2012年12月11日

水音と共に在る場所 アルハンブラ

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水の都といってすぐに思い浮かべるのはベニスでしょうか。けれども、私がこの先まず思いめぐらすのはアルハンブラかもしれません。

アルハンブラはベニスのように海上に浮かぶ都でもなく、むしろそれとは全く逆で、標高685メートルのグラナダの町を見下ろす高い丘の上に立っています。町から長い坂を上っていくと次第に空気が冷たくなっていくのがわかります。イスラム芸術の最高傑作とも、イスラム文明の輝かしいモニュメントとも、また幻惑の千夜一夜の世界とも言われるこの特別な場所は、アテネの町のアクロポリスのように、およそ町のどこにいても仰ぎ見ることができます。

そこではいつも水音が聞こえます。
どこを歩いていても、どこからか水音が聞こえるのです。

山から流れ込む大量の水が滝となって下り落ちる音であり、それらが丘の下へと流れる音であり、パティオの真ん中の池の音であり、宮殿のいくつもの部屋の中に作られた噴水の音であり、ライオンの口から流れる水の音です。

たとえホテルの部屋の中にいても、中庭からの水音が聞こえるような気がします。いつの間にかそれらの音は私たちの感覚の一部となり、水が流れていることすら忘れるぐらいに、それを受け容れ、静かに心地よく共に在ることに気づきます。

1238年、グラナダ王国がイベリア半島における最後の、そしてたったひとつのイスラム文化の都として大輪の華を咲かせ、13世紀の初代王から14世紀の7代目の王まで、歴代の王たちによってアルハンブラ宮殿という目も眩むような美しい世界が構築されました。

そこにいつも水が流れていたのは、乾いた国から来た民たちによって作られたからでしょうか。彼らにとって、水に触れ、水を感じ、水を聞くという暮らしこそが最高の贅沢であったからでしょうか。

これから私は何度も何度もこの地に思いを馳せることでしょう。
そしてそのたびに無意識のうちに水音を聞くことでしょう。

By 池澤ショーエンバウム直美


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グローバルキッチンメニュー
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12月10日(月):絶品びしょびしょパエリャ@グラナダのクニニ


posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 01:24| Comment(0) | スペインライフ
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