2012年11月06日

ニューフェースの誕生〜アメリカ最高裁判所日記(1)

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この秋、一番寒くなった11月5日の月曜日、とても貴重な経験をしました。初めて足を踏み入れた場所で、あまりにたくさんの新しいことを見て、聞いて、感じて、どこからどう書いたらよいのか、頭の中がまだぐるぐるしています。加えて、あれやこれやと忙しくなってしまって、そのぐるぐるを上手に整理する余裕がありませんけれど、欲張らずに、少しずつでも綴っていけたらと思います。

ということでまずは第一部。

7時半、冷たい空気に身をすくめながらメトロの駅へと急ぎました。降り立ったのはブルーラインの「Capitol South」です。その名の通り国会議事堂(キャピトル)の南から、右に国会図書館を、左に国会議事堂を見ながら歩きます。

ほどなくして、ギリシャのパルテノン神殿を彷彿とさせる「Supreme Court(最高裁判所)」に着きました。目下改修中ですが、それでも法の殿堂としての重厚な存在感が、澄みきった寒気を通して伝わってきます。

すでに口頭弁論を傍聴する人たちの列ができています。この国の最高裁では、10月から4月の間の、隔週の月、火、水曜日に、午前10時に1回、11時に1回の「Oral Argument」と呼ばれる「口頭弁論」が行われるのです。年間1万件を越す申し立ての中から選ばれて、おそらくは5月か6月には判決を下されるだろうという案件です。

私たちは、一般の入り口ではなく、「Supureme Court Bar Member」用の入り口から入ります。それでも厳しい検問があり、空港のように荷物とからだをチェックされます。

「Bar」と言うのは一般にはあまり聞きなれない言葉かもしれませんが、弁護士会のようなものでしょうか。ワシントンにはワシントンバー、ニューヨーク州にはニューヨーク州バー、そして最高裁判所には最高裁バーがあります。ですから、「Supureme Court Bar Member」とは、最高裁判所に認められ、最高裁法廷に立つことができる弁護士ということになります。もちろんそれらの資格は複数の兼任が可能です。

11月5日午前10時10分、満員の法廷で、夫が、居並ぶ9名のジャッジ(判事)の前で、朗々と述べました。

「Mr. Chief Justice and may it please the Court, I move the admission of Jessica xxxxxx of the Bar of the State of Gerogia. I am satisfied she possesses the reasoning qualifications.」
(ジョージア州バーの弁護士であるジェシカxxxxxは、最高裁バーメンバーとしての必要な資格を備えています。)

それに対してChief Judgeのジョン・ロバーツ長官が、よく響き渡る声で応じました。

「Emotion is granted, and applicant is admitted.」
(動議は認められました。申請人は承認されました。)

夫がアプリカント(申請人)の資格を証明し、それに対して答がなされるという、あらかじめ決めらていた法的プロセスに則ってのフォーマルな儀式でした。

こうして、黒いスーツに真珠のネックレスが良く似合う一人の若く美しく将来ある女性が、昨日、新たな「Supureme Court Bar Member」(最高裁バーメンバー)として誕生しました。ジョージアからこの日のためにやってきた車椅子の母親と、それを押す父親、彼女のそばに寄り添うご主人、、、、ジェシカが何と輝かしく、それを取り巻く家族たちの何と誇らしげなことだったでしょうか。

お祝いの食事の席で、父親が目を潤ませて夫に言いました。
「あなたが娘のキャリアを助けてくれました。」

私がジェシカに聞きました。
「いつ頃から弁護士になろうと思ったの?」

ジェシカが誇らしげに答えました。
「7才の時に、父に最高裁の見学に連れていってもらった時からです。」

「Sponsor」と呼ばれる役目は、辞書によれば保証人、引受人、推薦人、、、。
かつての教え子が、たくさんの「最高裁バーメンバー」の中から自分をスポンサーに選んでくれたことを、夫もどんなにか嬉しく思っていたことでしょう。

私には、みんながきらきら輝いているように見えました。
そして、まるで新しい人生を歩きはじめる若いカップルの「お仲人さん」をしたかのような気持ちになりました。

法廷の様子、セレモニーに続く口頭弁論、9人の判事たちのこと、とりわけトーマス判事のお人柄、最高裁判所という建物の美しさについては、またお話しさせていただけたらと思います。

ちなみに、法廷へはカメラも電話もバッグも持ち込むことができません。私は小さなノートとペンを1本、ハンカチとメガネだけを持って入りました。

By 池澤ショーエンバウム直美


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11月7日(水):一度はやってみたいインスタントローストターキー
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 21:45| Comment(0) | アメリカライフ
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