2012年12月18日

プレイバック TO クリスマス その1

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今年最後のグローバルキッチンが始まっています。スペインから戻ってすぐの開催は、いくら前々から準備をしていたとはいえ、正直なところかなり大変でした。限られた時間の中で、資料を作り印刷し、買い出しをし、掃除をし、部屋もテーブルもクリスマスらしく整えなければなりません。何しろ今月のテーマは「クリスマスの喜び」なのですから。

私たちはまず一緒にクリスマスの意味について考えました。
クリスマスって何だろう?
どうしてXmasと書くのだろう?
待降節って?
サンタクロースって誰?

そして、グローバルキッチンらしく、クリスマスの食事とご馳走について。
そして、やはりグローバルキッチンらしく、世界のクリスマスについて。
南アフリカ、ザイール、イギリス、アメリカ、スエーデン、アルメニア、イタリア、スペイン、ギリシャ、トリニダードトバゴ、メキシコ、フィリピン、タイ、香港、、、、、

続いて、おひとりおひとりのクリスマスの思い出を語っていただきました。突然お願いしたことなのに、心にじーんと染み入る話がたくさん出てきました。20人には20通りのクリスマスがあるのです。私ひとりの心に留めておくにはもったいないほどに、、、、

「小さい頃の家の庭にモミの木がありました。クリスマスが近づくと、父が掘って、樽に入れてリビングに運びました。飾りをつけるのは私たちの仕事でした。モミの木は年々大きくなって、私たちも年々成長して、父は年々年をとっていきました。そしてだんだんとモミの木を掘り起こすのが大変になりました。私たちはクリスマスを祝いながらも、いったいいつまでこんな幸せを続けられるのかしら、と思うようになりました。」

「ドイツに住んでいましたが、クリスマスの1か月前ぐらいから町の広場に小さなメリーゴーラウンドが作られ、お店がたくさん並びました。夜にはすごい人出になりました。大人たちはみな、『グリューヴァイン』と呼ばれるスパイシーなホットワインのカップを手に、店から店へと歩き回りました。寒さを吹き飛ばすぐらいに楽しい時間でした。」

「いつまでもサンタさんを信じる子供たちのために、24日の夕食の後には、決まって主人がサンタクロースになりました。娘たちがお風呂に入っている間に、ガレージにかくしておいたサンタの衣装に急いで着替え、彼女たちが眠りに就いた頃に、鈴の音と一緒に外から入って娘たちの部屋にプレゼントを置きに行きます。娘が5年生の時、サンタさんのためにとビールを用意していてくれました。主人は飲めませんので、私が代わりに飲んで、『Thank you.』と書いた紙を枕元に置いてきました。その時の紙は、今もなお25歳になった娘の宝物です。」

「お誕生日とクリスマスだけにプレゼントがもらえました。サンタさんに届けてもらいたいプレゼントは内緒にしていたかったのに、『何がほしいのかを空に向かって言わないと伝わらないんだよ。』と言われて、毎年、空を見上げて『○○がほしいです!』と叫びました。」

「アメリカに5年半住んでいました。一番最初はロサンゼルスでした。クリスマスが近づくと、空き地で大きなモミの木が売り出されます。気にいった木をピックアップトラックに載せて家に運び、暖炉の脇に置くのです。最初の年は飾る物がなくて赤いリボンだけでした。それでも、暖炉に暖められて、素敵なモミの木の香りが部屋中に漂うのです。クリスマスが終われば、モミの木は暖炉にくべられたり、チップを渡してゴミとして持って行ってもらいます。帰国後何十年もたちましたが、今でもクリスマスは両親、家族、みんなが集まる特別な時です。」

「兄の死を知ったのは、クリスマスの食事の直前でした。私たちは作ったご馳走をすべて車に乗せて長野へと走りました。そしてその3年後の同じ日に、兄の孫が誕生しました。」

「仕事が休みになるやいなやいつも旅行に出かけましたので、クリスマスはたいてい飛行機の中でした。タヒチに居た時にこんなことを言われました。『サンタクロースは海からボートに乗ってやってくるんだよ。』」

これは皆様からお聞きしたクリスマスの思い出の半分にもなりません。宗教を飛び越えて、クリスマスというのはやはり思い出がたくさんつまった特別な時。あれこれと思い出してはセンチメンタルにもなる時です。

グローバルキッチンはまだ続きます。語りつくせなかったこと、新たにお聞きするであろうこと、そして私自身のクリスマスの思い出についてもまた書かせていただければと思います。

By 池澤ショーエンバウム直美


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グローバルキッチンメニュー
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12月18日(火):まだまだ焼きます、クラビエデス
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 23:57| Comment(2) | グローバルキッチン

2012年09月30日

風が暴れる中秋の名月の夜に

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部屋の中でも聞こえるぐらいに、風がうなり声をあげています。
表に出てみたら、雨は全く降っていないのに、風だけが大暴れです。
けれども、暗い空は美しく澄んで、白い雲が超特急の速さで流れていきます。

そんな中に、煌々と輝く満月を見つけました。
大きな光の環で囲まれています。
風が不純なものを全部吹き飛ばしてしまったのでしょうか。
神々しいほどの、特別な美しさです。

昨年の「中秋の名月」は9月12日でした。
日本よりも13時間遅れのワシントンで、夫と一緒に月を探して歩きました。

今日、グローバルキッチンの最終回が終わりました。
私は今、心地よい疲れの中で風の音を聞いています。

いつも誰かしらがお残りになって、夜が更けるまでなんだかんだの女子トークを続けます。1回目も2回目もそうでした。今日だってたぶんそうなるだろうと思って、庭にお月見用の椅子まで並べていたのです。特別なワインとお団子を用意して。

けれども、帰りの足のことを思えばお引き留めするわけにはいきません。
九州から飛行機に乗って参加してくださった方は、今晩は帰るのをあきらめて、悪天候を予想してすでに朝一番で予約をしていたという羽田のホテルに泊まり、明朝の飛行機でお戻りになることになりました。

お天気ばかりはどうすることもできません。
それでも、明るい日差しが差し込む昼間に、予定通りに皆で集まり、作り、語り、笑いながら、心通わす時間を持てたことを本当にありがたく思います。

By 池澤ショーエンバウム直美
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グローバルキッチンメニュー
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9月30日(日):サーモンの下には?〜メープルサーモン三段重ね
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 23:34| Comment(0) | グローバルキッチン

2012年02月24日

 アーミッシュの世界に揺さぶられて

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 自動車を所有することも、運転することも、
 電気、ガス、水道をひくことも、
 セントラルヒーティングを使用することも、
 絨毯を部屋いっぱいに敷き詰めることも、
 訴訟をすることも、
 飛行機に乗ることも、
 女性が化粧をしたり髪を切ることも、
 装飾品を身につけることも、
 離婚をすることも、
 写真を撮ることも撮られることも
 そして、
 コンピューターを所有することも。

