2009年02月07日

6年前の偶然

 6年前の今日、自分が着ていた服をつぶさに覚えています。どんな靴を履き、どんな髪型をしていたかもはっきりと思い出すことができます。

 6年前の今日、その人が身につけていたセーターもズボンも、そしてその人と初めて交わした言葉も、まるで大好きな映画のシーンのように蘇らせることができます。

 入学試験が行われる日は、いつものように大学の正門から車で入ることはできません。この日に限って、教職員は決められた時間に決められた入口から、検問をくぐって入構しなければなりません。そして決められたルートを辿り、決められた場所に駐車してから試験会場に入ります。そんなことを16回も繰り返してきたのですから、今朝だって同じことをするのはいとも簡単なことでした。一つ違うのは、助手席に座る人がいて、私はその人を車から降ろした後にユーターンをしてすぐに帰ってきたことです。

 その人に出会ったのは受験生の緊張と熱気に満ちた大きな教室でした。そのたった2ヶ月前にアメリカからやってきて日本の大学に就任したばかりの人を、たとえ同じ大学で仕事をしていたとは言え、知る機会もありませんでした。その人と私は、いくつもある試験会場の同じ教室に割り当てられた8人の試験監督たちの2人だったのです。出会ってすぐに、何だか大変なことになりそうな、自分の運命が変わってしまうような直感がしました。

 そんな2月7日から6年目の今日も穏やかな初春の日差しに恵まれました。まるで長年連れ添った夫婦のような阿吽の呼吸の会話の後に、「行ってらっしゃい!」 と、今は夫となったその人を車の中から見送り、慣れ親しんだキャンパスの中を通り抜けて、不思議な感動でハンドルを握って帰ってきました。あの朝には、自分の人生にこんなことが待っていようとは露ほども思っていなかったのですから。

 長い人生にはたくさんの偶然がありました。けれども、それら全ての偶然は、何かは知らぬ大いなる意思によって初めから組み込まれていたのかもしれないと思うことがあります。私があの大学で仕事を始めた偶然は、今の私に至る必然だったのかもしれません。もしそうだとしたら、そんな粋な計らいをしてくれた大いなる力に謙虚に感謝をしたくなります。
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 17:33| Comment(0) | TrackBack(0) | パートナーシップ
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