2012年12月05日

開けてびっくり玉手箱〜Silvia Perez Cruz & Javier Colina

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バレンシアのバルカス通りにちょっと気になる建物がありました。
よくよく近づいてみたら、何と劇場でした。表から見ただけではそんな風にも見えないのですが、ウィンドウに公演の案内が貼られています。「Teatre Principal(プリンシパル劇場)」です。

12月2日には「SILVIA PEREZ CRUZ & JAVIER COLINA」と書かれています。それが何かも全くわからないというのに、何だか二人して同時に呟いてしまいました。

「行ってみようか。」
「行ってみましょうか。」

とは言え、いつ行っても劇場の扉は閉まっています。何とか開演3時間前に切符を買うことができましたが、この時点でだって、いったいシルヴィア何とかとハビエル誰それがどんな人たちで、歌を歌うのか演奏をするのか、それともおしゃべりをするのか、全くもってわかりません。けれどもあえて調べずに行くことにしました。当たりか外れか、いずれにしても「開けてびっくり玉手箱」にしてみたかったのです。時には予備知識ゼロ、先入観ゼロの遊びも楽しいではありませんか。

かくして私たちは、開演8時半の10分前に劇場の入り口に立つことになりました。
そして驚いたことには、びっくり箱から宝物がぞくぞく出てきたのです。

まず第一に、表からみる限りただの古い建物だったのが、中に入れば美しい劇場でした。マドリッドでオペレッタを見た「サルスエラ国立劇場」を小ぶりにしたような感じです。

第二に、素晴らしい歌と演奏でした。

舞台の上には左にピアノ、右にドラムセット、真ん中にベース、そしてそれぞれの演奏者たち。前触れもなく奏で出したのは、初めて聞く曲ながらも、ビル・エヴァンスを思わせる心地よいジャズです。

そして登場したのが、胸の大きく開いたシンプルな黒のワンピースに、長い髪を波打たせる以外にはただひとつのアクセサリーも身に付けぬ、美しい女性でした。彼女が歌いだしたとたんに鳥肌が立ちました。

ここらへんからやっとわかってきたのです。シルビア・ペレス・クルスというのがこの若いシンガーであり、真ん中に立つベーシストがハビエル・コリナだということが。そして、この二人を中心とするユニットが類まれなる音を創りだすということが。

どちらかと言えばハスキーな声なのに、高域に差しかかれば驚くほどに澄み渡り、荒々しく猛り狂うかと思えば、まるで静かに細く月の光のように私たちを包み込み、ビル・エヴァンス風のジャズがあったかと思えばブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブを彷彿とさせるキューバ音楽になり、今にもフラメンコの踊り手が出てきそうにもなれば、教会のミサになる、、、、陽気なボサノバも、もの哀しいファドも、、、、この若き歌い手は、諸々の境をいとも簡単に超えて観客の心を鷲掴みにしていきます。まるでデルフィの神殿の巫女のようです。

休憩もまじえずに2時間。最後には会場を埋め尽くした人たちが総立ちで拍手を送り、久方ぶりに夫の「ブラボー!」を聞きました。

これもまた、紛れもなくキャリアカウンセリングの理論で言う「計画された偶発性(Planned Happenstance)」でした。@好奇心を持ち Aあきらめず B柔軟に C楽観的に D失敗を恐れずに、偶発的な出来事を力に換えるというものなのですが、今回の「開けてびっくり玉手箱」に置き換えてみれば、、、、

@ふと通りがかった建物に好奇心を持ち A翌朝早い出発だったにもかかわらずあきらめず B何だかわからないけれど行ってみましょうか C面白いかもしれないから D外れたとしたってそれはそれでいい経験 の5ステップです。

日本に戻ったら早速、「Silvia Perez Cruz & Javier Colina」のCDをアマゾンで注文するつもりです。思いもかけぬ素晴らしい出会いでした。

By 池澤ショーエンバウム直美


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グローバルキッチンメニュー
http://blog.goo.ne.jp/naomiwakuwaku 
12月4日(火):160円の絞りたてジュースはオレンジ6個

posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 01:01| Comment(0) | 本、映画、コンサートなど
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