 これらはみんなアーミッシュの人たちにとって、絶対にしてはいけない禁止項目。
 オルドゥヌンクとよばれる、口から口へと伝えられていく不文律。

 アーミッシュ(AMISH)とは、18世紀から19世紀にかけてヨーロッパからアメリカへと移住してきたプロテスタントの人たちです。今月のグローバルキッチンはそんな彼らの文化や生活を取り上げてみましたけれど、これまでで一番、問いかけと話し合いがなされ、揺さぶられたテーマだったかもしれません。

 どうして、それほどまでに服従することができるのか、どうしてそれほどまでに自我も個性も捨てることができるのか。どうして外の世界、大きな世界を知らずに生きることができるのか、、、、しかも、彼らは情報社会の我々よりもずっと満たされて、ずっと心穏やかに、ずっと幸せにすら見えるのです。

 一度彼らの世界で暮らしてみたい、でも何日もちこたえられる?
 そんな素朴な「問いかけ」が、私たち全員に投げかけられました。
 仕掛け人の私自身にとっても、それは大きな課題となりました。

 梨園の友が春をかかえてきました。
 百合の最後の蕾が花開きました。
 時はこうして流れていきます。

 
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 23:50| Comment(0) | グローバルキッチン

2012年02月17日

今月初回のグローバルキッチンは「ありがとう」がたくさん!


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 よく晴れた日でした。額縁のような大きなガラス窓から豊かに差し込む光が、ピンクのチューリップの花を開かせてしまって、あわてて日の当たらぬ涼しい一角に移動させたぐらいに。

 今月の「グローバルキッチン」は「アーミッシュの世界」。ほとんど知りもしなかった世界でしたが、昨年の秋、フィラデルフィアに行く途中の豪雨の中、アーミッシュの村を通り抜けた時に出会ったバギーと呼ばれる四輪馬車がきっかけでした。以来、アメリカで取材をしたり、本を読んだりしながら、「アーミッシュ」と呼ばれる人たちの生活への関心が深まっていきました。

 アーミッシュとは、18世紀から19世紀にかけてアメリカへ移住してきたプロテスタントの教派の人たちです。最初の移住はペンシルベニア州でした。一般社会との接触を可能な限り避け、伝道活動はしませんが、入ってくる人を拒むこともしません。

 車も、電気も、ガスも、水道も使わぬ彼らの生活と、ゲラッセンハイトと呼ばれる哲学については、またあらためて書いてみたいと思いますが、まずは本日のメインテーマのお料理から。

 アーミッシュの料理は、基本的にはヨーロッパの伝統料理に新天地での食材をアレンジし、婦人たちのおしゃべりを通じて広まり、母から娘へと受け継がれていったものと言われています。

 面白いのはそのクックブックです。416頁にもわたる千種類以上もの料理が全て、○○州▽▽の誰それというレシピ提供者の名前が付記されているのです。さらに興味深いことには、冷蔵庫というものを持たぬ彼らが、このクックブックに記す「魚」のページは、たった2頁、料理はたった4種類。しかも、そのうち2種類は缶詰のツナを使ったものですし、もうひとつは缶詰の鮭を使ったもの、残るひとつがようやく生鱈を使う料理です。

 かくかくしかじか、面白いことがたくさん見つかりました。食文化というのはつくづく面白いモノ。そんな中で組み立てたコースはこれ。

 ■暖かい前菜〜スキャロップトコーン (コーンのスフレのような、、、、)
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 ■冷たい前菜〜フィッシュログ (ツナとクリームチーズのテリーヌのような、、、、)
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 ■スープ〜ベジタブルチャウダー (ジャガイモたっぷりのチャウダー、、、、)
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 ■サラダ〜ビーツとプルーンのサラダ (まさかの組み合わせ、、、、)
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 ■メインディッシュ〜オートミール入りミートローフ (ふんわりやわらか、、、、)
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 ■フルーツコブラー〜三種類のベリーの焼き菓子(ブルーベルーとラズベリーとストロベリー、、、、)
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 ありがたいことです。絶対無理だと思っていたのが、皆さんのヘルプのおかげでできました。そして、皆さんからたくさんの元気をいただきました。

 開いたチューリップが、冷たい暗闇で、広がった花弁をきゅっとしめてくれました。まだまだしばらくは持ちそうです。これもまたありがたいこと。ふうっ〜と深呼吸をしてみれば、ほかにもありがたいことがたくさん。

 ありがとう!
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posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 23:51| Comment(2) | グローバルキッチン

2011年12月17日

And Then There Were None〜そして誰もいなくなった

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 「どなたかクリスマスソングのCDをお持ちでしたらご持参くださいますでしょうか。わたし、どこにしまいこんでしまったやら、、、、見つかりません(涙)」

 こんなメールを全員にお出ししたら、かけきれないぐらいたくさんのCDが集まりました。でも、もしかしたらCDは不要だったかもしれません。なぜなら、お昼から5時過ぎまで、クリスマスソングも聞こえぬほどに、素敵な姦しさにあふれかえっていたからです。それもそのはずです。女たちが3人どころか15人も会していたのですから。

「グローバルキッチン」のスペシャルバージョンとして、クリスマスのちょうど1週間前の今日、一品持ち寄りで女たちのクリスマスパーティーが開かれました。参加する者が、手料理でもデパ地下でも、コンビニでも、何でも1品を持参するというのが「ポットラック」と呼ばれるパーティーです。これまで何度となくやってきましたが、不思議なことに、打ち合わせもしないのに、同じ料理や食べ物が重なったことは一度もありません。今日もテーブルの上に色とりどりの花が咲きました。

 20名が集まるはずだったこのパーティーでしたが、様々な理由から5人の方がいらっしゃれなくなりました。中には昨日の深夜に連絡が来て、「92歳の祖母が危篤です。これから車で福島まで駆けつけます。」という方もいれば、ご本人が体調を崩されたり、ご家族がお怪我をしたり、、、、、、

 ひとたび冷静に考えてみれば、今日集うことができたのは、決して当たり前のことではありません。起こりうるかもしれないたくさんのリスクを回避して、たまたま手にした幸運です。だとしたら、それをありがたく思わずしていいものでしょうか。

 15人のうち最年長の方がおっしゃいました。私の尊敬する先輩です。

「皆さん、できる時にしなければだめよ。面倒くさがって『いつかやろう』などと思っていたら結局はできなくなるんだから。私だって急に右膝が駄目になってしまって、やろうと思っては先延ばしにしていた山登りができなくなってしまったの。」

