2012年12月27日

また来たいと思います!

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どちらかと言えば、父と母は私たち姉妹を随分といろいろな所へ連れて行ってくれ方だと思います。遊園地にも、水族館にも、できてすぐの東京タワーにも、海水浴にも、温泉にも。母はきびきびとした器用な人でしたし、父はおっとりとした優しい人でした。「家族旅行」はいつだってわくわくと心躍るものでした。

高校時代には、仲良し8人組で旅行のまねごとなどもしましたし、大学に入ってからは今だに親交が続く友人たちと大きなリュックを背負ってユースホステルの旅などもしましたけれど、本当の意味で旅を始めたのは18の終わりの頃でした。

まだ大した恋などしたこともないくせに、「人に恋をするように土地に恋をする」ことを知ってしまったのです。それからはもう熱病にかかったかのようにひとつの地を思い、そこに「行く」のではなく、「帰る日」をひたすら夢見ていました。

その後、思いは形になり、ひとりが二人になり、二人がいつの間にやら四人になって、気づいて見れば私の恋は「家族旅行」という形になっていました。去る時には必ずこう言って、むせかえるような熱帯の花の香りの中で涙ぐみました。

「また来ますからね。」

所が変われど、ついこの間までは、何の抵抗もなく口にしていたこの言葉。
けれども、ふと気づいてみたら、最近はなんだかためらいがあるのです。

スペイン最後の滞在地グラナダを発つ前に、生後2週間のベビーから80近くのおばあちゃままで、2家族11人が私たちのホテルまで別れを惜しみにきてくれました。たがいを思いやる暖かさの中で心地よい時間が過ぎていった後で、誰かが言いました。

「また来てくださいね。」
「次はもっとゆっくりしてくださいね。」
「子供たちの成長も見てくださいね。」

これまでだったら、なんのためらいもなく

「ええ、また来ますからね。」

と言えたのに、口をついて出たのはこんな言葉でした。

「ええ、また来たいと思います。」

長い人生の旅の中での、ある意味正直な
ある意味そこはかとない寂しさです。

By 池澤ショーエンバウム直美

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12月27日(木):リンゴとトマトとセロリ〜ふうっと笑顔の不思議なスープ
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 22:02| Comment(0) | エイジング
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