2012年03月01日

センス・オブ・ワンダーを探しに

 
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 新しい月になりました。1月から2月に変わるよりも、3月から4月に変わるよりも、なぜか2月から3月に変わる時が好き。たぶん、春へと向かう感じ、そして区切りがついて何かが終わる感じがするせいでしょうか。私の小さな庭でも水仙が花開き、よく見れば桜の枝がもう蕾を抱いています。

 始まりかけたこの美しい季節を後に、しばらく日本を離れます。当初の予定ではすでに発っているはずだったのですが、怪我のせいで遅れました。友人の娘さんの結婚式に、オバサントリオで「What a Wonderful World」を演奏するはずだったのも降板しました。それに、間に合ったところでピアノが弾けるはずもありませんから。

 まずはギプスが外れるまで待って出発することにしました。リハビリはアメリカのトレーナーのもとで続けます。行けば行ったで、旅ではなく、日常であり、生活ですから、さまざまなことが待っていますけれども、今回はメインの自然の中で静養を心がけます。

 なぜメインなのかを手短かに言えば、年を取るにつれて「自然」に惹かれるようになったからでしょうか。きっかけはもちろんレイチェル・カーソンです。どんな時だって彼女の本を開きさえすれば、広い世界へ飛翔して、くよくよしたり、めそめそしたりしている自分が馬鹿らしくなります。あげく、自然の神秘や不思議に目を見張る「センス・オブ・ワンダー」をもう一度取り戻したくなるのです。

 「地球の美しさと神秘を感じ取れる人は、科学者であろうとなかろうと、人生に飽きて疲れたり、孤独にさいなまれることは決してないでしょう。たとえ生活の中で苦しみや心配ごとに出会ったとしても、かならずや、内面的な満足感と、生きていることへの新たな喜びへ通ずる小道を見つけだすことがきると信じます。地球の美しさについて深く思いをめぐらせる人は、生命の終わりの瞬間まで、生き生きとした精神力をた持ち続けることができるでしょう。」 

 そんなレイチェルが、「うっそうと木々が茂り、トウヒの森に覆われた謎めいた小島で、風が梢を鳴らし、夕暮れ時にはチャイロツグミが神秘的な歌をさえずり、桟橋に寝そべっていればミサゴが入り江に舞い降りていくのが見える」自然の美しさに魅せられて、土地を買い、家を建てたのが、メイン州シープスコットだったのです。

 ワシントンの暮らしも東京の暮らしも快適ですが、いつも心にひっかかっていたのが「レイチェル」の場所でした。そんなところに、今回の右腕事件が思わぬ朗報を届けてくれました。

「ナオミ、よかったら私たちのメインの家を使って。どうせ5月までは行かないから。レイチェルが住んでいた場所からも近いし、森も海もある。鳥も魚もいる。自然の中でゆっくり静養しなさい。」

 大喜びしたら、とんだおまけがつきました。

「ただし、ネットは使えないわよ。というか、あえて使えなくしてあるの。私たちにとってあそこは休息の場所だから。」

 一瞬ひるみましたが、これも神様がくれた機会。よくよく思い返してみれば、こんな時代になる前は、ニューギニアの山奥だろうが、南太平洋の小島だろうが、1か月いたって、2か月いたって全く平気でした。もともと繋がる手段がないのですから、繋がっていなくたって、心配したり不安になったりすることもありませんでしたし、むしろ今よりもずっと屈託のない時間を過ごすことができたように思います。自分自身の内面と向き合うこともできました。

「そうだ、あの頃に帰ってみようか!」と覚悟を決めれば、鳥のさえずりで目を覚まし、森を抜けて海へ出て、夜ともなれば満ち欠けする月と満天の星を眺める、、、、、そんな自然のワンダーの中で暮らす日々も悪くはないどころか、胸が高鳴るではありませんか。きっと、地球の神秘と美しさをたくさん発見するでしょう。

 加えて、予想外のことが起こりました。右手が使えなかった間に酷使された左腕が腱鞘炎になってしまったのです。重い荷物が持てません。ドクターに怒られましたが、仕方がありません、覚悟を決めて、本も資料も、先ほど郵便で送ってしまいました。必要最小限の品ならばワシントンの家に置いてあります。足りなければ向こうで買えばいいのです。そうと決めればすっきりです。ということで、この際、限りなく手ぶらで行くことにしました。明朝土壇場で決めますけれど、たぶんPCも置いていきます。

 まあ、腹を括ればこうも思えます。
 その方が断然「センス・オブ・ワンダー」を感じられる!

 あれ?
 ってことは?
 これも書けないの?
 えっ〜、どうしよう。
 ま、いいか、これもまたわが人生のギャップイヤー。

 皆様、すぐ近くまで来ている春をどうぞお楽しみくださいね。
 Saving all my love for you!
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 23:15| Comment(0) | その他メッセージ