 どうしてこんなに笑えるのだろうか、と思うぐらいに笑い声が絶えなかった空間が、今では物音ひとつない静寂に包まれています。暗闇の中に残されたのは、たくさんの空き瓶と、栓が開いたスパークリングワインがまだ3本。3本とも残っているのは5センチばかり。
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 私は今、「そして誰もいなくなった」空間の中で、5センチをひとつずつ空にしています。そして、いい具合に酔いがまわってきた頭で思います。女たちの明るく華やかな笑い声の裏には、この1年、たくさんの涙を流し、悩み、苦しみ、それでも何とか歩いてきた道があったことを。
 
 だからより一層、今日の日を共に祝いたかったのです。
 真っ暗闇の中で、もう一度、キャンドルをつけてみました。
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12月11日(日):路地坂下の人気レストラン「LA TAVERNA」
12月12日(月):???のギリシャレストラン@ペルージャ
12月14日(水):素敵なスープブレイク@スポレート
12月15日(木):まさかのカニカマ@ローマ空港
12月17日(金):「グランマからの手紙」はレシピ付き!
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 23:58| Comment(10) | グローバルキッチン

2011年11月14日

出会いが作る運命

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 昨日、今月の「グローバルキッチン」の最終回が終わりました。「今月の」と言っても実質上は「今年最後の」です。ちょこちょこ移動が入ったりしますので、次回は2月後半の「アーミッシュの世界」です。すでにあらかた埋まった予約表を見ながら、「どうしよう、まだ中身が何にも決まっていないのに。」と呟いたら、みんなが大笑い。私も嬉しい大笑い。

 
 どんな仕事の時も、振り返ってみればいつだって、よき仲間たちに恵まれ、助けられ、励まされてきたように思えます。とりわけこの「グローバルキッチン」は、来て下さる皆さんが一緒にここまで育ててくれました。友が友を連れ、仲間が仲間をよび、偶然が素敵に重なって新しい出会いとなり、女たちの連帯が広がり、深まってきました。きっとこれからも、こうして繋がり続けていくのでしょう。

 もちろん往々にしてピンチはあります。今年だって、3月の大震災が予定の仕切り直しを余儀なくさせましたし、8月には入荷待ちだった食材が、やはり震災の影響で船のスケジュールが狂って届かなくなりました。しっかり人数分の用意をしていたら、ご家族やご自身が怪我をしたり病気になったりして、突然いらっしゃれなくなった、などと言うことだってままあります。

 今回も、最初からずっと手伝ってくれていたカズコさんが、モンテカルロからクルーズシップに乗って地中海を旅する洋上の人となってしまいました。「どうしよう、一人でできるかしら?」と悩んでいたら、これまでずっとお客様として来ていたミチヨさんが助っ人を申し出てくれました。そして、3回とも、実に心配りあふれるアシスタントとして、すべてをてきぱきとこなしてくれたのです。私が皆さんの前で話をしている間には、ご自宅から持ってきた包丁研ぎで、何本もの包丁をせっせと研いでいてくれていたことも、後から知りました。さらに嬉しかったのは、どの回でも、初めての彼女を、皆さんがさりげなく手助けしてくれていたことでした。

 早くから駆けつけてきてくれたミチヨさんが、朝日の差し込む部屋の日溜りの中でペタンと腰を下ろし、床に広げた資料を黙々と組んでいる姿を見ながら、なんだかこれまでの歩みが思い起こされて、キッチンの隅っこでひとりセンチメンタルジャーニーをしながら、1週間前の「100歳記念特別講演」での日野原重明先生の言葉を噛みしめていました。

「人は自分の運命を作り出すことができます。もちろん生まれながらの遺伝子もありますけれど、自分が身を置く環境が新しい自分を作るのです。そして人間との文化的出会いが私たちの運命を作ります。運命をデザインするのはどういう人に出会うかです。」

 人生、ここまで歩いてくれば、そんな言葉の意味もしみじみとわかるようになります。

 ミキさんがピンクで彩られたアレンジメントを抱え持ってきてくれました。テーブルの上に置けば、まるで予定されていたかのように色も形もぴたりとはまります。どうして私がピンクを基調にテーブルを作っていたことがわかったのでしょう。

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11月14日(月):色は地味でも心はフルカラー@娘の夕食
11月15日(火)予告:クイックアスパラガスキッシュ@ホワイトハウス
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 18:33| Comment(4) | グローバルキッチン

2011年11月12日

当世肥満考

 
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 雨の日とグローバルキッチンはちっとも似合わないのに、今日は一日中雨。傘を片付けて傘立てを空っぽにし、玄関にたくさんタオルを用意して、今季最初の床暖房のスイッチを入れてお客様をお迎えすることから始まりました。それでも、共に過ごす時間が流れ始めれば、外が雨だろうが何だろうが全く気にならなくなります。加えて言えば、寝不足だろうが何だろうが、全く忘れてしまいます。

 と、再び静寂の戻ってきた真夜中にここまで書いて力尽き、ダウン。気付けばPCの前で眠っていたようです。前夜の睡眠不足がたたったのでしょう。気を張っているうちは元気いっぱいだったのですが、だんだんと無理がきかなくなりました。

 一夜明ければ、まあ、何と言う美しい朝でしょう!
 昨日一日中降り続いた雨が、明るい光の中で透明なガラス玉のように輝いています。
 私はふーっと伸びをして、小さな庭を歩き回り、草花の上に雨からの贈り物を見つけます。そして、今日のエネルギーが再びチャージされていくのを感じます。こうして、また明日にはたくさんのお客様を迎えます。

 いろいろな国と地域、様々な食文化をテーマに続けている「グローバルキッチン」ですが、面白いのは使う食材の色取りです。毎回、お料理ごとに材料をカウンターの上に並べるのですが、イタリアやギリシャなどの時には、赤や黄色や緑の豊かな色に溢れます。それが同じヨーロッパでも中欧になると、トマトやパプリカの場所をジャガイモや玉ねぎが占めて、色取りはとても地味になります。あんなにふんだんに使ったオリーブオイルの消費量も格段に減ります。

 ニュージーランドやプエルト・リコではココナッツミルクの缶詰がたくさん並びましたし、タイでは赤や緑の香辛料がアクセントを沿え、香菜の香りがキッチンを満たしました。

 それではアメリカはどうでしょう。これまで、「TOFU Quick and Easy」、「アメリカ風15分クッキング」、そして今回の「ホワイトハウスのテーブル」とテーマを変えてやってきましたけれど、もしもカウンターの上に特徴があるとすれば、やはりバターが多いことでしょうか。

