2011年06月05日

ライバルになんてなれやしません。

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 今日は特別な日。

 1年ぶりに再会した友と、新しく加わった仲間を交えて、グローバルキッチンの最後の会を無事に楽しく終えることができました。夜にはまた別の仲間たちが集まって、同じテーブルを囲み、同じ料理、と言えば聞こえはいいのですけれど、要するに残り物(笑)を食べながらのプロジェクト会議。同じ星を見ながら過ごす時間は、課題は山積みながらも心豊かに流れて行きます。

 そして今日は、私たちの結婚記念日です。
 それなのに私はひとり、いるべき人がいません。

 「Thank you for understanding and letting me do this.
I will call you when I arrive.」
 (理解をしてくれてありがとう。我が儘を許してくれてありがとう。着いたら電話をする。)

 と言うメールがワシントンから届いたのは、日本時間の5月20日の深夜でした。その人はその晩、マドリッドに飛び発ち、あろうことか、2週間80時間のスペイン語学校に入学してしまったのです。そして、自分よりもはるかに若い人たちと机を並べて、毎日スペイン語を勉強する学生になってしまいました。

 しかもこの、海事法を専門の一つとする国際法の学者は、前日まで例のメキシコ湾原油流出事故の日本側の弁護士をしていたのです。三井物産とイギリスの大手石油会社BPとの間で和解の目処が立つやいなや、携帯電話も持たず、コンピューターも持たず、ふらりとマドリッドで学生になってしまいました。

 この年で? いったい何のために? それが残りの人生に何の役に立つというの?
という陳腐な言葉が喉元まで出ながらも、私には止めることなどできません。その人にとっては、何の役にも立たない知的好奇心を満足させることこそが、きわめて個人的な、至上の喜びであることを、もう十分に知っているからです。

「I understand and let you do this.」
(わかりました。どうぞお好きなように。)

 と言うほかはありません。そんな自分勝手なところに惚れたのは、ほかならぬこの私なのですから。たとえ、結婚記念日にひとりであろうとも、それをなじることはできません。

 この春、ワシントンで知り合った、若く有能な女性が言いました。夫婦共に活躍するジャーナリストでありながら、ご主人の海外赴任に際して退職の道を選んだ人です。

「ナオミさん、夫婦はライバルにならない方がいいの。夫婦で競ってはだめ。私は夫のために現場を退いたけれど、これはこれで貴重な経験。後になったらきっとこの価値がわかり、感謝をするようになる。」

 逆立ちしたってかなわない相手。競うことなど、はなから考えたこともない私にも、彼女の言葉は深く心に刻み付けられました。

 PCを持たなくとも、学校やホテルのPCから毎日メールが届きます。

「This is a good experience to broaden my life.」
(これは僕の人生の巾を広げる素晴らしい経験だ。)

 などと言う言葉を聞くたびに、「こりゃもう好きなことをさせておくしかない。」と、半ばあきらめながも、自分には決してできないことをサラリとやってしまう人の我が儘を、やっぱりすごいと思うのです。ライバルになんて、なりたくてもなれやしません。

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今週のグローバルキッチン http://blog.goo.ne.jp/naomiwakuwaku 
6月6日(月)予定:カヌーに乗って運ばれたクマラ
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 23:59| Comment(2) | パートナーシップ
この記事へのコメント
記念日でしたね!

以前一緒に仕事をしていた時のPCは開くといつもお二人の写真が最初に出てきたことを想い出しました。

スペイン語の勉強ですか!

その意欲に脱帽です。
Posted by アキラ at 2011年06月11日 09:10
そうでしたね、恥ずかしながらそんなこともあったかと思い出しました。今では1台のPCは孫の写真、もう1台はワンコの写真ですが(笑)。気持ちはあの頃と変わりません。
Posted by アキラ様へ at 2011年06月11日 09:15
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