2013年01月22日

シャボン玉 ルルルルルルル その2

ふわふわと飛ぶシャボン玉の向こう、満開の桜の下でシーソーに興ずる白い帽子の少年たち。その笑い声が遠い記憶を呼び起こします。

おばあさんがひとりで店番をしている煙草屋さんがあって、路面電車が走り、勝鬨橋を夕日が照らし、子供たちがおませな会話をしています。

「いよいよ来年、東京オリンピックだって。楽しみだなあ」

ダッコちゃんを腕につけて遊ぶ少女たちに、お母さんの声が届きます。

「ごはんよ〜。シャボン玉ホリデーが始まるわよ〜。」

舞台は一転して、日曜日6時半の「シャボン玉ホリデー」になります。1800名ものシンガーがカバーをしたと言うスタンダードの名曲「スターダスト」のイントロが流れます。60年代のあの時代を知る者は、それだけで「元いた場所」に戻ります。

テレビではアメリカのドラマが全盛でした。ララミー牧場、ローハイド、拳銃無宿、ペリー・メイスン、サンセット77、パパは何でも知っている、うちのママは世界一、、、、それらのシーンが大画面に次々と映し出されます。

ドラマばかりではありません。当時のヒットソングのほとんど全てが、アメリカンポップスに日本語の歌詞をあてたものでした。虎姫たちがメドレーで歌い、踊ります。

悲しき雨音
ルイジアナママ
ヘイポーラ
バケーション
ロコモーション
レモンのキッス
砂に消えた涙
月影のナポリ、、、、、、、、、、

そして時は次の時代へと移ります。ザ・ピーナッツに扮した二人が、アメリカンポップスではなく、オリジナルの和製ポップスを歌います。

恋のバカンス
ふりむかないで
ローマの雨
モスラ
若い季節
ウナセラディ東京
情熱の花
恋のフーガ、、、、、、、

あの時代へのセンチメンタルジャーニーは、今自分が置かれている「現在」を完全に忘れさせます。だからでしょうか、この昭和歌謡レヴュー「シャボン玉だよ!牛乳石鹸!!」にはリピーターが多いと聞きます。今回の4人組も、おひとりにいたってはなんと4回目。かくいう私も、「あの人をお連れしたい」「この人も喜びそう」などと、次から次へと同じ世代の友人たちの顔が浮かびます。夫にも見せたくて早速予約をしました。

虎姫一座の魅力は、そのパフォーマンスもさることながら、浅草という場所柄がかもしだす何とも言えない庶民的な距離感です。舞台が終わると9名全員が廊下でお客様を見送って、話しかけたり答えたりのフロアーコミュニケーションが始まります。

乗りのいい仲間が「さあ、みんな並んで並んで」と号令をかけたら、照れくさいながらもこんな写真になりました。
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すぐには現代に戻れなくて、みんなでブラブラ歩き回っていたら、空が茜色に染まり始めました。東京はまだまだ美しく、浅草はまだまだ面白い町です。
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昨年、ワシントン〜成田の機内で見た映画「ALWAYS 三丁目の夕日‘64」もまた、オリンピックの時代の東京でした。売れない作家を夫に持ち、苦労が絶えない貧乏暮しの妻が、最後にこんなことを言います。

「幸せって何? お金? 出世?
 ちがう、好きな人と一緒にいることだと思う。」

夕日が美しかったあの時代には、そんな言葉がやけにしっくりときます。

By 池澤ショーエンバウム直美


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1月22日(火):スペインのローズマリーチーズから始まるハーブの世界
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 22:39| Comment(0) | 本、映画、コンサートなど
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