 アメリカの人たちもそんな傾向に気付いていて、脂肪の取りすぎに対して注意報を出してはいます。たとえば、ホワイトハウスのレシピでも、バターではなく低脂肪のマーガリンやベジタブルショートニングを使うようにしていますし、チェダーチーズは無脂肪のものを指定し、牛乳ではなくスキムミルクと表記したりもしています。

 加えて言えば、コレステロールに対しても、卵黄を含まない「Egg Substitute」なる玉子の代用品を使わせています。缶詰のコーンは「無塩の物」という但し書きがあります。

 たしかにアメリカ人の肥満度は並ではありません。アメリカで暮らすようになってあらためて、「どうしてここまで太ることができるのだろう?」と驚く光景にしばしば出会うようになりました。OECD加盟国のうち30の国の15歳以上の人たちを対象にした肥満率の最新調査で、堂々第一位を占めているのもアメリカでした。なんと、30位の日本の3.4%に対し、10倍の34.3%の数値が発表されています。

 そんな風潮の中で、肥満は病気に繋がり、国家の財政にも影響を与える、という観点から考え出されたのが「脂肪税」です。つい先月、肥満率22位のデンマークが、バターやチーズ、肉などの脂肪に多い「飽和脂肪酸」を一定量以上含む食品に課する税金を導入しました。ピザなどの加工品も含め、飽和脂肪酸1キロ当たりに16クローネ(約230円)の税金がかかるそうです。これにより、デンマークでは約310億円の税収が見込まれるとのこと。

 ハンガリーも9月から、ポテトチップス100グラムに約7円が課税される「ポテチ税」を始めたといいますし、フランスやアイルランドでも、肥満につながる糖分の多い清涼飲料への課税を検討しているようです。ジェントルマンの国イギリスですら脂肪税の導入に前向きの姿勢を示していると聞きました。

 大の国家がこんな形で喧々囂々と「肥満と財政」を論じているのも面白いことですが、実はかねてから絶対に理不尽だと思い続けてきたことがあります。

 小柄な私の体重は42キロです。その私の前で、チェックインをしようとしている空港カウンターの大きな男性は、どうみても100キロ近くありそうです。運ぶ荷物の重さが同じ22キロだとしたら、飛行機への荷重は私が64キロ、男性が122キロです。それなのに同じ料金?それなのに預ける荷物の重量制限が同じ?

 ね、絶対おかしいと思いません?

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11月7日(月):お寺の中の五つ星レストラン〜石釜ガーデンテラス
11月9日(水):酒とバラの日々〜ホワイトハウスのテーブル
11月10日(木):Pier One Importの素敵な小物たち
11月11日(金):スイート&スパイシーキャロット@ホワイトハウス
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 11:08| Comment(6) | グローバルキッチン

2011年11月09日

真冬のギリシャから晩秋のホワイトハウスへ

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 真冬のギリシャ→オスマントルコ→タイ→地中海→ウイーン→TOFU→シチリア→アメリカ→ミラノ→地中海ダイエット→ニュージーランド→プエルト・リコ。

 この何の関連もない地名の羅列がグローバルキッチンの足跡です。そして、私自身の航跡です。それぞれの固有名詞の後には、「料理」がついたり、「台所」や「テーブル」や「キッチン」「食卓」、あるいは「クッキング」「メッセージ」などが付く場合が多いのですが、「〜の風の中で」だの、「〜を越えて」だの、「〜の鳴く島」などと、ちょっと気取ってみることもあります。なぜか、途中に一つだけ地名でないものが混じっているのは、「TOFU QUICK & EASY」という「豆腐」ではなく「TOFU」を使った西洋の豆腐文化についてのものでした。

 移動が多くなって、なかなか毎月の開催は無理になりましたけれども、どんどんと素敵に膨らんで行く広場で出会った人たちは、それぞれの世界を呼応させて、またまた新しい輪を広げていきます。そんな様子を見る喜びと、次の集まりを楽しみに待っていてくれる人たちがいる嬉しさが、私に「次」を考えさせる原動力になっています。それに、これは私自身にとっても自分を成長させてくれる大切な広場なのです。

 真冬のギリシャ料理から始まった私の旅は、いろいろな国々、いろいろな歴史、さまざまな文化を経て、昨日、晩秋のホワイトハウスに到着しました。

 きっかけは春のワシントンでした。会合で立ち寄ったのが、世界から国賓級のゲストたちを受け容れてきた伝統あるホテルでした。そこのショップでたまたま見つけたのが、「White House Cook Book」という1冊の本でした。ページをパラパラとめくってみれば、これがまあ、実に面白いのです。1894年のクリーブランド大統領時代のホワイトハウスのしきたりや、実際のメニュー、そのレシピと共に、それらが私たちの時代へとどう変化をしてきたかを見ることができます。

一番新しいのは、ヒラリー・クリントンのオリジナルレシピ、「チョコチップクッキー」ですし、その次のページにあるのはバーバラ・ブッシュのオリジナルレシピ、「スコットランド風ショートブレッド」です。しかもこれらの新しいレシピでさえ、10年以上もたった今では、健康に対する考え方の点で、若干時代遅れに見えるのです。

こんな面白いものを独り占めしていいものでしょうか。すぐに考えたのは、ホワイトハウスをテーマにグローバルキッチンを開催できないか、ということでした。

 となればアンテナはどんどんと伸ばされます。たまたま親友夫妻がホワイトハウスの着席ディナーに出席していましたし、夫はビュッフェに招かれたことがありました。彼らから根掘り葉掘りを聞くうちに、次第に私の中でラフな構図が組み立てられていきました。

 そうなれば、たとえフラリと入ったインテリア雑貨の店でも見えるものが違ってきます。いつの間にやら日本へ帰るスーツケースの中に、イメージに合うようなマットやナプキン、ナプキンリングが混じりこむようになりました。

 これら一連のことは、もし「グローバルキッチン」という場がなければ、私の記憶にも思考にも留まらずに、全て素通りしていったことでしょう。別段、ホワイトハウスでの晩餐会のルールなど知っていたって、実生活には何の役にも立ちません。けれども、そんな非日常的ことを、秋の明るい日差しが差し込む部屋で、のんびりと、ゆったりと、時にはみんなで大笑いをしながら一緒に学んでいくなんて、これはやはりとても贅沢なことだと思うのです。

 共に作り、共に食べるテーブルは女達の饗宴です。みごと、ワインソムリエとなった仲間が、ホワイトハウスで飲まれているワインをセレクトしてくれました。私たちは昨日もまた、再会を喜び、近況を報告し合い、笑い、喜び、飲んで食べました。ことさら嬉しかったのは、皆と一緒にソムリエ誕生の祝杯を挙げられたこと、そして、9月末にフィラデルフィアで一緒に仕事をした仲間が3人、今度は東京のキッチンにそろって立ったことでした。

