは「どうしてもあれに乗りたい!」と言い張る子に負けて、二階デッキのある船に乗るためだけに、なんと日の出桟橋まで行ってしまったのでした。
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それでもその快適なことと言ったら、、、、
と同時に、身を乗り出しすぎて海にでも落ちたらどうしようと気が気ではないバアバズにとっては、考えたくとも仕事のことなど考えられるべくもありません。まったく、こんなに朝から晩まで、非クリエイティブな頭の使い方をした日って、いったいいつが最後だったかしら。

家の書斎であれこれしている以上にとっぷりと疲れました。
けれども、何て幸せな疲れでしょう。
今だけに許された「疲れ」なのですから。
バアバズが二人とも健康で、まだまだ好奇心も旺盛で、SOSが出れば飛んでいけて、小さな少年はまだ一緒に遊んでくれる、、、、、

でも、冷静になって考えてみれば、これって、もしかしたらまんまと少年に仕組まれた?
お熱騒ぎのおかげで、東京湾ミニクルーズができちゃったんですから。
かくいうバアバズも、こんな企みならいつだって乗っちゃいますから(笑)。



しばらくはこのバナーを置かせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。何せ人手不足です。司会も私が勤めさせていただきます。
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8月2日(火):自宅がお鮨屋さんに早変わり その1
8月3日(水)予定:自宅がお鮨屋さんに早変わり その2
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 22:41| Comment(0) | グランマ

2011年06月23日

なんで? なんで?

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「泳ぎたい!」って言うから
「じゃ、泳ごうか。」って言ったら
「なんで泳ぐの?」

「なにしてるの?」って聞くから
「クレヨンで絵をかいてるの。」って答えたら
「なんでクレヨンで絵かいてるの?」

「雨が降ってきたね。」って言ったら
「なんで雨降ってきたの?」

「ほら虹が見える!」って言ったら
「なんで虹見えるの?」

「いい気持ちだね。」って言ったら
「なんでいい気持ちなの?」

 3歳になったばかりの小さな少年は、「なんで?」「なんで?」の連発です。
 私は「なんで?」と聞かれるたびに一生懸命考えます。
 そう言えば、娘たちが小さかった時もそうでした。
「なんで?」「なんで?」と問われるたびに、「なんでだろう。」と考えて、娘たちと一緒に成長しました。今もまた、小さな少年と一緒に、少しずつ背が伸びて、見えなかったものが少しばかり見えてきたりもしています。

 いつの間にか、雨が降ることも虹がかかることも当たり前の大人になってしまってからは、「なんで?」なんてたいして考えてもみませんでした。今は「なんで?」ばかりの小さな少年だって、きっとそのうちそんな問いから卒業してしまうのでしょう。

 けれども、今、新米グランマとして願うことは、いつまでもいつまでも、たとえ大人になっても「なんで?」の少年でいてほしいということ。そして、「なんで?」「なんで?」って一緒に考えたいな、っていうこと。

 この地球はまだまだ不思議なことだらけ。
 いくら生きていたってまだまだわからないことだらけ。
 ドキドキすることや、ワクワクすることだってたくさん。

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6月20日(月):宴会の始まり始まり@マウイ
6月21日(火):宴会はたけなわ@マウイ
6月22日(水):宴会の終わり@マウイ
6月23日(木):「Pier 1 Imports」でのマイグレートショッピング@マウイ
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 12:13| Comment(0) | グランマ

2011年05月29日

受け継がれていくものたち


RIMG9969.JPGRIMG10011.JPGRIMG10014.JPG 私は決して優等生の母親ではありませんでした。今だってそうです。不器用でしたし、大雑把でしたから、私の母が私にしてくれたように娘たちに服を作ってあげることも、セーターを編んであげることもできませんでした。ボタンでも取れようものなら、彼女たちは私を素通りして父親のもとに飛んでいきました。

 おまけにいつだって仕事をしていたものですから、娘たちは赤ん坊の頃からの保育園育ち。学校に行くようになったって、「お帰りなさい!」と出迎えることもできませんでした。

 それでも、「育児は量ではなく質」と自らに言い聞かせながら一生懸命に母親をしていました。たとえ食事の最中に居眠りをしてしまうほど疲れていても、台所にどんなに洗い物がたまっていようとも、娘たちが眠りに就くまではベッドのそばで本を読み、声色を変えては即興の物語を話しました。

 「女の子なのだから」という言葉は一切口にせずに、興味を持つことは何でもやらせてみました。娘たちの机の引き出しはいつだって捕まえてきた虫たちや、わけのわからないガラクタでいっぱいでした。男の子たちの間に混じってサッカーのボールを蹴ることも、本屋さんで立ち読みをしたまま家に帰るのを忘れてしまうことも、しょっちゅうでした。調理台に届かないぐらいに小さな頃から、台の上に載せて私の料理を見せました。「わたしもやる!」とでも言えば、内心はヒヤヒヤしながらも、包丁を握らせました。

