



雪は降りやんだものの、冷たい雨の降る土曜日となりました。カナダ人の心理学者の友人は、長年、お天気と心の関係を研究していますけれど、そんな研究結果を詳しく聞いてみたいぐらいに、こんなに寒い雨の日には、気持ちも何だかしぼみます。加えて、浮かない事の原因だって、実際いくつかあります。
そんな日の過ごし方は、、、、
朝10時からの1時間番組、レインボータウンFMの「まじかる☆ママ」のゲストに呼ばれて、「元祖ワーキングマザー」として、「現役ワーキングマザー」たちを励ましてきました。「元祖」などというのはもちろん大袈裟ですけれど、行きがかり上そんな表現で紹介されてしまって、2人の現役ワーママと、1人の現役ワーパパのパーソナリティーと一緒におしゃべりをする、面映ゆくも楽しい1時間。これまでずっと考えてきたことを、言葉という形でマイクの前で表現することもできました。またあらためて書かせていただければと思います。
ちょっと元気になって向かった先は、丸の内の三菱一号館美術館です。ここで17日より、「ルドンとその周辺〜夢見る世紀末」が開催されています。けれども、「黒の画家」とも呼ばれるルドンの絵をこんな日に見るのは、正直なところあまりふさわしいとは言えません。元気になった気分が再びへこみます。ただ、こんな日だからこそ、人も少なく、ゆっくりと見ることができます。
黒の時代を過ぎて、ようやく色の時代へ入っても、「ハムレット」の中の美しいオフィーリアは、鮮やかな緑色が縁どる絵の中で死に顔ですし、一際眼立つ真紅のマントをはおって棒を振り上げるカインは、裸の弟アベルの息の根を今まさに止めようとしています。バラ色の岩は孤独ですし、春のような柔らかな色彩の中では殺されたオルフェウスが横たわっています。
ちなみに、第一部「黒のルドン」は68点、第二部「色彩のルドン」は20点が展示されています。次に展示は「ルドンの周辺」と題して、象徴主義の画家たちの作品50点に移ります。聞きなれない名前も多い中で、ムンクやゴーギャンなどの作品も見られます。タヒチを描くゴーギャンの水彩画で、沈み込んだ気分がようやく上向きになって外に出てみれば、まあなんという美しさでしょう。建物も中庭の木々も花も、時折そこを抜けていく人もみな雨に濡れ、これもまた絵を見ているようです。煌々と照る太陽の下で人々の賑わいを見せている時とはまた別の、深々とした佇まいです。そして気づけば、時代を潜り抜けてきた本物の絵が持つオーラを浴びた心も、まるで雨にでも濡れたように潤っています。
この美術館、もとはと言えば、イギリスの建築家の設計によって明治時代になってまもなく、丸の内の真ん中に立てられた古い建物です。なぜか落ち着く、私の好きなスポットの一つです。
「この建物は老朽化のために1968(昭和43)年に解体されましたが、40年あまりの時を経て、コンドルの原設計に則って同じ地によみがえりました。今回の復元に際しては、明治期の設計図や解体時の実測図の精査に加え、各種文献、写真、保存部材などに関する詳細な調査が実施されました。また、階段部の手すりの石材など、保存されていた部材を一部建物内部に再利用したほか、意匠や部材だけではなく、その製造方法や建築技術まで忠実に再現するなど、さまざまな実験的取り組みが行われています。19世紀末に日本の近代化を象徴した三菱一号館は、2010(平成22)年春、東京・丸の内のアイコン、三菱一号館美術館として生まれ変わりました。」 (三菱一号館美術館HPより)
遅い昼食には、いつもミラノで飲んでいた「Moretti」ビールと、なつかしいシチリアの「Messina」、続くワインは12月に訪れたトスカーナ州モンテプルチャーノの赤。
長い間会えなかったギリシャ時代の旧友の作品展は、日本橋高島屋で始まったばかり。丸の内から雨の中を日本橋まで歩くのも、また乙なもの。
遅い夕食のBGMは、たまたま手に触れたエディット・ピアフ。
フランス語はわからないけれど、
Un refrain courait dans la rue
「街には歌が流れていた」
一日の最後に、リフレインが心地よく響きます。
別に特別な日ではなかったけれど、なんだかいつまでも覚えていたい、期間限定の東京暮らしの中の、寒い雨の、私の、たくさん歩いた愛しい土曜日。

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今週のグローバルキッチン http://blog.goo.ne.jp/naomiwakuwaku
1月16日(月):出版感謝会のスペシャルランチ
1月17日(火):夫のおみやげ「シャクシュカ」のレシピ
1月19日(木):まるで暗号「アーミッシュの帆立貝コーン」
1月20日(金):予定外の超特急ディナー@フィッシュログ
1月22日(日)予定:マッカッカのビーツサラダ
posted by 池澤ショーエンバウム直美 at 09:37|
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