 二回目は2日あけての金曜日。今日はちょっとだけ中休み。
 次回はたまたま新しい方が4名もおいでになります。
 こうして、また輪が広がっていきます。
 言いだしっぺたる者、やっぱり根を上げるわけにはいきません。

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11月7日(月):お寺の中の五つ星レストラン〜石釜ガーデンテラス
11月9日(水):酒とバラの日々〜ホワイトハウスのテーブル
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 13:17| Comment(0) | グローバルキッチン

2011年11月03日

ホワイトハウスのテーブル

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 昨日とは打って変わって閉じこもりの一日となりました。外に出たのは、早朝と夕方のお散歩、そして夜のスイミングだけ。お散歩だってワンちゃんがいるから出かけたようなもので、いなけりゃそれすらなかったでしょう。それなのに、昨日の2倍ぐらい疲れています。もうほとんど瞼がくっつきそう。

 いよいよ来週から始まるグローバルキッチンの準備にとりかかりました。最後にひとつ残っていたレシピを台所で完成させたなら、あとはひたすら書くのみです。今回のテーマは「ホワイトハウスのテーブル」です。実際にホワイトハウスで作られてきたお料理の中から、前菜2品、スープ、サラダ、メインディッシュ、デザート、スペシャルドリンクの7品でメニューを構成してみました。

 現在のレシピと、1894年のクリーブランド大統領の時代との比較なども書き始めたら、面白くなって今回もまた12ページになってしまいました。もちろん写真もたくさん入ります。

 レシピだけではありません。1894年にホワイトハウスで使われていた「テーブルエチケットのルール」も別に書きました。これがもう思わず笑っちゃうほど面白いのです。「テーブルマナーにデリカシーが必要なのは、男性も女性も同じです。食べ方を見れば、その人がきちんとした躾を受けてきた人かどうかが瞬時にわかります。ナイフとフォークをきちんと扱えるか、音を立てずに食べることができるか、ナプキンは正しく使えるか、食器をガタガタ言わせないか、ゆっくりと噛んで飲み込むことができるか、、、、」となどと言いながら、懇切丁寧な「べからずエチケット」が羅列されています。中には「当たり前でしょう!」のこともたくさん。たとえば、、、

* ナイフで食べ物を口に運んではなりません。ナイフはお皿の上のものを小さく切るための道具です。

* ものを噛んでいる時には口を閉じましょう。たくさん口に詰め込みすぎないように注意して、音を立てないように静かに噛みましょう。

* スプーンの先端から口に入れてはいけません。そして、いかなる場合でもスプーンの裏を上にして口に入れてはなりません。

* パンをスープの中にちぎって入れてはいけません。

* 席に着いたらナプキンを滑り落ちないような位置で膝の上に広げましょう。よだれかけのように襟元からかけたりしてはいけません。

* 熱いものをフーフーと吹いてはいけません。

* スープのお代わりをしてはいけません。ただひとつお代わりをお願いしていいのはフィッシュチャウダーです。

* テーブルの上のお皿にさわってはいけません。触れていいのは給仕だけです。

* 座る時は椅子をテーブルにくっつけすぎないように注意してください。

* 食事が終わって立ち上がる時には、椅子を元の位置に戻す必要はありません。

 まあまあこんな些細なことが、延々と続くのです。バターの塗り方、アスパラガスの食べ方、クリームケーキの食べ方、マッシュポテトの食べ方、、、、、

 そのくせホワイトハウスの中で作られてきた料理ときたら、頭に「QUICK」がつくものばかり(笑)。決して豪華なものではありません。今回のグローバルキッチンのメニューだって、7品のうち2つに「クイック」がついています。ひとつは「クイックアスパラガスキッシュ」、」そして「クイックチキンパテ」。こんな所からもアメリカを感じます。

 まだまだ資料を作らねばなりません。たとえば歴代の様々な場面で実際に供されたメニューの数々や、テーブルを囲む人たちの席順のプロトコル。毎度の事ながらかなり大変な作業ですが、後にして思えば苦労はみんな私の財産になっていますし、フーフー言いながらの作業だって実はなかなか楽しいのです。

 ところで、アメリカを発つ直前に耳にはさんだ、男たちのゴシップをひとつ。

 久しぶりの再会の後、田舎町のパブに繰り出した男どもは、社会的にはそれなりのステータスを持っている(いた)御仁ばかり。齢70にして、いまだに社交界のゴシップ欄を賑わすツワモノもいますし、どこぞの大会社の副社長もいます。学者も弁護士も宇宙飛行士も。

 彼らが一番盛り上がった話というのは、どうもファーストレディーの噂話だったようなのです。いい気分で深夜に帰ってきた夫が開口一番に言いました。

「ナオミ、ほら君がよく行くオールドタウンのターゲット、先週の土曜日、あそこに変装したミッシェルが来て、山のように買い物をしていったらしいよ。君、もしかして会わなかった?」

 ターゲットというの何から何まである巨大量販店。かなりのロープライスです。そしてミッシェルとは言わずと知れたオバマ大統領夫人です。

 ワシントンDCの、キャピトルサウスと呼ばれる、国会議事堂の南側の地域には、嘘か本当かオバマ夫妻が買いにくるというハンバーガーショップがあって、「オバマバーガー」、「ミッシェルバー」が大人気です。近くの店には、歴代の大統領にちなんだ品々が土産物として売られていますし、オバマ一家が飼っている犬について、まるまる一冊本が書かれたりしています。

 何だかんだ言っても、ホワイトハウスも大統領も、ファーストレディーたちだって、私たちの国の偉いたちに比べれば、はるかに身近な存在であり、興味の対象であるようです。

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10月30日(日):マダム・リーの魔法の手さばき〜手打ちパスタ
11月 1日(火):食いしん坊さん用手打ち麺 木こり風
11月 2日(水):うるわしの金目鯛蒸し焼き
11月 3日(木):ほくほく秋の収穫祭デザート
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2011年08月20日

コキ蛙が似合う夏の雨の日

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あんのじょう失敗しました。3つも目覚まし時計をかけたのに、魔の手が止めてしまったらしく、気づいたら予定よりも2時間も超過。焦りまくって、掃除もほどほどに、準備も完璧とはいいがたい初日のグローバルキッチンでした。