 どんな時でも、彼女たちの質問には真摯に向かい合いました。「そんなこと大人になればわかるわよ。」とも、「あとで」とか、「忙しいんだからちょっと黙ってて」と言う言葉も言いませんでした。「こうしなさい。」と命令形で言うよりは、「こうしてね。」、「こうしようか。」と言う方が好きでした。

 先日、息子が3歳の誕生日を迎えた娘が、ブログでこんなことを書いていました。

「できる限りでいいんだ、完璧じゃなくてもいい。限られた時間を精一杯□□と過ごす、それでいいんだ。そう信じてこれからも□□と真正面から向き合います。」

「子供への愛情、それは受け継がれるものだから、My母が私を愛してくれたように、□□をしっかり可愛がります。私の子育て理念は変わりません。何事にも興味を持ち、恐れることなくチャレンジする子になってほしい。そのためには、なんでもまずはやらせます。包丁も持たせた、熱湯で料理もした、坂は転げなさい、虫は捕まえなさい、花をむしってもいい、砂場に埋もれてもいい、泡だて器をかじっても。『危ない!』『□□にはまだ無理!』はできるだけ言わない。□□が発するすべての『なんで?』に、ひとつひとつ真正面から考える。」

「私は日に焼けても、自分が怪我をしても、寝ずに□□の『なんで?』を調べます。その代わり、一生懸命な私に応えるぐらいの根性を持ってほしい。一生懸命の文字どおり、一生命を懸けてあなたを守り、育てます。育児奮闘中なんてよく言うけれど、奮闘するなんてお安い御用よ。それが母親の私にできる唯一のこと、そして貫くべき信念。

 さあ、□□、かかってらっしゃい。時々深呼吸、できる限りを忘れずに、パンクしない程度に相手になるぜ。」

 私自身の育児の理念や愛情を言葉にして伝えたことなんてほどんどないのに、不思議なものです、こうしてちゃんと知らない間に受け継がれている。上の娘も下の娘も、教えたわけでもないのに、強いたわけでもないのに、しっかりと、しなやかに、時に雄雄しく、自分の道を歩んでいます。働く母親に育てられてさぞかし寂しい思いもしただろうに、私以上にプロフェッショナルな仕事人をしているのです。

 いつのまにやら広がった大切な家族たちが河口湖に集まって、雨模様の週末を一つ屋根の下で過ごしました。名目はリトルボーイの3歳のお誕生日バーベキューですけれど、どんな理由だっていいのです。みんな一緒にいればいつだって、どこでだって嬉しいのですから。

 私たち大人の愛も優しさも、好奇心も勇気も、こうして受け継がれていくのでしょうか。

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5月29日(日):恒例の家族バーベキュー

posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 23:59| Comment(0) | グランマ

2011年02月01日

バアバズ ハッピネス

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「XXとォ、パパとォ、ママとォ、キッコしゃんとォ、グランマとォ、みんなイッチョにごはん食べるの。たのちいね。」(XXのところには、もちろん自分の名前が入ります。)

 2歳8ヶ月になった孫息子は、会うたびに日本語の語彙が増え、今では単語の羅列ではなく、センテンスを組み立てられるようになりました。そのくせ、こんな具合です(笑)。

「グランマきらい!」
「パパ、きらいくない!」
「ママもきらいくない!」

「きらい!」と言われたグランマが、大げさに悲しそうな顔をしてみせると、それを見てはまた、「してやったり」とばかりにほくそ笑むのですから、あきらかに確信犯です。たまにしか会えない「パートタイムグランマ」の宿命でしょうか(笑)。

 キッコさんと私の二人のグランマに、娘からSOSのメールが届いたのは、1月も半ばのことでした。シッターさんの都合が悪くて、私たちのどちらかに保育園のお迎えを頼まれたのです。これまた珍しいことのようなのですが、私たち、自称「バアバズ」は大の仲良し。孫と遊べることも、娘夫婦の役に立てることももちろん嬉しいのですが、加えてグランマ同士が会えることがとても嬉しいのです。

 「二人で二日間、一緒にやりません?ご都合はどうですか?」と、キッコさん。
 「ばっちりです。久々のバアバズ登場で行きましょう!」と、私。

 と言う次第で、生意気ざかりの少年に翻弄されながらの今日、女同士のおしゃべりに夢中になっていれば大きな声で叱られました。「キッコしゃんとグランマ、うるしゃい!!」。少年が発するどんな言葉も私たちの笑みを誘って、二人顔を見合わせては「バアバズ ハッピネス」を確認し合います。

 「私たちだっていつまで元気でいられるかわからないし、この子だってどんどん大きくなって、今に私たちの助けを必要としない時もくるでしょう。だから、今のうちにできるだけこんな時間をありがたく楽しみましょうよ。」