しかも初めての雨。雷さえも騒ぐほどの。
不思議なことに、昨年の1月に始めて以来、ただの一度も雨というものに降られたことがなかったのです。

ところが、みんなが傘をさしながら歩いて来なければならなかったというのに、いい所だってちゃんとあったのです。

まず第一に、今朝ばかりは、庭でいつもの水やりをする時間がありませんでした。
何しろ焦りまくっていたのですから。「ごめんなさい、夜まで我慢してね。」と呟いていたら、恵みの雨が降り出しました。

第二に、今月のテーマは、「コキの鳴くカリブ海の島〜プエルト・リコ」。
コキ蛙君については、前にも何度か書きましたので省略しますけれど、はしょって言えば、プエルト・リコではアイドル、ハワイに行けば害虫ならぬ害蛙として指名手配をされている小さな蛙です。小さなからだからよくこんなに大きな声が出ると思うぐらいに、「コキ〜ッ、コキ〜ッ」と言うテノールがくり返されます。

そして第三に、雨が涼しさをくれました。

グローバルキッチンは、お料理だけでなく、その前段のお話、テーブルセッティング、そしてBGMまでを全部合わせた試みです。もちろん、今日のCDは「コキ蛙君」の鳴き声です。45分間ずっと「コキ〜ッ、コキ〜ッ」だけの見事に単調なCDなのですが、最後の数分だけ熱帯雨林の雨音と雷の音が入ります。

これがまあ、今日の天気になんとよくマッチしていたこと!
「コキ〜ッ、コキ〜ッ」はまるで外から聞こえてくるようで、雨と雷は本物なのか、CDなのかが区別がつかないほど、今日の私たちはのっけからプエルト・リコでした(笑)。

そんな雨模様のキッチンに咲いたエプロンの花もまた、まるでプエルト・リコの豊穣な色彩を思わせました。

ものは考えよう。
晴れればよし、そして雨もまたよし。

昨日の夜も、今日の朝もあんなに疲れていたのに、今はとても元気です。
心通じる友たちとたくさん一緒に笑って、たくさんの元気をもらったからでしょうか。

みんな、ありがとう。
雨もコキもありがとう。

By 池澤ショーエンバウム直美



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今週のグローバルキッチン http://blog.goo.ne.jp/naomiwakuwaku 
8月15日(月):思いっきり手抜き
8月16日(火):そうだガスパチョだ!
8月17日(水):まさかの遭遇 香港で「COVA」に

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2011年08月19日

お酒は百薬の長?

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暑く、長い一日でした。今ようやく明日の「グローバルキッチン」のレシピを書き終えました。全部で、写真17枚付き、全11ページです。

今回のテーマは『コキの鳴くカリブ海の島〜プエルト・リコ』です。昨年1月から色々な国をテーマにやってきましたけれど、これほど苦労をしたのは初めてです。

まず第一に、とりかかる時間が全くありませんでした。日曜日まではチャリティーコンサートでかなりの時間をとられてました。加えて想定外の事態が起こりました。プエルト・リコの料理には欠かせない青バナナの入荷が遅れてしまったのです。日本のお盆にかかって通関に時間がかかり、結局明日はメニューの見直し&試作を余儀なくされました。

第二に、諸々の家族の事情で、どうしても時間をさかねばならず、今日は朝から取り組もうと思っていたスケジュールが大幅に遅れました。

それでも何とか、何箇所もまわって買い物をすませ、花もいけ、たった今、レシピを書き上げることもできました。明日から一日おきに3回開催しますが、ありがたいことにいつも満席です。仕方がない、掃除やテーブルセッティングは明日にまわします。目覚ましを4時間後に合わせました。

時に、「何でこんなことをやってるのだろう?」と、思う時があります。でも、これはたぶん私だからできること。いえ、料理の腕のことではありません。これだけウロウロして暮らしているから、ということです。今では、たくさんの仲間たちが、次の回を待っていてくれるようになりました。そして、私自身も変わりました。どこへ行って、何を食べても、たくさんのことを考えるようになりました。作り方が想像できない時には、厨房のドアを叩くようにもなりました。

たぶん、この「グローバルキッチン」がなかったら、ただ漫然と国々、土地土地のおいしいもの、珍しいものを食べて、すぐに忘れてしまうことでしょう。けれども、今は一生懸命メモをとって、写真を撮ります。たくさんの本も買います。そうでもしなければ、このザル頭、片っ端から忘れてしまうのです。当然、アンテナも高く伸ばすようになりました。

仲間たちも次第に増えて、仲間同士がまた繋がっていくまでに成長してきました。まさに当初私が目指していた『広場=プラティア』ができました。たとえば日曜日のチャリティーコンサートでも、たくさんのグローバルキッチンの仲間たちが、ボランティアとして働いてくれました。

あんまり疲れたので、ビールとワインに助けてもらっています。
少々反省していたら、大学時代に太平洋諸島を一緒にほっつき歩いた仲間のひとりから、タイミングよく、「酒飲みさんへ」というメールが仲間たち全員に届きました。「不養生のすすめ」と題する医学博士、柴田博さんのエッセイです。かいつまんで言えば、

「ビールがうまい季節だ。酒は百薬の長という。酒飲みの願望がこめられた言い回しではあるが、それを差し引いても、酒には諸々効能がある。国内外のデータをみても、だいたい二合ぐらいまでの飲酒は長生きに役立つとするのが一般的だ。

かつて男女422人の追跡調査をした結果、一番早死にするのが酒をやめた人たちだった。飲む人は体を良く動かす傾向が見られた。スポーツの習慣をもっていて、さらには人との付き合いも多い。一方やめた人は、ライフスタイルが一変することになる。社会的な交流が減少し、身体的にも不活発になる傾向が見られた。

アルコールは最も副作用の少ない鎮静剤。精神の緊張をほどき、適量ならば血圧も下がる。」

として、ブランデーを飲みながら研究室で仕事をする恩師の話を引き合いに出しています。この先生、八十代の後半まで毎年富士山に登り、93歳で大往生を遂げたとか。

結論がふるっています。

「何より大事なのは、楽しんで酒を飲むことだろう。何を飲めば長生きするとかしないとか、そんなことをいじましく考えてはいけない。飲むときは浮世の憂さを忘れて、大いに楽しく飲むべし。」

とはいえ、今日はちょっといけません。疲れを吹き飛ばして勢いをつけるために、飲みすぎています。楽しくないわけではありませんけれど、かなり非社交的です。でも、さすがに限界。あとは目覚ましを3つかけて、明日の朝、頑張ることにします。

おやすみなさい!


By 池澤ショーエンバウム直美


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2011年06月01日

セラピーで始まった私たちの「グローバルキッチン」

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 震災で延び延びになってしまった「グローバルキッチン」が再開され、仲間たちとの再会が果たされました。ごく当たり前のように思っていたことが、実はとてもありがたいこと、そんなことをあれ以来何度となく実感してきました。

 再び台所がギュウギュウ詰めになって、笑い声が部屋を満たし、大勢でいただく食事はおいしくて、おしゃべりは途切れることもなく、共に過ごす時間がいつも以上に華やぎました。気づけばあっと言う間の7時間。

 「赤道を越えて〜ニュージーランドと太平洋の島々」のテーマについてのミニレクチャーの前に、今日は一人一人にあの日のことを話してもらいました。

 デパートの地下で買い物をしていて、深夜まで閉じ込められてしまった人も、
 足立区の実家で、家がつぶれるかと思うほどに揺れを感じた人も、
 散歩の途中で地震に遭い、急いで帰ってみたら砕けたお皿が床に散らばっていた人も、
 「『テレビが飛ぶというのは本当にあるんですね。』と言う人も、
 神代植物公園で生け花の仕事をしていて、バスをいくつも乗り継いでようやく家に帰り着いた人も、
 たまたま自宅で保険屋さんと地震保険について話していたという人も、
 震災後に那須の別荘に行ってみたら壁が割れていた人も、、、、、

 ヤヨイさんは1月に恵比寿からお台場の13階に事務所を移転したばかりでした。135キロもあるコピーマシーンが、部屋のこちら側の壁からあちら側の壁にすうっと動いて行ったと言います。家に帰ることもできず、一人暮らしの叔母さんが気になって、「こんな経験は一生に一度」と、橋が崩れ落ちたら泳ぐ覚悟でレインボーブリッジを歩いて渡ったそうです。

 毛布や食事を配ってくれたデパート、ドアを開けっぱなしにして、道行く人たちにボリュームをいっぱいにしたラジオを流し続けてくれたタクシー、トイレを開放してくれたファミレス、、、そんな心温まる話もたくさん聞きました。

 コンサルタントをしている前述のヤヨイさんのもとには、あれ以来、ご相談に見える方が引きも切らずにおいでになるとのこと。そんなヤヨイさんから、こんなことを教えていただきました。

「震災のストレスのピークは3ヵ月後、6ヵ月後、9ヵ月後、12ヶ月後にやってきます。もう3ヶ月後のストレスが始まっています。とにかく吐き出すことです。素直に出してしまうことです。もし吐き出す相手がいなければ、炭酸を飲んでください。炭酸を飲めばゲップが出るでしょう?ゲップを出すことだって効果があるんです。大声を出すこともストレスを発散させるのに役立ちます。」

 そしてこんなことを付け加えてくれました。

「ナオミさんがこうして一人一人にあの時のことを語る場を与えてくれている。これって実はすごくいいことをしてくれているんです。」

 震災後初めての「グローバルキッチン」は、こうして私たちのセラピーで始まりました。

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5月29日(日):恒例の家族バーベキュー
5月30日(月):赤道を越えて〜ニュージーランドと太平洋の島々

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2010年11月26日

出会いは天の配剤

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 1月から続けてきたグローバルキッチンという広場。今日は11月の最終回、そして今年最後の会となりました。たくさんの出会いに喜び、助けられ、育てられて1年間、小さな蕾が花を開いてくれました。誠実に一生懸命やっていれば、人は自然とついてきてくれるもの。楽しそうなところには人は自ずと集まってくるもの。誰でもが言いそうな、そんな月並みな言葉が心にありがたく響きます。

 9名のお客様が、「今年はこれで最後なんですね。どうぞ良いお年を!それではまた来年!」と、名残惜しそうに帰って行きました。次に会うまでの時間が、年をまたぐという実感を伴って、実際の時間以上に長く、寂しく感じられます。

 夜には友人夫妻の家に7名が集まりました。アメリカ人と日本人とレバノン人と中国人。私を含む、その全員が、回遊魚のように、一つの場所から次の場所へ、一つの国から別の国へと移動する暮らし方を、なんら特別なこととは思わずに受け入れている人たちです。

 そのうち3人は初めて会った方々でしたが、話せば話すほどに、驚くほどに色々な所で繋がっていたのです。共通の知り合いがいたり、同じ土地で生活をしていたことがあったり、同じことを考えていたり、、、、、

 大学で教えている弁護士の方が、授業のテキストに夫の著書を使っていたということだけでも、おたがい偶然の驚きでしたのに、何と母国レバノンに広大なオリーブ農園を持っていて、世界に誇るオリーブオイルの生産をしていただなんて、いったい全体誰が想像できたでしょう。

 「That’s my luxury.」(私の贅沢です。)
 そんなことをサラリと言うのです。

 日本人の奥様は、60になったのを機に仕事を整理し、ライフワークとしてあることを考えています。それが私の目指している方向と全く同じだったなんて、どうしてそんな偶然があるのでしょう。

 年を重ねてから出会う人たちは、すべて出会うべくして出会う人たち。
 天の配剤です。そんな出会いのひとつひとつが、どこかでまた繋がっていくような気がします。

 若い時のように八方美人でいる必要もなくなって、誰かと比べることも、誰かをうらやむこともなくなって、自分の歩いて行きたい方向も見えてきて、残りの時間距離も自分の容量もおぼろげにわかってきて、、、、、自分は自分、人は人、そんな気楽さがようやく身について、、、、そんな風になってみたら、宝物の出会いが不思議なぐらいに増えてきました。
 
 山をひとつずつ越えてあともう少し。
 予定していたことの全部ができたわけでもなく、焦りの気持ちがないわけではありませんが、とにかくここまでたどりつきました。明日とあさって、もう二仕事を終え、もう二山を越えたら、移動の準備に入ります。
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グローバルキッチン http://blog.goo.ne.jp/naomiwakuwaku 土日閉店
11月26日(金):クリスマスにいかが?手作りレバーパテ
11月25日(木):野菜画廊
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2010年06月27日

物ではないモノに惹かれる喜び

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 一日気持ちよく働いた心地よい疲れの中にいます。先ほどまで降っていた雨はどうやら上がったうようです。それにしても何と言う湿気でしょうか。スリッパを履かずに歩けば、床も絨毯も、どことなくべたついています。足の裏ばかりではありません。手に触れる机も本も紙もみんなじっとりしています。

 そんなことをちょっと愚痴ったら、今日、一緒に仕事をした相棒にすぐさま言われました。
「だから日本女性の肌はきれいなのよ。」
 とならば、多少の湿り気、ひたすら我慢するしかありません。

 グローバルキッチンの第二回目。巷では大人の百日咳がはやっているようで、本日お見えになるはずだったお客様お二人ご欠席。それでもありがたいことに、キャンセル待ちの方々が空席をすぐに埋めてくださって、今日も賑やかな女の集いとなりました。