 というキッコさんの言葉に、そうだ、そうだ、とひたすら頷くパートタイムグランマが、今日、電車に揺られて運んだ大きなバッグの中身は、、、、、

 大切な人たちに食べてもらいたくて、コトコト煮込んだトスカーナ風豆のスープ、一粒食べたら自分だけで食べてしまうのはもったいないほどおいしくて、今日までずっと我慢して冷蔵庫にしまっておいた、タカコさんからもらった苺、そしてアンパンマンのコップ。

 おやおや、私ったら、いつのまにやら亡くなった母と同じことをしています。いつだって母は、私のために、孫たちのために、色々なものをを貯めておいては運んできました。時にはお米まで。

「おかあさん、そんなに重いもの、持ってこなくてもいいのに。それにお米ぐらい私だって買えるわよ。」という私の言葉には耳も貸さずに、、、、

 母の愛は私へ、私の愛は娘へ、孫へと繋がり、それがまた別の誰かに繋がっていく、、、、たとえお節介かもしれなくたって、いいではありませんか、そんなリングも。
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2月1日(火):讃岐うどんでユルユルと
2月2日(水)予定:鮮やかな黄色〜ミラノ風リゾット
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 23:59| Comment(0) | グランマ

2010年06月25日

最後はやっぱりグランマ

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 シチリアでも南イタリアでも、ほとんど日本人らしき人を見かけることはありませんでした。それが帰りの飛行機に乗るためにローマ空港に行ってみたら、びっくりするぐらいに日本へ帰る人たちが!ちょっと怖気づいて隅っこに小さくなって座って飛行機を待っていたら、聞こえてくるのは日本語ばかり。

 喉が渇いたので何か飲もうとバーのカウンターに並んだら、「ウォーター!」 「レッドワイン!」 と堂々日本語で注文する同年輩の男性と女性。店の人も慣れたもので、きちんと水と赤ワインの小瓶が出てきます。「レッドワイン」 と言っても、たぶん我が家では何にも出てきません。でも 「ウレッワイ プリー(ズ)」 とでも言えば、ちゃんと赤ワインが出てきます(笑)。

 そんな我等が日本人たちのパワーに圧倒されて、ますます隅っこで小さくなって周りを見回せば、バッグや靴のブランド名が書かれた大きな紙袋や、DUTY FREEの大きなビニール袋を持っている人たちがたくさんいます。

 かたや私はと言えば、、、、、、、、、

 チェックインした大きなスーツケースの中も、手持ちの大きな肩掛け袋の中も、キャリーバッグの中もこんなものばかり。買い込んできたものと言えば、

 シチリア料理とサルディニア料理とイタリア料理の本が5冊
 ドライトマト(シチリア島の天日干しトマト) 10パック
 フェトチーネ(きしめんみたいな平たいパスタ) 5箱
 修道院で作っているオリーブオイル 2瓶
 ピスタチオの粉 2袋
 オリーブペースト 1瓶
 テーブルオリーブ 2袋
 ボルチーニ茸のリゾットやスープの素 15袋
 なぜかエプロン 5枚!

 ブランド物のバッグも靴もスカーフも化粧品もありません。でも、いいんです。こっちの方がずっと欲しいものたちなんですから。困ったことに、最近とみにこの傾向が強くなってきました。これではまるで本と食料品の買出し部隊です。

 それに加えて、いつどこへ行っても、鵜の目鷹の目探してしまうのが孫息子へのおみやげ。

 今回はなかなかピンと来るものが見つからなくてあきらめていたのが、最後の最後になってFiuggiの町で小さな素敵なお店に出会いました。

 若いお姉さんが切り盛りをしている 「ヴェロニカ」 というそのお店は、外から中までエプロンでいっぱい。しかも全部がお姉さんの手作りです。嬉しくなって、水色のギンガムチェックポケットがついた小さなエプロンと、おそろいの小さなリュック、もう一つおまけに親友のお孫さん用に小さなピンクのエプロンを買って包んでもらおうとしたら、何かイタリア語で話しかけてきます。

 身振り手振り、果ては紙にペンを走らせたりしながらのコミュニケーションでわかったことは、お姉さんが名前を刺繍してくれるというのです。ますます嬉しくなって、二歳になる二人の男の子と女の子の名前を紙に書いて渡しました。

 きれいなお姉さんは、私の目の前でミシンの前にすわり、「この色でいいかしら」 とばかりに糸を手にして、まるで魔法のような手さばきで、2枚のエプロンとリュックにそれぞれの名前を縫い付けていきます。

 それをかかえて小走りに走る道で、自分がすっかりグランマになっているのに気付いて、一人で照れ笑いしてしまいました。何だかんだ言っても、結局最後はグランマです。人から見たら、きっとあのグランパと同じように見えるのかしら、と思ったら、何だか不思議に嬉しくなってしまいました。

 最後の写真は、Agnaniの教会の前で出会った、あのグランパと小さな女の子の二人組です。どうやら結婚式の間、むずがる孫娘を抱いて外に出てきたグランパのようです。大好きな写真です。

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グローバルキッチンお品書き
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25日(金):TOFU Quick & Easy 〜TOFUのブルスケッタ


posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 23:54| Comment(0) | グランマ