 もっとありがたいのは、8名のお客様のうち6名の方が皆勤賞。
 この集まり、どうせなら色々な趣向で楽しんでしまいましょう、と、6回目のご参加者にプレゼントが出る仕組みになっています。試行錯誤で1月から始めたこの集いも、おかげさまで順風満帆、今月は6回連続参加の方々がたくさん出ることになりました。

 皆様にお約束したプレゼントとは、、、、、、
 その時々で私が発見した一番お気に入りのオリーブオイルと、その時々で私がどこかの国で見つけたサムシング。今月の皆勤賞は、クレタ島ハニアの農家が栽培から収穫、製造までの全てを行っているオリーブオイルと、先日、シチリア島で買い込んできた天日干しのトマト=サンドライドトマトです。

 ちょっと授与式の真似事などして盛り上がるのも大人の遊びです。今日はお祝いも兼ねて、スパークリングワインでみんなで乾杯しました。

 4年近く、銀座で大人のための講座を企画、開講してきて、人を集めることの難しさはいやというほどわかっています。だからこそ、こんな私の小さなサロンに、たくさんの皆様が来てくださることのありがたさだって誰よりもわかっているつもりです。このご時勢、時間とお金をかけてわざわざやってきてくださる皆様に心からの感謝を忘れたことはありません。

 日曜日の回は特に、平日は仕事で忙しい方々がおそろいです。昨夜だってこんなメールが届いたくらいです。

「実は、昨晩はお断りをしようかと迷っていました。単純に今週末は仕事を持ち帰り月曜日までに仕上げなくてはいけないからです。でも、外出先でやっぱり思い直しました。仕事に忙しいからこそこうした時間が必要なのだとも、、、、」

 メールの主は、ある外資系会社のマーケティング部長です。

 皆さんが、月に一度、役職も経歴も関係なくファーストネームで呼びあい、台所で袖すり合わせ、同じテーブルで食と話のコミュニケーションを楽しむ場をどんなに楽しみにしていらっしゃるか、それを思う時、発起人の私が弱音を吐いてはいけません。それに、仮にも皆様にお教えする以上は、私自身にとってもこれは、最高の勉強の機会であり、楽しみなのです。

 これからしばらくはまだまだ「大人の遊び」が続きます。
七夕の後の週末に企画した、「ギリシャ神話と天の川〜夏空のロマン」は、男性にも扉を開いたら、あっと言う間に当初の定員を超える25名の皆様がお申込みくださいました。当日はロフトに続く階段も座席となることでしょう。

 世の中、不景気の風が吹き荒れようとも、こんな風に形のないもののために、共に集い、共に学び、共に遊ぼうという大人たちがいることは実に嬉しいことです。

 私も今日、あるセミナーに申し込みました。
洋服やら宝石やら、形に残る物にはますます心魅かれなくなりました。

 こんな状態は、とても自由で、とても快適です。
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2010年06月23日

仕事人に戻る瞬間

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 嬉しいことに東京にいます!

 たくさんの学びと、たくさんの感動と、たくさんの気付きに溢れた、とても良い旅でした。
 アイディアも決意も勇気も与えられました。

 知らないことがあまりにたくさんあることに驚いて、これまで何となく上っ面だけなでてきたことを、やっぱりきちんと系統立てて学びたいと思うようになりました。歴史について私はあまりに知らなすぎます。受験勉強の知識はただの点でしかありません。点と点をつないていくには、別のものが必要です。

 同じく、イタリア語の勉強をしようと決意しました。もっともっと聞きたいことがあるのに、言葉を知らないがために、数え切れないぐらい臍をかみました。お礼の言葉をきちんと伝えられたらと思いながら、それができないもどかしさに何度も溜息をつきました。

 10月からはミラノの生活が待っています。それまでにはせめて基本的な言葉だけでも話し、聞くことが出来るようにしたい、そう思います。今から頑張れば、何とかなるかもしれません。ならないとしたって、今よりはずっとましなはずです。

 ギリシャに移り住むと決めた時、私は全くギリシャ語を知りませんでした。当時は東京でギリシャ語を学べる所などなく、直前にリンガフォンを買って、夫と一緒に勉強をしました。何とかアルファベットの読み書きはできるようになったものの、私が口にすることができたのはたった4つの言葉でした。なぜなら身重で移り住む私にとって、その4つこそが一番大事だろうと思ったからです。

ポナイ  (痛い)
ピナオ  (お腹が空いた)
ネロ パラカロー (水をください)
フォナクセ トン ヤトロ (医者を呼んでください)

 そんな風にして始まったギリシャ語だって、その気になれば何とかなりました。イタリア語だってできないわけがありません。それに、語学と楽器を弾くことは老化防止に最適だというではありませんか(笑)。

 同じ暑さでも確かに湿気が違います。日差しは強くてもカラリとした地中海の気候と違って、ここではちょっと掃除をしただけでじっとり汗がにじみます。夕方から雨が上がって、この季節によく似合う紫陽花の花が、ひときわ美しく目に映ります。家の中にも紫陽花を咲かせたくなって、いけてみました。花の美しさは、世界中どこで咲こうと変わりません。
(最初の3枚はFiuggiに咲いていた紫陽花、次は今日、私が住む町で見つけた紫陽花、そして最後は今、この家の暗闇の中で咲く紫陽花です。)

 時差ぼけも覚めやらぬうちに、明日からしばらくはセミナー続きです。明日はグローバルキッチン6月の会、「TOFU Quick & Easy〜西洋人の目から見たTOFU」。

 固定観念を解き放って奇想天外なメニューを皆様とご一緒に作ります。たった今、テーブルセッティングを終えたばかりです。

 買出しに行き、資料を作り、掃除をし、花を飾り、お一人お一人の名前をカードに書き、お皿とグラスを並べます。今回のテーマに合わせて、和紙の千代紙で鶴を折ってお皿に載せてみました。

 最後に、一生懸命磨いた銀のナイフとフォーク、スプーンを並べ終えた時、背筋がピンと伸びて、気持ちが完全に切り替わったのを感じました。こんな風に背筋が伸びる瞬間に、いつも思います。「やっぱり私は仕事人なのだ」と。
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グローバルキッチンお品書き
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23日(水):山の上のレストラン第一位〜SU LA COSTA
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2010年04月27日

今日は何の日? ハーブの日

 早朝から階段を上ったり下りたり、かと思えばあわてて本のページをめくったり、さらにはもっとあわてて資料を印刷したり、、、、、

 ああ、あと2時間を切りました。
 大丈夫かしら、、、、、、
 初回はいつも準備不足の気がしてなりません。

 すみません、台所に戻ります。
 理由はこれです。http://blog.goo.ne.jp/naomiwakuwaku
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